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オミクロン株:バイデン大統領の3つのメッセージ【アメリカのコロナ事情Vol.15】

渡航制限で稼いだ時間を使って、ワクチン打とう!?

オミクロン株に関する、バイデン大統領のコメントが11月29日に発表されました。前回のコラムで、このコメントを読むと、バイデン政権がいかにワクチン接種(販売?)数を多く稼ぎたいかが分かると申し上げました。まずはメッセージの冒頭部分です。(訳文は、意訳しています)

(前略)渡航制限を行うことにより、オミクロン株の感染拡大の速度を遅らせることはできますが、これを完全に防ぐことはできません。しかし、私たちは渡航制限により得た時間により、ワクチンやブースター接種の必要性を人々に理解してもらうために、より迅速な行動を取ることができます。遅かれ早かれ、アメリカではこの新しい変異株による感染者が出てくるでしょう。これまでの脅威と同じように、この新しい脅威にも立ち向かわなければなりません。オミクロン(新しい変異)について、アメリカ人に聞いてほしい3つのメッセージがあります。

渡航制限の目的は、”未知のウイルスへの対策を行うための時間稼ぎ”です。全体的にワクチンのことしか語っていないメッセージなのですが、冒頭でも、ワクチンのことしか語られていないために、バイデン政権では、ワクチンが対コロナ唯一の対策となっていることがわかります。本来であれば、新株の特徴に応じて、従来の治療法で良いのか?や、医療関係者らや、病院の準備、自宅療養のフォロー体制等を整えたり・・・といろいろすることがあると思うのですが・・・。

特に、現在、ワクチン義務化の期限により、退職を余儀なくされている医療従事者らも少なくなく、感染拡大時のスタッフ不足の懸念もあります。オミクロン株が本当に脅威であると考えているのならば、未接種を理由に職員を退職させた病院に対し、職員の一時的な復職等の指示を行い、感染爆発に備えた人材の確保が必須です。政府主導のワクチン義務化政策により、退職させられた職員なのですから、政府主導で復職させるべき。そうでなければ、パンデミック対策のためのワクチン義務化で、パンデミックに対応できないなんていう、笑えないコントになってしまいます。

*ご参考:医療施設や在宅医療機関で働く従業員を対象としたワクチン接種義務化は11月29日、連邦地方裁判所が「政治的にも経済的にも膨大で、連邦制度を変え、境界線を押し広げる義務化」とし、仮差し止め命令を出しています(ニューヨークタイムズ誌)。

1)世界最高のワクチン、最高の医療、最高の科学者がいます。

1つ目は、このウイルスは”心配の素(cause for concern)”であっても、”パニックの素(cause for panic)”ではありません。私たちには世界最高のワクチン、最高の医療、最高の科学者がいます。私たちは毎日多くのことを学んでおり、混乱や混乱ではなく、科学的で知識豊富な結論とスピードでこの新たな変異とも戦うつもりです。昨今、強毒なデルタ株の脅威に見舞われましたが、私たちは行動を起こし、デルタ株による死亡者数は減少しました。私たちはこの変異株についてより多くのことを学んでおり、その情報を率直かつ迅速にアメリカ国民と共有します。

”世界最高のワクチン”かどうかは、2023年に治験が終わるまでわからないことですが、最高の医療・科学者についてはどうでしょうか?

下のグラフは100万人あたりの新規感染者数(上段)と、死亡者数(下段)の日米比較です。感染対策にとっては大きなマイナスポイントとなるイベント、オリンピックを開催したにもかかわらず、日本の方が新規感染者数を抑えています。また、より重要なのは、死亡者数です。世界最高の医療を自負するならば、感染者を死亡させないように治療ができたはずですが、グラフを見る限り、何かしらの問題があり、世界最高であるはずの医療が機能していないことは明らかです。この問題意識なくして改善は見込めませんが、こんなのんきなスピーチをしている人に任せていて、大丈夫なのでしょうか。

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こんなことになってしまっている原因は色々あると思います。例えば・・・。

・他国とは比べ物にならないほどの高額な医療費                                              ・高額な医療費ゆえに、最後の瞬間まで病院に行く習慣がない人が多い      ・製薬会社の申請費頼みになってしまったと言われるFDAの運営費        ・40年間、国立アレルギー感染症センターのトップと、大統領のアドバイザーのポストに君臨し続けているファウチ博士の存在                                             ・権威ばかり見て、患者を見ない医師たちの存在                                            ・ビッグテックによる言論統制                                                                         ・広告クライアントに忖度するメインストリームメディア                                ・高給であるがゆえ、会社に意見が言えない(会社を”悪魔”と言いながら働き続ける)科学者たちの存在                                                                                         ・世界最高の医療・科学を誇るからこそ、他国のデータ(事情)を気にも留めない(一切知らない)医師や科学者、保健省の公務員たちの存在           ・ワクチン頼みで、他の治療法に関心が薄い医療従事者等の存在

もちろん、アメリカには闘う医師、科学者たちもたくさんいらっしゃいます。ただ、全体として、問題の方が大きすぎるため、本来、世界最高の医療・科学が期待できるはずのアメリカで、散々な状態になってしまっているのだと思います。

 ■アメリカの闘う医師・科学者シリーズ                                                                        米国コロナファシズムVSテキサス医師(1)早期治療の推進者は陰謀論者!?           米国コロナファシズムVSテキサス医師(2)患者を救うために必要なもの                米国コロナファシズムVSテキサス医師(3)既存薬へのメディアの悪意ある印象操   米国コロナファシズムVSテキサスの医師(4)データではなく、人を診る             米国コロナファシズムVSテキサス医師(5)85%の死亡は早期治療で助けられた     米国コロナファシズムVSテキサス医師(6)コロナを収束させる公衆衛生政策   米国コロナファシズムVSテキサス医師(7)推進派の医師が、中止を求めた理由       米国コロナファシズムVSテキサス医師(8)医学と公衆衛生の歴史上、最大の不正

2)最良の防御策:今すぐワクチン・ブースター接種。

第二に、新しい変異株だけでなく、現在、闘っているデルタ株に対しても、私が知っている最良の防御策は、ワクチンの完全接種とブースター接種を受けることです。もしあなたが18歳以上で、6月1日までにワクチンを接種していれば、今日中にブースター接種を受けることができます。これらは無料で、アメリカ全土の8万カ所で接種可能です。ワクチン接種完了者することで、新型コロナから最も身を守ることができます。今すぐにでも予防接種を受けましょう。          また、ワクチン未接種者は、今こそ自らも接種し、子どもたちにもワクチン接種を受けさせましょう。5歳以上のすべての子どもたちは、効果的で安全なワクチンを受けることができます。                          今日はファウチ博士も一緒に来てくれています(背後からバイデン大統領を見張っているようなファウチ博士)。既存のワクチンが新しい変異株に対してどの程度の防御効果があるのか、すべてが判明するまでには数週間かかるでしょうが、私たちの医療チームは、このワクチンがオミクロン株に対しても、重症化予防に対するある程度の効果があると信じていますし、追加の予防効果もあると考えています。さらなる予防策として、屋内や公共の場で他の人と一緒にいるときは、マスクを着用してください。あなたとあなたの周りの人々を守るために。

この2番目のメッセージがメインなのでしょう。繰り返し繰り返し、”打て”と言っています。ここで前回のコラムで、WHOのテドロスの動画(WHO Warn Governments Not to Rely on Vaccines Alone to Tackle Rising Covid-19 Rates)で、発言の一部がカットされているのではないか?疑いの話が絡んできます。

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元記事は見つけることができず、掲示板?に貼られたもののみしか見つからなかったのですが、この掲示板にある内容が実際にAFPや朝日新聞が発表したことであれば、元記事が見つからないこと、動画の内容がカットされた疑惑が臭ってきます。

先日リンクを貼った動画とこの記事を比較すると、”だが感染力の強いデルタ株のまん延により、以前は約60%だったワクチンの感染予防効果が約40%に低下しており”の部分がないことがわかります。この一文が入ると、ブルームバーグの記事につけられていたタイトル”各国政府に対し、新型コロナの感染拡大に対してワクチンだけに頼らないよう警告”が納得できます。

WHOのトップが予防効果が約40%と発言していることは、かなり重要ではないでしょうか?

コロナの予防薬としては、イベルメクチンだけではなく、BCGの存在も早くから注目されていました。日本をはじめBCG接種を行なっている国では、感染が拡大していなかったからです。過去にBCG接種した人と、そうでない人とのコホート研究でも、50(数)%の予防効果が確認できたというレポートも出ていたかと思います。BCGは”免疫のトレーニング”的な予防接種で、特定のウイルスのタンパク質の”型”に合わせて設計されているわけではないため、変異株にも同様の効果が期待できるとされていました。これらのことが正しければ、BCGを接種している日本人には、ワクチンは不要では?ということになります。ちなみに、BCGも治験リストには載るものの、一向に進まない状態でした(この1年チェックしたいないため、現在の状況はわかりません)。

3)ワクチンの迅速なアップデートも準備中

第三に、今回の新種に対応するためにワクチンやブースターのアップデートが必要になった場合、可能な限りの手段を用いてその開発を加速させていきたいと考えています。現状では、追加措置が必要だとは考えていませんが、必要な場合に備えて、私のチームはすでにファイザーやJJらの関係者と協力して、必要なワクチンやブースターの臨時計画を策定しています。また、私はFDAとCDCに対して、ワクチンをいち早く配布できるように、安全性の確認に一切の手抜きをすることなく最速で承認できるプロセスを構築するよう指示しています。私はアメリカ国民の安全を守るために努力を惜しまず、あらゆる障害を取り除いていきます。

2つ目のメッセージで、”今すぐ接種すること”を勧めているバイデン大統領ですが、これから解析される変異株のデータによっては、ワクチンのアップデートが必要であり、その際の準備もしていることを強調しています。もちろん、こういった二重の予防策は必要かと思いますが、テドロス事務局長が「予防効果は40%(オミクロン株に対してではなく、デルタ株の段階で)」と発言したことが事実であるならば、おそらくワクチンのアップデートが必要となるのではないでしょうか。そうすると、今、ブースターを打ってしまうと、オミクロンに効果的なワクチンを打てるようになるのは、(これまでの話から推定すると)6ヶ月先となります。開発できたものを待つかどうかは別として、開発の必要性がわかるであろう、せめて数週間は様子を見た方が良いのではないでしょうか?

新しいワクチン・マーケット!?

前回のコラムで、ワクチン義務化がうまくいかない確率が高まったため、ブースターに力を再度入れることにしたのではないか?ということを申し上げました。バイデン政権は、メッセージの後半、さらなる”ワクチン市場”についても触れています。

私はすべてのアメリカ人に、常に最新のワクチンを用意し、ブースターショットを無料で提供すると約束しました。しかし、パンデミックに打ち勝つためには、アメリカ人にワクチンを接種するだけでなく、世界中の人々にもワクチンを接種しなければなりません。2億7,500万人分のワクチンを110カ国に提供します。アメリカ人としての道徳的義務を果たし、アメリカ人を守るためにはどうすればいいのか・・・(後略)

これはWHOのテドロス事務局長との連携プレーが取れています。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、WHO総会の特別セッションで、「ワクチンの不公平さや、南部アフリカ諸国への渡航禁止措置が急速に進む中で、新型のオミクロンコロナウイルスが出現したことは、世界がパンデミックに関する新たな協定を必要としていることを証明している」と述べました。
この会議には各国が集まり、パンデミックに関する条約の交渉開始に合意する予定です。この会議では、米国をはじめとするいくつかの国が、法的拘束力のある協定を結ぶことに反対していたため、協定の成立が危ぶまれていました。しかし、日曜日には各国が妥協案に合意し、現在開催中の世界保健総会で採択されることになりました。

南アフリカのワクチン接種率は23.8%(11月28日時点)。”変異株が出現したのはワクチン接種率が低いからだ”ということになっています。ワクチン接種率の低い南アで、オミクロンが出現したことで、「アメリカ人の税金で買ったワクチンをアフリカに送って人助けをしよう!」という道徳的な意義に加え、”新しい変異株の出現を防ぐことで結果的にアメリカ人を守ることができる”という意義ができたため、アメリカ人からの承認が得らやすくなった、だから協定を採択できたとも考えられます。

しかし、アフリカは本当にワクチンを必要としているのでしょうか?

9月25日までのデータですが、下記のグラフは、【アフリカのコロナ事情】ワクチン支援の前に、彼らから学ぶべきことで使用したものです。このグラフによると、アフリカでコロナの死亡者は欧米に比べてほぼ出ていないのです。

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小さくて見えないと思うのですが・・・。

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南ア以外の国々は、アメリカやUKと比較するとほぼゼロの線状に密集しています。これは新規感染者ではなく、死亡者数です。

そもそもこのようなデータがあったからこそ、アフリカでなぜコロナ感染が拡大しないかが注目され、アフリカで別の病気の予防薬として広く使われていたイベルメクチンがコロナ予防・治療薬としても効果があると発見されたという経緯があります。

南アの感染状況は、他のアフリカの国に比べたら少し特異です。アストラゼネカの治験が行われた国で変異株が出現しているという噂もありました(南アで治験が行われたのは事実)。南アの他にも数カ国、他のアフリカの国とは感染状況が異なる国がありますが、その原因についてはわかりません。また、改めて検証してみたいと思います。

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