2018年 浪江町長選挙 中間分析

 2018年8月5日(日)投票の福島県 浪江町長選挙、浪江町議会議員補欠選挙が行われている。

 吉澤正巳 候補(無所属 新人 / 非営利型一般社団法人「希望の牧場・ふくしま」 代表)と、吉田数博 候補(無所属 新人 / 前 浪江町議会議員)の一騎打ちの構図である。

 福島県の浪江町長選挙と浪江町議会議員補欠選挙の選挙公報は、浪江町役場のwebサイト上に公開されている。

■ 『8月5日(日曜日)浪江町長選挙及び浪江町議会議員補欠選挙のお知らせ』(浪江町ホームページ)


 前回の浪江町長選挙と浪江町で行われた直近の選挙の結果は下記の通りである。

2015年 浪江町長選挙

当 馬場 有 5,786 現職町長(2007年初当選)、元福島県議会議員
落 渡邉文星 1,841 元浪江町議会議員
落 小黒敬三 1,109 前浪江町議会議員

有権者数: 15,761
投票者数: 8,834
無効投票: 98
持ち帰り: 0
投票率: 56.05%
2017年 衆院選 福島5区 浪江町

当 吉野正芳 3703 前 自民党、2017年4月26日から復興大臣
落 吉田 泉 2489 前 希望の党、初代復興大臣政務官
落 熊谷 智  604 新 日本共産党
落 遠藤陽子  419 新 社会民主党

有権者数: 15,789
投票者数: 7,417
無効投票: 202
持ち帰り: 0
投票率: 46.98%
2017年 衆院選 比例代表 浪江町

自民 2,109
公明 864
維新 184
日こ 57
幸福 28

希望 1,780
立憲 1,301
社民 241
共産 565

有権者数: 15,789
投票者数: 7,417
無効投票: 288
持ち帰り: 0
投票率: 46.98%

 浪江町における、2017年 衆院選(比例代表)の結果は、自民、公明、維新、日本のこころ、幸福の得票数の合計が、3,242票なのに対し、希望、立憲、社民、共産の得票数の合計が、3,887票だった。

 すなわち、浪江町は、潜在的には与党よりも野党が強いが、小選挙区では、野党が纏まれず、与党の立候補者が、現役の復興大臣であることもあり、与党が勝った地域であるといえる。


 浪江町は、福島県浜通り北部にある町で、双葉郡に属し、福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所と位置的に近いが、町内には原発や巨大石炭火力の立地が無いため、電源3法交付金を受け取っていない地方自治体だった。

 つまり、浪江町は、原発が近くにあるにもかかわらず、何の経済的恩恵も無く、原発事故により、甚大な被害を被り、避難のため、町民が町外に散り散りになってしまった地方自治体である。

 電源3法交付金を貰っていた福島県内の他の地方自治体に比べ、浪江町の町民の怒りと無念さは計り知れないだろう。

 現在、福島第一原発、福島第二原発は稼動していないが、福島県 双葉郡 広野町にある、東京電力 広野火力発電所は稼動しており、東京都をはじめとする関東に電力を供給している。


※ 浪江町の全人口の98.72%が町外に避難している。(2017年5月31日現在)

■ 『居住人口等について』(浪江町ホームページ / 2018年8月1日閲覧)


■ 『町民の避難状況(平成30年6月30日現在)』(浪江町ホームページ / 2018年8月1日閲覧)


 浪江町の人口は、2011年3月11日時点では、21,542人だったが、2017年5月31日現在の住民基本台帳上の人口は18,256人、実際の居住人口は、僅か234人である。

 2018年6月30日時点のデータでは、浪江町民の14,333人が福島県内の他の地方自治体に避難し、6,243人が福島県外に避難している。

 2018年6月30日時点では、浪江町内の居住人口は、553人となっている。


 町長選挙は、通常、選挙期間が5日間だが、浪江町は、ほとんどの町民が町外に避難しているため、今回の浪江町長選挙は、選挙期間が10日間になっている。


 浪江町で牛の畜産業を営んでいる、吉澤正巳 候補は、浪江町、浪江町以外の福島県内、そして、東京都内で選挙運動を展開し、新橋の東京電力本店前でも演説を行った。

 吉澤正巳 候補は、東京電力への「精神的苦痛の慰謝料」請求金額を50%(月額5万円)増額、放射性物質を含む汚染水の海への放出反対、多収品種米等から生成するバイオエタノールを主要産業化することを主要政策に掲げている。

 下記に、吉澤正巳 候補の演説の文字起こしを記載するので、是非、ご覧頂きたい。


■ 2018年7月27日(金)吉澤正巳 候補 東京電力本店前 演説(文字起こし)

新橋の皆さん、東京電力の皆さん、そして、ご通行中の皆さん、私は、福島県 浪江町で、町長選挙が始まり、町長候補者として立候補した、吉澤正巳でございます。
私達の浪江町は、東京電力の原発、放射能漏れ大事故によって、もう、町の意味を失い、崩れようとしております。
除染をしても、放射能は残っています。
避難解除をしても、浪江町には皆さんは帰れません。
21,500人の浪江町は、やがて、10分の1の2,000人ほどの寂しい村のような状態になっていこうとしております。
私達は、福島県浜通りで、この東京の電気のかなりの部分を50年間にわたり、送り続けてきた、電力供給の福島県浜通りであります。
福島県の電気が無ければ、東京なんか、たちまち、立ち行かなくなる、パニックになります。
この走っている電車、ビルの冷房、照明、エレベーター、全ての東京の電気は、今も福島県浜通りが送り続け、この東京は成り立っております。
しかし、東京電力の、あの3.11の原発事故によって、すっかり、私達のふるさとは、もう、帰れない、放射能まみれの、どうしようもない、場所に変わったんです。
東京の便利、首都圏の便利な暮らし、この日常は、福島県の電力供給によって、今日だって成り立っています。
その、福島県浜通りに対して、原発事故の警戒区域に対して、何が今まで言われたでしょうか。
「放射能黴菌(ばいきん)」、「福島から嫁は貰うな」、「福島は来ないでくれ」、そう言われ続けて、私達は避難先で、様々な差別、いじめを受け続けてきました。
考えて下さい、「原発の安全」などという話は、もう完全に終わっている!
地震で壊れる原発、津波で爆発をする、放射能だらけの原発など、もう、日本において、「さようなら」をすべきです。
何で、原発の再稼動なんだ!
何で、原発の輸出なんだ!
何で、大間の原発の建設なんだ!
(※ 大間原子力発電所 / 電源開発 / 青森県下北郡大間町に建設予定)
ふざけるな!!!
私達の町は東京電力の放射能にまみれ、もう、町としての意味が無い。
福島浜通りの犠牲の上に、この東京が、今日も成り立っている!
おかしいじゃないか!!
福島県を差別して、蹴飛ばして、何で東京オリンピックなんだ!
2020年、東京オリンピックが無事行われるなんて思えません。
2020年こそ、首都圏直下の大地震。
2020年こそ、東南海トラフ、10mの大津波。
私達は、自分達の実体験で、東京の皆さんに言っていきたいと思います。
次は皆さんの番だ!
オリンピックなんか、終始炎上になるんではないだろうか?
あの、オリンピック騒ぎで、クソ暑い東京で、人がいっぱい死ぬんだろう。
止めた方がいい、オリンピックなんか!
そういう風に思います。
私達は、東京電力が、浪江町15,000人町民が賛同した精神慰謝料(※ 精神的苦痛の慰謝料)、月5万円の増額の国が間に入った交渉に対して、一切、東京電力の言うことを聞かない、この許せない態度に対し、私達はこの秋、福島県内最大規模の東京電力に対する、ADR増額の裁判を、浪江町一丸となって起こします。
浪江町町長選挙が、今、戦われております。
私は、浪江町町長となって、この、東京電力に対する、精神慰謝料 月5万増額の裁判闘争の先頭に立ち、浪江町のみんなのために尽くしてまいりたいと思います。
あの時の浪江町の避難は酷かった。
滅茶苦茶だった。
ねぇっ!
連絡は来ない、東電は連絡を寄越さなかった。
避難用のバスも寄越さなかった。
国も、■も、福島県も、浪江町に対して、何もしなかった!
そして、逃げた津島(※ 浪江町 津島地区)で、猛烈な、この東京電力の放射能で、浪江町の避難民は巻かれてしまったんだ!!
貴方達の放射能で、東京電力の放射能で、浪江町が、滅茶苦茶な放射能に、みんなが晒されてしまったんだ!!
浪江町は、大慌てで、3月15日、峠を越えて、二本松、相馬に、総崩れで逃げた、恐怖の逃避行の日々を、私達は忘れない。
私達、浪江町の無念、悔しさ、怒りは、他の原発立地地域と違うんだ!!
(※ 浪江町は、原発や巨大石炭火力の立地がないため、電源3法交付金を受け取っていない地方自治体だった。)
当然、これは、裁判闘争で、裁判官に、しっかりと、訴え、認めてもらえると思います。
浪江町のみんなのために、戦います。
みんなと共に、戦います。
みんなの先頭で、浪江町町長として僕は、吉澤正巳は、戦います!
東京電力が、あの、汚れた、放射能汚染水を、海に流すと言っている。
ふざけるな!!!
福島県の漁業を台無しにする気か!!
東京電力の汚染水で!!
福島県の漁業はまた、滅茶苦茶になるんだ!
いわきの海で、59ベクレルのヒラメが見つかった。
東京電力のせいじゃないか!
こんな、汚染された魚は、次から次から、汚染水を流せば、東電の貴方達が、福島の海を汚すんだ!!!
責任を感じろよ!!
東電の通りがかる貴方達、そんな顔でよく通れるな!!
貴方達が、福島の海を汚し、請戸漁港の猟師さんを台無しにするんだ!!
(※ 請戸漁港は、浪江町の漁港)
東電、責任を感じろ!!
汚染水を海に流すな!!
ふざけるな!!この!
汚染水放出、絶対反対!!
先に福島県の県知事選挙で戦われる、僕は町長になって、内堀知事に申し入れをするぞ、ねぇっ!
東電、汚染水、絶対反対!
福島県の声にしていきます!!
どうしようもないじゃないか、東京電力。
汚染水は、もう、溜め放題。
ねぇっ、廃炉なんか、巧くできるのか、わからないでしょう?
フレコンバッグ、どうするんだよ!
山のように溜め放題になって、もう、風景になってるじゃないか!
その痛みを、東電は、感じろよ。
貴方達は人間だろう!
俺達の苦しみを理解しろよ!!
家にも帰れないんだ!!
貴方達は、帰る家がある。
ちゃんとした■もある。
でも、浪江町は、家にも帰れず、町を潰され、人生潰され!
このような、レベルで、損害賠償請求が終わってはならない。
払って欲しいよ!払えよ!!
精神慰謝料、1人5万円。
毎月、毎月、その避難期間に応じて、東電が払うんだ!
裁判で、東電が払うんだよ!!覚悟しろ!!
貴方達の責任だ。
原発が安全なんて、やってきたこの結果が、福島原発ムラ。
貴方達が精神慰謝料を払うんだ!
月5万円増額、絶対、裁判で勝ち取る!!
その、決意で、私は、この町長選挙を、戦い抜いていきたいと思います。
東京電力の皆さん、ねぇっ!
私は、2011年3月18日、福島県で一番最初に、この東電本店に、乗り込んだ抗議の人間です。
あの時、この場所に、機動隊の車と、報道中継車がいっぱいあって、大変だった。
僕は通してもらった。
そして、この、ゲートのところで、泣いてしまった。
「飼っている牛が全滅するんだ。全部死ぬんだ。」
そして、この中に通してもらったんです。
そして、東電の当時の総務の主任、ワクイさんに、泣きながら訴えたんだ。
「飼っている牛全部が300頭全滅する。必ず裁判やるから、払え!」
そして、俺は言ったんだ!
「何で自衛隊が頑張ってる時、東電は、お前達は逃げるんだ!ふざけるな!」
と言ったんです。
自衛隊が死を覚悟して、あの、爆発する原発に放水をしてる時、東京電力は逃げた!!
許せない!!!
自分達で作った原発を止めることもできず、爆発を制御もできず、自衛隊が戦ってる時、東電の連中は逃げたんだ!!
俺は許さなかった。
だから、牧場の■タンクに「決死救命団結」、そういう言葉を書いて、この、東電本店に、福島県で一番、最初に乗り込んだ。
僕の気持ちは、多分、東電の総務のワクイさんには通じた。
総務の主任、ワクイさんは、僕の話で泣いてしまった。
本当に、あの時を、8年前を、今でも私は思い出します。
地震で壊れる原発、津波で爆発をする、放射能だらけの原発など、もう沢山だ!
原発サヨウナラ、原発の時代を乗り越えよう。
ドイツで、韓国で、台湾で、イタリアで、スイスで、原発乗り越える時代が動いている。
何で日本で、そうならないんだ!!
この、だらしのない、東京電力。
平気な顔して、原発を再稼動しようとする、また事故を繰り返すんだ!!
分かってないんだ、貴方達は!!
柏崎原発が、トラブルを起こせば、もう、おしまいですよ、日本なんか。
何が安全だ!
中越大地震で、柏崎原発、滅茶苦茶になったじゃないか!
また、あんなことを、あなたたちは繰り返すんだ!
懲りてないんだ!!
また、原発事故は起きる。
地震、津波は終わってない!
3.11、東日本大震災は終わってないんだ!!
また来るんだ、地震は、津波は!
富士山が吹っ飛んだら、どうなるんだ!
日本のおしまいですよ。
「日本沈没」の、あの、予言の作品は、今、現実化している!
日本人は、東電の皆さん、分かってない!
今度は、この東京だ!
首都圏直下の大地震、 東南海トラフ大津波、日本のおしまいじゃないか!!
何が原発の安全だ。
何が原発の再稼動だ。
日本中、巻き添えにする気だ。
希望の浪江を作るために、私は、この町長選挙、勝ち抜いて、浪江町町長になります!
そして、この、東京電力に乗り込み、「汚染水放出反対!」、経済産業省に町長として乗り込んで、「汚染水を海に流すな!」、「再稼動をするな!」、町長として、どんどん行動する、浪江町を引っ張る、そういう、浪江町町長になっていきたい。
そういう風に考え、この選挙戦、全力で戦っていきます。
ありがとうございました。
吉澤正巳でございます。
浪江町町長選挙候補者として、私は、これからも、都内を回り、福島県内駆け巡り、選挙勝利、勝ち取っていきたいという風に考えます。
どうも、ありがとうございました!
新橋の皆さん、この新橋の電気は、福島で今日も支えてんだよ!
福島の電気、来なかったら、もう、みんな、おしまいだよ!
福島の電気で、この東京が動いてるんだ!
福島を差別するな!いじめるな!!
福島の電気、止めちゃうぞー!
福島の電気で、みんな生きてるんだ。
分かってんのか?
福島の電気が来なければ、東京なんかお手上げだ!
俺達の福島の電気で、今日も電車が動き、このビルが動き、冷房が使えるんだ!
分かって下さい。
日本の未来を、共に、考えよう。
原発の時代を乗り越えよう!
とことん、人生、残り時間、戦っていきたいと思います。
ありがとうございました!!!
吉澤正巳です。
全力で、選挙戦を戦います。
ありがとうございました!

[吉澤正巳 候補の演説の文字起こし だいたい完了]

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※ 演説の迫力は、文字では伝えられないため、是非、下記の演説動画をご覧下さい。


■ 『「次は皆さんの番だ!福島を差別するな!」吉沢まさみ浪江町長候補 東電前で魂の訴え』(#柿沼竹生 @suplex1127 / 2018年7月27日)

■ 『希望の浪江をつくる!吉沢まさみ浪江町長候補』(#柿沼竹生 @suplex1127 / 2018年7月27日)

■ 『20180724浪江町長選挙立候補予定者 公開討論会(フルver.)』(吉澤正巳 / 2018年7月24日)


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吉澤正巳 候補の動画、関連webページが纏まっている。


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