見出し画像

【アメリカのコロナ事情vol.3】”南部で感染が拡大している”は本当か?

コロナアップデート:基本情報

まずはアメリカ全土での新規感染者数の推移についてです。9月13日以降、少しずつ減少傾向にあります。

画像7

次にコロナパンデミックで何かと名指してダメだという指摘を受けているテキサスの新規患者のグラフです。6月12日以降、高い位置で推移していますが、9月14日を最後に下降傾向にあります。

画像1

マップによる各州データを比較

では、他のエリアとの比較で見てみますと・・・・ここから先は全てCDCのデータとなります。

画像2

10万人中の新規感染者(7日平均、2021年9月17日)です。色が薄い→濃いで、感染者の多さを表しています。ローンスターの旗があるところがテキサスです。南部で拡大というよりも、アメリカ全土で広がっているようです。CDCのこのデータは、過去に遡っての作成ができないため、過去の感染状況を同じマップで見ることはできないのですが、少なくともテキサスに関しては、6月12日以降、ほぼ横ばいですので、他の週と比べて、決して少なくはないですが、名指しで批判を受けるほど、悪いという感じでもないかと思います。

個人的にテキサスを始め南部が問題なのは、死亡率の高さの方だと思っています。こちらもCDCのデータで、10万人あたりの死亡率(7日間平均、2021年9月21日)のものです。

画像3

南部の死亡率を上げる要因を検証

CDCの同じページにワクチンの地域別情報もあったのですが、なぜかテキサスのデータのみ”No Data”になっているため、使えませんでした。CDCの発言を検証したいということもあり、できるだけCDCのデータに拘ってみたいため、探してみます。

今回は、重症化リスクである基礎疾患のデータをみてみましょう。濃い色の方が数値が高いことを表しています。

画像4

想像した通り、南部が高めです。ざっくりと死亡率のマップと、こちらのマップと、似ていませんか?なぜ、想像した通りなのかといえば、次のマップです。CDCのデータで、2020年の自己申告による肥満のデータです。

画像5

アメリカの肥満問題は深刻です。肥満は様々な疾患の原因となります。もちろん、肥満自体も深刻な疾病の1つとして扱われています。コロナに関しては、基礎疾患と分けてあえて”肥満はリスク”と強調されていますから、表には出てきてはいませんが、現場サイドにはそのようなデータがあるのかもしれません。ただ、オレンジと赤の深刻さの違いがどれほどあるのか?ということを考えると、肥満問題はアメリカ全土で問題なのだとは思います。

日本のYouTuberの方で、「エクモを使っている人を映したニュースを見ていると、肥満が重症化の原因だということが、手足から体型が推測できる」というようなことを言われていて、なるほどそういう判別の仕方もあるのかと思いました。

3つ並べると下記のようになります。

画像6

感染爆増の原因を探る記事(アメリカのコロナ事情】感染爆発の原因を探るVol.2)でも、申し上げたのと同じように、死亡率を高くする要因についても、何か唯一の原因があるというわけではなく、いろいろな要因が関係してくるものかと思います。その要因を少しずつ小さくしていくことが重要ではないでしょうか。

パンデミックにより一層深刻な肥満問題。今こそ対策を

コロナで自宅勤務体制をとる企業が増え、通勤や社内でのわずかな移動がなくなりました。ジムやヨガスタジオ等エクササイズをしていた場所が閉まり、定期的な運動量が減ったところに、ファーストフードやコーヒーショップ等もドライブスルーオンリー。買い物はできるだけオンラインで済まし、店舗タイプのスーパーも配達や、商品のテイクアウト(ほしい商品を店員が取りまとめ、店舗で受け取る)等の便利なサービスが利用できるようになり・・・・気が付けばひとまわり大きくなっていて・・・(私の体験談を語っているような気もしますが・・・)。

パンデミックが起こってから、慢性的な運動不足は、多かれ少なかれどこの国、どこの地域、どの人にも起こっているのではないでしょうか。人混みを避けることは大切ですが、体を動かすことも意識的に行わなければ、自ら重症化リスクを高めてしまうことになりかねません(私自身へのメッセージ)

私自身の話はさておき、アメリカの肥満問題に戻ると、子どもの肥満はさらに深刻です。食事や生活スタイル等、子供は親の習慣をある程度引き継ぎますから、肥満問題も、親子で抱えているご家庭が少なくないように見受けます。パンデミック前には子ども病院等で、子どもの肥満対策プログラムが行われていましたが、緊急に必要な医療行為以外はクローズになってしまった時期がありましたので、現在、どのような状況なのかはわかりません。昨年はオンライン授業をとる学校が多かったですので、子どもの肥満問題も確実に悪化しているかと思います。

アメリカの肥満問題はまた、貧困とも関係してきます。食費をできるだけ抑えようとすると、ファーストフードをはじめ、カロリーが高い割りに栄養価が低い食事を選びがちだからです。安いスーパーはとことん安いようですが、その分、どんな食品を扱っているか不安な点が残ります。どこまで本当かわかりませんが、在米中華系YouTuberの人が、安いスーパーの肉には磁石がくっつくという噂を聞いて、磁石を持って店内でテストしていましたが、中級クラスよりも安いスーパーでは、磁石が反応しているようでした。一方、オーガニック等を扱っている店ではそのようなことは起こりませんでした。”磁石がくっついた”事象が本当だったとして、それが私たちの健康にどのような(悪)影響を与えるのか(与えないのか)わかりません。ただ、口に入れるものは、慎重にならなければ怖い時代なのだなと思います。

とは言え、経済的に困窮すれば、そんなことも言っていられません。コロナにより経済をフル稼働できない状態がこれからも続くと、経済的な困難を抱える人が増えます。それが間接的に肥満問題を悪化させ、重症化を増やす・・・という悪循環の懸念もあります。

コロナ対策の一環としても、今こそ肥満問題に取り組むことが重要であるように思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?