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米国コロナファシズムVSテキサスの医師(2)患者を救うために必要なもの

小さなクリニックでの治療法の確立・成功事例

現在では、ワクチン推進の邪魔となる早期治療を目の敵にしている感もあるメディアですが、パンデミック初期には、早期治療に好意的だった時期もあります。5月15日付けロサンゼルスタイムスでは、”COVID-19患者を救う方法を見つけているテキサスの小さな病院”という記事が紹介されています。

ヒューストンのユナイテッド・メモリアル・メディカル・センターのチーフ・オブ・スタッフ兼クリティカル・ケア・サービスのチーフであるヴァロン氏は、看護師と医学生のボランティアからなる小さなチームとともに、COVID-19の患者を治療し、驚くべき成功を収めている

当時は患者が”COVIDに感染した”という事実を受け入れられず、治療の途中で、帰ってしまったり(翌日、悪化して戻ってくる)、医療保険に入っていないことを理由に、救急車や救急医が治療を断るケースもあったようです(*1)。全体的に記事では、コロナ患者に現実(コロナ感染したこと)を受け入れさせ、治療を受けさせる重要性について語られています。

思い返せば、パンデミック初期のアメリカでは、”パンデミックなんてものは、遠いアジアやアフリカ、中東で起こるもの(自分たちの国では起こらない)”というような、かなり正常性バイアスがかかった状態でした。特に元気な人にとっては、いきなり”死ぬかもしれない感染症にかかりましたよ”と言われても、なかなか受け止められないものなのだと思います。とは言え、下記の引用文に出てくる患者さんたちは、態度悪すぎですが・・・。

中国、イタリア、スペインの同僚にも相談しているヴァロン氏は、ステロイド、血液凝固剤、ビタミンC、そしてトランプ大統領が宣伝している薬の1つであるヒドロキシクロロキンという治療法を採用しています。しかし、効果的な治療法であっても、患者が治療を拒否すれば意味がありません。「医師の助言に反して退院しようとするテキサスのCOVID患者がいたとしても、結核患者はともかく、裁判所から入院を命じられたことはない」、とヴァロン氏は指摘する。先週、COVID患者の中には、待ち時間が長いことを理由に、彼の病院の外来を去り、入院書類を垣根に捨てた者もいた。看護婦はブラウンさんが点滴を抜き、前腕に血を流しながら隔離病棟を出て行くのを見守るしかなかった。ブラウンさんは駐車場まで行き、スタッフに説得されて中に戻り、片付けと退院手続きをした。

ヴァロン氏は、1980年代にHIV治療の先駆者となった地元の感染症専門医ジョセフ・ガテ・ジュニア博士(63歳)とともに、COVID治療を微調整していると言います。また、中国、イタリア、スペインとは最初に感染爆発した国=治療経験が豊富な国です。各国で治療にあたる医師同士、情報交換をしながら、治療法の模索をしているようです。記事はこのことに対しても好意的でした。

さらに、記事内ではいくつかの具体的な治療成功例が紹介されていました。

引っ越し業者で2児の父でもあるEliiazar Angel Rodriguezさんは、自分で車を運転して病院のCOVID外来に来た。彼によると、救急車の隊員は、「あなたが床の上で喘ぎ、紫色になっていない限り、病院には連れて行きません」と言って搬送を拒否(*2)したそうです。
ヴァロンは憤慨した。彼は救急車会社に連絡して調査することを誓ったが、楽観はできなかった。彼の病院のように、保険に入っていない人を治療して、政府からの償還手続きを行うところは少ない。「救急車を呼ぶのではなく、直接ここに来るように言わなければならない」とスタッフに言った。COVIDユニットでは、パンディとアレイザがロドリゲスの指に血中酸素濃度計を装着し、気道を確保するためにゆっくりと腹ばいにした。ロドリゲスは頭を上げるのがやっとの状態で、呼吸を助けるための酸素チューブと、独自のカクテル薬を注入するための点滴を装着した。次の日には、彼は座って話したり、食べたり、テレビを見たりしていた。

独自のカクテル薬というのは、ステロイド、血液凝固剤、ビタミンC、ヒドロキシクロロキンだと思います。一般的に、イベルメクチンやヒドロキシクロロキン等の既存薬は、感染初期に効くとされていますが、薬を組み合わせて処方したことにより、頭をあげるのがやっとだったというロドリゲスさんにも、効果があったようです。この辺は既存薬推進派の医師の間でも意見が分かれそうですが、だからこそ、言論統制せずに、より効果的な治療法のために建設的な議論を行うことが重要であるように思います。

*1:救急隊や救急医がコロナ患者の受け入れを拒否するケース:        コロナの治療費は、病院が政府に請求できるようなのですが、手間がかかるのと、確実に支払いが受けられるかは不明であるため、拒否されてしまっていたようです。
*2:搬送拒否:                             救急車の対応もひどいなと思いますが、救急車は呼ぶだけで10万円くらいすると聞いたことがあります。救急隊を庇うわけではありませんが、アメリカの医療費未払いは深刻な問題です。支払ってもらえるかわからない患者をみないというのは、どの医療機関にも共通してみられることです。多くのクリニックでは、新規患者になるための申請書のようなものがあり、その中には、保険償還ができることを確認する、病院と保険会社間の手続きも入っています。申請が却下されれば、診察を受けることができます。医師が患者の診察を拒否することもできます。アメリカは消費者ではなく、労働者の権利が守られている国です。医師は労働者、患者は消費者。根本的なところで、アメリカと日本の考え方は全く異なります。ただし、それをよしとしないヴァロン氏のようなアメリカ人もいることも事実です。

テキサスの死亡率の高さは医療費の問題?

私は以前より、世界最大級のメディカルセンターがあるテキサス州で、なぜコロナの死亡率が高いのか?が気になっていました。一般的にはワクチン接種率が低いからということになるのですが、それを言ってしまうと、インドで死亡者数が抑えられていることに疑問が生じます。下記の3カ国はどこも、一時期感染急増が起こった国ですが、ワクチンで抑えたUKとイスラエルに対し、インドのワクチン接種率20%。ワクチンの代わりに使ったのがイベルメクチンでした。

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そうすると、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンを使った早期治療を推進する医師がいるテキサスで、死亡率がもう少し抑えられて良いのではないか?という疑問にぶち当たります。

テキサス州でのコロナ死亡率を上げている要因、それはアメリカ南部地方に共通する問題ーー肥満・慢性疾患等ハイリスクの人が多いがその一因ではないかということを以前にご紹介しました(【アメリカのコロナ事情vol.3】”南部で感染が拡大している”は本当か?)。

もう1つの理由をこの記事内に見つけた気がします。以下の2つです。

彼は、治療を終えずに帰ってしまう人が死ぬことを心配している。また、全く治療を受けない人のことも心配している。テキサス州は国内で最も保険に加入していない人が多く、メディケイドの拡大を拒否しています。
彼ら(ヴァロン氏)は、保険に加入していない人を対象にCOVIDの検査と治療を行う非営利財団を立ち上げた。疾病管理予防センターがワクチンや代替療法を検討する一方で、ヴァロンは「私たちは自分たちで道を切り開かなければなりません」と語った。

アメリカの医療費の高額ぶりは、世界の中でも際立っています。医療保険は民営企業が運用しているため、毎月の保険料も高額ですし、保険を使ったとしても、1回の診察料が7000〜8000円程度かかってしまいます。薬代は別です。さらに、全ての病院で受け付けてくれるわけではなく、基本的には、自分の保険の提携先病院に行きます。

では、メディケイド(世帯所得に応じて政府が支援する保険)が良いのか?といえば、他の医療保険と同様、全ての病院がメディケイドを受け入れてくれるわけではありません。聞いた話では、むしろ、かなり限定されているようです。医療機関が保険会社への請求手続きがおそらく複雑で、支払われる金額も低く設定されているのだと思います(医療費は、保険会社と医療機関の交渉により決まります。定価はありません。下記の【ご参考】アメリカの医療保険のところでもう少し詳細をシェアさせていただいています。ご興味があればそちらもぜひ)。

早期治療が高額になる要因

医薬品がなぜFDAの承認を得ようとするのか?その1つの要因が保険会社との交渉がしやすくなるというのを聞いたことがあります。保険償還できれば、その医薬品の販売力が高まります。ただし、承認を受けたら自動的に保険償還できるわけではなく、各医療保険企業に交渉となります。薬価や診療費に定価がなく、同じ医師、同じ医薬品でも、この交渉次第では、保険を使っての受診ができなくなったり、医薬品の金額が変わったりします。

そもそも”医師が必要だと思って、処方した薬や治療法に対し、保険会社が却下できる仕組み”というのが日本の医療保険制度に長くお世話になっていた身としては理解できません。どうしてもその薬や治療法をということであれば、再度、交渉することもできますが、保険会社との話し合いは、担当者が変われば言っていることも変わりますし、たらい回しは当たり前なので、悟りをひらくための修行だくらい思わなければやっていられません。

本題に戻りますと、FDAやCDCが認可していない治療は保険が効かないことが多く、高額になりがちです。アメリカで、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンの処方を受けようとしたら、第一に、それらを使った早期治療を行なっている医師を探し受診する必要があります。既存薬の承認外使用により早期治療を行なっている病院・医師は、FLCCCやAAPS等のコロナの早期治療を推進している医師グループが提供する医師リストから調べることができます(アメリカ国内のみ)。大規模病院や、病院グループは、連邦政府やNIHとの協力関係等々の都合からか、CDCやFDAのガイドラインに沿った治療を行う傾向にあるため、リストに掲載されているのは、個人または小規模クリニックが多いように見受けられます。ここで医師が見つかったとしても、ここで発生するのが医療費の問題。個人や小さなクリニックの場合、先ほど、少しだけ紹介した保険制度の複雑さから、保険を受け付けていないことが多く、その場合、全額自己負担となります。

次に薬局です。イベルメクチンを取り扱っている薬局を探す必要があります。こちらもネットに専用サイト(アメリカ国内)があるのと、医師のオフィスから確認することもできます。しかし、ここにも保険という関門があります。イベルメクチンを扱う薬局に行ったとしても、保険会社が”必要な薬”と考えるかどうかはわかりません。保険会社と薬局との関係も影響します。イベルメクチンやヒドロキシクロロキンはFDAの承認を受けていますが、承認された使用法はコロナ治療ではありません。その場合には、保険適応がされないことも(多々?)あります。これは本当に保険会社の担当者のみぞ知る・・・ということになります。

薬価の一例:                                早期治療を推進する医師からイベルメクチンをはじめとする数種類の薬を処方され、薬局Aにいくと、保険が全く使えず、合計金額は20万円を超えています。こういう時は薬局は必ず、「合計、20万円以上しますがどうされますか?他に行かれますか」と、購入意思を確認してきます。この質問は「ジェネリックにしますか?」くらい普通な会話ですので、簡単に断れます。この場合、病院に電話をして、処方箋を別の薬局に送ってもらうことになります。薬局Bではイベルメクチン 以外の薬に保険が使えたようで、合計3万円弱。20万円の薬代が3万円に!なのですが、薬代3万円というのも、かなりの高額です。

本来、既存薬、それも特許切れの薬を処方された場合、患者の経済的な負担が少なくなるはずなのですが、そうはならないのが今のアメリカでは現状です。イベルメクチンが効く、早期に治療を受けることが重要、それがわかっていても、経済的な負担がその選択肢を取りづらいものにしています。記事に登場する、ヴァロン氏が、保険に加入していない人を対象にCOVIDの検査と治療を行う非営利財団を立ち上げた理由は、アメリカの高額な医療費の問題を解決しない限り、コロナから人を救えないと思ったからでしょう。

コロナと闘うのに必要なこと

記事は、ドラマ風にまとめたものでしたので、”パンデミック初期のコロナ治療に必要なもの”という点からまとめると・・・。

1)治療法の確立               

2)医療費問題の解消

3)正しい医療情報の啓発

この3つが必要だったかと思います。そして、パンデミック発生から2年近く経った今でも同じ課題を抱えています。

ここからは、私感です。

1)治療法の確立ですが、ワクチンや新薬等、さまざまなコロナ治療法が出てきています。もちろん闘うための武器は多い方が良いかと思いますが、これらの新種の武器がない時にも、既存薬をうまく活用して患者を救っていた医師たちはたくさんいました。なぜ、そのことを無視するのでしょうか。

2)医療費の問題は、構造的なものなので、すぐに解消できるものではないかと思います。ただ、FDAの承認により、薬の保険適応を認めれば、かなり初期治療が受けやすくなります。既存薬の承認外使用については、副作用が明らかということと、低めの薬価というメリットがありますので、そこも評価に入れ、EUAを出してほしいです。

3)正しい医療情報の啓発のためには、ビッグテックの検閲を辞めさせることが不可欠です。ビッグテックは今年5月、それまで陰謀論として検閲対象としてた、”コロナの起源・ラボ流出(人工ウイルス)説”に対し、検閲対象から外すことを発表しました。民間のテクノロジー会社が、広めて良い情報、悪い情報を勝手に判断できるというのは、とても危険なことかと思います。今のアメリカは日本よりもファシズムが進んでしまっている気がします。

【ご参考】アメリカの保険制度

アメリカの保険は、基本的に全国民が加入するようになっていますが、とても高額です。月々の保険料も高額ですが、保険を使ったとしても、1回の診察料が7000〜8000円程度かかってしまいます。この毎回の負担額も、保険会社と個人で負担割合が完全に決まっているわけではありません。いちいち審査が入ります。診察内容と受けた治療に必要性がないとして却下されれば、患者が保険会社の分も支払わなくてはなりません。

そもそも、アメリカの医療保険は民営企業が運営しており、その仕組みが本当に複雑で、日本のようにどこの病院でも受け付けてくれるわけではありません。保険会社と提携がある病院(自己負担がやや低め)、提携はないが受け付けてくれる病院(自己負担額が高くなる)、受付ない(受信するなら全て自己負担)の3種類あります。さらにややこしいのが、保険会社の中にもいろいろなプランがあり、このプランによっても、負担額や提携の有無が変わってきます。、

どこかの大学か忘れてしまったのですが、600床の病院の中で、会計関連の従業員が1300人いるというのを聞いたことがあります。保険の仕組みが複雑で、請求プロセスもスムーズではないため、それくらいの人数がいないと捌けないと言われると、そうかもなという気もします。そして、この必要な従業員の多さがまた、医療費を押し上げる要因になっています。

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