見出し画像

【No.6 イノシシ捌きのススメ】

こんにちは! 突然ですが、皆さんは豚肉、牛肉、鶏肉なにがお好きですか? 私はもうひとつの選択肢、イノシシ肉が好きになりました。今回はその「イノシシ捌き」や「イノシシ料理」についてご紹介します!

東京のスーパーでは、いつも切り身で売られている豚肉や牛肉ですが、実際に動物を捌いてみると、「こんな段階を経て、商品棚に陳列されてるんだな〜」と、実感します。この記事では肉を捌いている写真も載せていますが、もちろん見ない自由もあると思うので、見たくない方はこの記事を読むのをお勧めしません。一方で、普段お肉を食べているなら、命の大切さを感じて欲しいという個人的な思いも一応伝えておきますね。😎

0. なぜイノシシを捌くのか

とは言ってもまず、なぜイノシシを捌くのかという背景を説明します!
動物を殺すなんてヒドイ!と思う方もいるかと思いますが、農業の害獣として駆除され、焼却処分されるはずだったイノシシを食べているということなのです。

時代を遡ること数十年、中島でイノシシ被害が増えたそうです。以前は生息していなかったイノシシが、ある時、海を渡り中島にやってきたと言われています。(向かい側の倉橋島から来た説が濃厚なのだそう...)

画像8

それから年月を経て、何百頭ものイノシシが中島で繁殖し、みかんや野菜を食べ荒らすようになったため、イノシシの駆除活動が始まりました。その中心となるのが、「中島地区イノシシ被害防止対策連絡協議会」、通称「イノ協」です。

その中でイノシシ肉の有効活用を率先して行っているのが、農音の田中さんです。迷いなく刃物をあてる姿から、最近では“執刀医”とも揶揄されています。ほとんどの場合、駆除されたイノシシは何にも使われず廃棄されます。しかし、田中さんは、「命を奪っておいてイノシシは食べずに捨てるのに、スーパーでは家畜の肉を買うのって何かおかしくない?」という思いから、駆除だけではなく、食用として命をいただくことも始めたそうです。

では、始めます。イノシシの捌き方。

1. 捕まえる

画像1

まず、イノシシを捕まえましょう。
ちなみにイノシシを殺すには「免許」が必要だと知っていましたか? なので自分で罠を作り、ナイフなどで殺したら違法行為となり得ます! もし駆除するなら、まずは狩猟免許の取得をオススメします。

罠に捕まったイノシシは、その日の見回り当番の人が見つけたあと、担当者が止め刺しをして集積所に運ばれます。そこで、特定の条件に合致する個体は血液サンプルを取り、頭部と胃と子宮を摘出。この時、内臓を傷つけてしまうと、胴部分に臭みが移ってしまうので注意が必要です。摘出した臓器や血液は大学に送られ、生態や伝染病の研究が行われます。残りの胴体は解体所に運びます。(イノシシの研究はまだまだ分からないことが多いのだそうで、この研究によって明らかになってきた報告がイノシシ被害の軽減に繋がっているみたいです...)

画像9

(↑大学のイノシシ研究に送られる部位)

2. 解体所へ、内臓処理

画像8

解体所に運ばれたイノシシは、体を水で綺麗に洗われます。
今回は先にお腹を開いていたので、内臓部分に汚れが入らないよう丁寧に水をかけ、毛皮についた土などの汚れを流していきます。血も綺麗に流さないと、肉に臭みが残ってしまうので、しっかりと洗いましょう。

3. 皮剥ぎ

画像3

次に、皮を剥ぐ作業です! まず足首の皮に包丁を入れて、足から胴に向かって皮を剥いでいきます。この時のポイントは、なるべく皮に肉を付けないこと! 少しでも多くのお肉を戴けるように、「さっさっ」と包丁を軽く動かすのがコツ。

ポイントは、絵のデッサンのように包丁を使うことです。もしかして画家の皆さんは毛皮取りが上手なのかもしれませんね🐗

4. 肉をとる

画像4

そして解体です。えぐい写真だと思ったそこのあなた! お肉を食べるとはこういうことです。皮を剥いだイノシシを、今度はモモ・バラ・ヒレ・ロースなど、部位ごとに解体していきます。

実際に解体をしてみると、さっきまで生き物であったものを、自然と食べ物として見ている自分に気が付きました。その時に「やはり私は動物だ!」と、自分の内に秘める本能を実感しましたね。

ちなみに、こうして部位ごとに解体していると、焼肉でなんとなく注文していた部位が、どこの箇所かよく理解することができました(^^) 今度、焼肉にいく時は、「次は、あの部位を食べるぞ!」という思いで各部位の名前を店員さんに注文しようと思います。

5. そして食卓へ

解体したお肉は、もちろん様々な食事に利用できます! 今回はその一部を紹介しますね。

まずは、ポークカレーならぬ「イノシシカレー」です。これは、農音の副代表で主に販売担当をされている、あゆみさんが作ってくれた料理です。それがなんとお肉が柔らかいことか! グツグツと、トマトソースやワインビネガーなどと煮込んで作ったそうです。イノシシの臭みや硬さを全く感じさせない極上の一品でした。帝国レストランに出しても文句なしのメニューでしょう。あゆみさん、ありがとうございました!😋

画像5


2つ目は、豚の角煮ならぬ、「イノシシの角煮」! 門田さんというご近所さんに作っていただいたランチだったのですが、そこで感動したのがこの角煮です! 黒酢と水で煮込み、蜂蜜で甘さを調整、そして隠し味に八角とシナモンを使って作ったようです。(隣の坦々麺も最高の美味でした😇)門田さんも自信満々に、「そこらへんの中華料理屋よりは上手だと思うよ」と話していましたが、まさにそうでしょう! 中島のチャイナタウンが門田亭にありました。

画像6


以上が、イノシシさばきのススメでした! いかがでしたか?
街での生活では、誰かが捌いた肉を「消費者」として買うばかりですが、こうして捌くところから食卓まで流れで経験すると、「命のありがたみ」を実感しますね。日本人として「いただきます」の意味が改めて分かったような気がします...😇  

ではまたお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?