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【アフリカのコロナ事情】ワクチン支援の前に、彼らから学ぶべきこと

”アフリカのコロナ”を巡る議論

先進国がブースター接種を行うか否かの議論をしているときに、WHOをはじめとする世界の科学機関が言いました。

「先進国がブースター接種をする前に、1回も接種していない国を優先すべきだ」

「世界的なパンデミックなのだから、先進国だけで対策を行なっても、後進国で感染抑制できなければ、世界的に感染を押さえ込むことはできない」

一聞すると、とても良いことを言っているように聞こえますが、本当にそうでしょうか? この議論を聞いて、私が引っかかったのは、アフリカではそもそもそれほど感染拡大していないんじゃなかったっけ?と思っていたからです。

コロナの治療薬としてのイベルメクチンを巡り、世界的な論争が起こっています。まぜコロナ治療薬に注目が集まったのか?と言えば、パンデミック初期に、コロナ対策が不十分と考えられたアフリカで、感染爆発が起こらなかったためです。その要因を探っていくうちに、「感染が広がっていない国に共通したのは、オンコセルカ症の予防薬として、イベルメクチンが投与されていた 」ということが分かったからです。ですから、パンデミック初期には確実に広がっていなかったはずでした。その後、感染拡大した場所として名前を聞いたアフリカの国は、セイシェルと南アのみ。他のアフリカの国は引き続き、感染が広がっていないのではないか?そう思っていたからです。

アフリカの感染者数を調べて見たいなとは、ずっと考えていたことですが、適切なツールが見つからず、試すことができずにいました。Our World in Dataのツールを使うと、比較的簡単にデータ比較ができることから、今回、アフリカの国リストにある全ての国と、先進国の代表としてアメリカ、UKとを比較しました。

ワクチンは必要か?

患者数を見る前に、まずはワクチンに関するデータについて見ていきましょう。ここはさらっと流します。

アフリカのコロナワクチン 接種数(アメリカ・UKと比較)

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アフリカでほぼワクチン接種が進んでいないのは、グラフからもわかります。

100万人あたりのコロナワクチン完了者数

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アメリカは人口の多さが世界2位ということもありますので、人口調整を行うと、アフリカの各国事情が少し見えてきます。ここで名前を覚えていていただきたいのが、セイシェルです。今年5月くらいに接種した住民の大半は中国製ワクチンだったという記事が出ていました。

アフリカの新規感染者数

ここからが今回の本題です。

アフリカの新規感染者数、アメリカとの比較

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「おいおい、アメリカとUK、そして下の方に微かに南アのデータがあるだけじゃないか!」と思われた方・・・

「South Africa」の下に何かあるのはうっすら見えませんか?この部分だけ拡大したのが下の画像です。

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アメリカ、UK、南アのデータを抜くと、もう少し他の国のデータが見えます。

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以下、感染者数が突出した国をどんどん消していけば、各国データがどんどん出てくるのですが、結局、このデータから何がわかるのかと言えば・・・・。

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リストにあるアフリカの国は、この南ア、モロッコよりも感染者数を低く抑えることができています。

100万人あたりの感染者数からわかる注目すべきアフリカの国

アメリカが感染者数が多いのは、世界第2位の人口を有していることも関係があることですので、100万人中の感染者数を見てみると下記の通りです。

100万人あたりの新規感染者数ーアメリカ・UKとアフリカの国々比較

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そうすると、コロナ感染に関して問題がありそうな4つの国、セイシェル、ボツワナ、セントビンセント及びグレナディーン諸島、リビヤが見えてきます。とは言え、それ以外の国は、やはりアメリカ、UKの感染者数とは比べられないほど少ないというのが現状です。

上記の4カ国については、追って調べて見たいと思いますが、セイシェルは、とある国のワクチン接種後に感染拡大したというニュースがありましたから、そのためでしょうか。南アは、UK、ブラジル、インドとともに、アストラゼネカ社の治験を行った国の1つ。このことが関係しているのかはわかりませんが、他のアフリカの国になく、南アにあるものという点で、このことを指摘する研究者もいるようです。

死亡者数比較に見る、イベルメクチン否定論のひどさ

先ほど、アフリカで感染拡大しない要素として、イベルメクチンが注目されたというお話を紹介させていただきました。生虫病の特効薬イベルメクチンは、すでに半世紀以上使われているもので、発見者である大村智・北里大学特別栄誉教授はノーベル賞を受賞しています。すでに長期間使用しているということで、副作用がほとんどないこともわかっていますし、特許が切れているため、たくさんのジェネリック薬があり、薬価は50円〜500円(一粒あたり。一回の投与量は体重によって変わる)と、経済的負担も軽くてすみます。オンコセルカ症の予防薬として、イベルメクチンに最も高い関心を持ったのは、WHO。途上国で医薬品を普及させるためには、それを扱える医師、薬剤師、看護師等が必要になります。イベルメクチンは飲み薬ですし、体重によって処方量が変わるだけですので、ボランティア・スタッフに医学の知識が必要ありません。簡単なトレーニングさえ行えば、現地の一般市民が予防薬を処方できるという普及のしやすさも、WHOからの評価が高い理由でした。高価な保管設備も不要ですし、複雑なロジスティックを考える必要もありません。WHOは、大村智博士と、製造会社メルクに依頼し、アフリカで広く普及させたとのことでした。

ところが2020年のWHOのイベルメクチン に対する反応は冷たいものでした。「新型コロナウイルスの治療と予防に効いている」という医学報告が世界各地から多数あがっているにも関わらず、イベルメクチンをコロナの治療薬・予防薬として用いることに反対しています。現場の医師や研究者らは、「イベルメクチンがコロナパンデミックを終息させる切り札になるかもしれない」と、高い期待感を持って、WHO、CDC、FDA等に働きかけているのですが、答えはいつもNG。

イベルメクチンを単独で用いた結果ではなく、亜鉛等の他の薬も投与しているケースがあるから”                                        ”発展途上国の医療で行われたデータだから・・・”

リアルワールドデータではなく、治験データとしてイベルメクチンの効果を証明するべきというのが反対派の意見だったのですが・・・。

ワクチンの効果を正確に検証するために、治験では、マスクを外し、ソーシャルディスタンシング等の衛生行動をやめさせたのですか?                                   ”妊婦や新生児に対しても、ワクチンの安全性はリアルワールドデータで証明されている”と、堂々と宣言されていましたが、リアルワールドデータはダメだったのではないのでしょうか?

と、いう疑問が生じるくらい、ワクチンに甘く、イベルメクチン に厳しい審査を要求しています。こういったあからさまなダブルスタンダードを正々堂々と行うことが、世界的なトレンドなのでしょうか。

では、科学の権威ともいうべき機関が「発展途上国の医療データは・・・」と言っていたアフリカの医療が実際どうたったのか? ”患者を死なせない”という究極の医療データとして、死亡者数を見てみましょう。

アフリカの死亡者数 (対アメリカ、UK)

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実数でみると、南アがUKよりも多い(アメリカよりはかなり少ない)以外は、再び、グラフが全く見えない状態になっています。

こちらも100万人あたりで見てみると下記になります。

100万人あたりの死亡者数 アフリカ VS アメリカ・UK

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ナミビアが突出しています。セイシェル、チュニジアは、UK・アメリカレベルですが、他はやはり低くなっています。ただ、アフリカはセイシェル、チュニジアを含め、グラフの動きが先進国とは違う独特なものがあるようですので、個別に見ていく必要はあるかと思います。

ただし、これらの死亡者数のデータを見て、「途上国の医療データは・・・」と、上から語れるものなのでしょうか?確かに途上国の医療リソースは先進国に比べてかなり限られたものになっています。にも関わらず、ここまで抑えているということは、逆に、先進国が学ぶべきことがあるのではないか?と思います。

そして、アフリカの死亡者数の少なさは、多くの研究者が主張する”治療薬としてもイベルメクチンは有効”を示しているのではないかとも思います。リアルワールドデータがダメだというならば、政府、製薬会社が一丸となって、オペレーション・ワープ・スピードで治験を行うべきです。

免疫を高めるライフスタイルは非科学的か?

もう1つアフリカから学ぶことがあります。それは治療法が確立していない時の、感染症への対応の仕方。すでに感染している前提で、発症をさせないような生活を送るということです。例えば、疲れすぎない、ストレスを溜めすぎない等、自分の中の免疫が最大限に発揮できるよう”免疫を高めるライフスタイル”を心がけます。

実は、SARS禍のときに、中華圏にいた私は、このアフリカの友人からの教えに従って生活していました。SARSパンデミックの当初は、不治の病のような印象がありました。今ほどインターネット上の情報が充実していませんでしたので、メディアが退院した患者が出た話を封じるまでは、”かかったら最期”という恐怖がありました。

そんな中、この教えは支えとなりました。アジア風にアレンジしたのは、免疫を高めてくれるとされるお茶を飲んだり、使用後の茶葉をフローリングに巻いて拭き掃除をしたり(日本風)、”医食同源”に従い、食べるもので免疫力を高めたり(中華風)辛いことをジョークにして笑い飛ばす(香港風)等々。そういう情報を集めるのも楽しかったですし、”対策をしている”ということで、不要な不安感を取り除くことができました。

ところがこのような”免疫を高めるライフスタイル”は、アメリカの医師は”非科学的”と考える傾向にあります。免疫はその仕組みが複雑すぎて、免疫を高めるアイデアが単独で機能することはありません。そのため、科学的な証明ができていないと、ハーバード大学はいいます。ただし、同大学は、科学が証明した一般的な健康法は、免疫機能を高めてくれる可能性は高いとも付け加えています。以下、ハーバード・メディカル・パブリッシングの”How to boost your immune system”からの引用です。

免疫力を高めるためにはどうすればよいのでしょうか?
免疫力を高めるというアイデアは魅力的ですが、いくつかの理由から、それを実現する方法は見つかりませんでした。免疫システムは、まさにシステムであり、単独では機能しません。うまく機能するためには、バランスと調和が必要です。免疫反応の複雑さと相互関連性については、研究者がまだ知らないことがたくさんあります。今のところ、ライフスタイルと免疫機能の向上との直接的な関連性は科学的に証明されていません。                           しかし、生活習慣が免疫系に与える影響が興味深いものではなく、研究すべきでないというわけではありません。研究者たちは、食事、運動、年齢、心理的ストレスなどが免疫反応に与える影響について、動物と人間の両方で研究しています。しかし、一般的な健康法は、免疫機能を高める可能性が高く、他の健康上の利点も証明されているので、理にかなっていると言えるでしょう。

きちんと調べたわけではないですが、コロナに関しても、ドイツの研究で、ザワークラフト等、発酵食品が免疫を高めるというのが出ていましたし、他にもいろいろあった気がするので、あれは科学的証明されたわけではなかったのか?という疑問点が残るのですが。

いずれにしても、データに基づいて考えることは重要です。しかし、全てが現代の科学で説明できるわけではないのも事実です。アフリカで感染が抑制できている要因があるのならば、それが科学的に証明できなくても、やはり仮説として試してみることがパンデミックの収束の近道になると思います。


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