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DAYZ

僕は逃げてばかりいる。
いや、はたして逃げているのだろうか。言葉のあやだ。
実際は都会での生活にメリハリを与えるために自然とふれ合いたいのだ。きっと。

先日、PARK Gallery が主催する枝豆の収穫イベントに参加してきた。
一泊二日、見ず知らずの方々と過ごすなんて、人見知りの僕からすれば相当勇気がある行動だ。
僕個人を知っている方からすれば、「え、行くの?」とひと言。
スケジュール的にも詰まっていたし、個人的にも二の足を踏んだし、けれども畑の魅力の方が優ったのである。

当日は待ち合わせはお茶の水駅前。
参加者との相乗りということで行ってみると、初対面の参加者が2人。
「どもー」なんて挨拶して、移動の車のなかでもたわいない会話。
今の仕事に関して紹介するのは難しいが、自分に関して紹介するのは簡単である。
PARK Gallery 元アシスタント」これだけで話が片付く。
知らぬ間にすごく便利な呪文を獲得していたようである。

ちょっとばかしの渋滞を乗りこえ、東京から2時間。
気づけば、見慣れた地方の景色が広がっていた。
神奈川県・美南足柄。
四方が山に囲まれており、広大な自然が溢れるステキな町だ。
本日は畑でえだまめの収穫ということもあり、これから先に待つ光景に思いを馳せる。

畑には合計10人くらいの参加者が集まった。
地元の方、PARK Gallery の加藤さん、大豆のプロ篠崎さん、常連でライターのivyくん、カメラマンの新多さん、同じくカメラマンの熊谷さん、近隣でデザイナーとして活動する鈴木さん、オカナナちゃん、ivyくんのお友だちふたり。そして、僕。

それぞれ挨拶をしたのち、いざ畑へ。
僕らが貸していただいている畑は全部で3つに分かれており、まずは真ん中の畑へ。
ここには山形の大豆"秘伝"を植えている。
"秘伝"ってのは知っているひともいるくらい有名な大豆であり、これを山形とは気候が異なる足柄にて栽培収穫するのは、ある種ロマンを感じる。
自然栽培ゆえ鬱蒼としげる草をかき分け、畑にへと入る。

一見、雑草に囲まれてわからないが、よくよく観察するとちいさな枝豆がポツリポツリと実っている。
これらをまるっと収穫するのはさすがに気が引ける。
中でもふっくら実っているものだけ選んで、着てきたシャツのポケットに入れた。

つぎに向かったのは日当たりが良い高台の畑。
ここには神奈川原産の大豆が植えられている(まちがっていたらごめんなさい)。
畑に入る前から青々とした枝豆が目に入る。
"これは大収穫だ"とみんなで根っこを引き抜いて、今日食べる分の枝豆を確保する。
茹でたての枝豆を片手にビールをのむ姿が容易に想像できる。ごくり。

最後にしたの畑へ行ったところ思わぬ収穫が。
というのも、現地のひとのご好意で空芯菜が取り放題。
空芯菜といえば中華料理の空芯菜炒め。
胡麻油、ナンプラー、ニンニクが効いた酒飲みには最高の"アテ"だ。
僕らはホクホク顔でホームとしている事務所へと戻った。

ビールを片手に食べる準備。
収穫した枝豆を洗って、塩もみ、茹でてちょこっとつまみ食い。
噛んだ瞬間に広がる青々とした香り、実も淡白だがしっかり旨味を感じる。
そこですかさずビールを喉に流し込めば完璧。
いまにも天国に登りそうな心地よさ。ガンダーラ。

そうこうするうちに気づけば、夕暮れ。
ひやりとした風が心地よく、肌を撫でるたんびに心が洗われるようだ。
どんだけ都会に疲れているんだって己につっこむ。
でも、それくらい気持ちよかったんだ。

さすがに寒いのと地元のひとから注意が入ったので、事務所内で宴会の続き。
何を話したのかさずがに酔っていて朧げだけれど、終始たのしかったのは確かだ(だって、消灯したのが3時ちかくですもの)。
ご好意で借りた毛布に包まって雑魚寝。
BGMは自然の音でまたもや"最高だなあ"って感じる。

閑話休題。
おでかけするとヤケに寝られないタイプっていませんか。
それは、僕です。
この日の夜も"最高"と思いつつ、ヤケに寝付けない。
気づけば薄ぼんやりと夜が明けてきて、朝の気配を感じる。
寝ることをあきらめて日の出をみることに。
おまけに僕以外は爆睡しているなかで見る日の出はさぞ贅沢にちがいないと考えたのでした(イタズラ心)。

外に出て、紅茶片手にタバコを燻らす。
刻一刻と様変わりする空、時おり聴こえる鹿の鳴き声。
この瞬間をなんとか抑えようと iPhone 片手に試行錯誤。
背伸びしたり、這いつくばってアングルを探って撮った写真はこちら。

足柄の日の出。すごく真っ赤で神々しいくらいだ。
日に照らされる緑も美しい。
こんなにキレイな雑草を目にするなんて…!

iPhone の底力を見た気がした(ちなみに機種は 13 Pro )。
予定があったので、朝出発組とともに東京へ。
その後はバタバタとI日を過ごし、ふうと一息。
なんか違和感を感じて手元をみると右手に湿疹が。
右手だけじゃなく、全身にもある…!?

翌日あわてて皮膚科にいったところ「ダニですね」と診断が。
いまも薬を塗って生活しているけれど、湿疹をみるたび思い出す。
畑で過ごした1日を。枝豆の味を。木々の擦れる音を。
遠くから聞こえてきた鹿の鳴き声を。
いちばんはみんなの酔っ払った笑顔を。

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