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出前館のビジネスモデルを図解~飲食店の救世主?Uber Eatsとの違いは?

こんにちは!
野見山です。

昨日、4月30日(木)にカンブリア宮殿で放送された、「コロナ&外食不況に負けない!出前代行ビジネスのフロンティア」を見られた方いますか?

番組の中で「救われた 救世主」という飲食店経営者の言葉があり、「外出自粛の強い味方」として、出前館が紹介されていました。

そんな僕は今日のお昼、出前館でインドカレーを注文し、ステイホームを楽しみました(^^)外出自粛期間の出前は飲食店の応援にもなりますよ!

緊急事態宣言の延長もニュースになっており、飲食店にとって非常に厳しい経営環境が続くと感じています。出前やテイクアウトで、売上確保したい飲食店向けの参考資料として、出前館のビジネスモデルを本記事では紹介します。今回の記事は、以下の内容を知りたい人向けです。

・出前館とUber Eatsの違いを知りたい
・フードデリバリーの導入を検討している飲食店
・飲食店の支援をしている士業

■出前館とは

・会社概要

社名:株式会社出前館
設立:1999年9月9日
資本金:11億1,338万円(2019年8月31日現在)
従業員数:139人(2019年8月31日現在)パートタイマー、アルバイトを除く
事業内容:インターネットサイト『出前館』の運営、及びそれに関わる事業

日本最大級のデリバリーサービスである『出前館』の運営を事業内容としている企業です。飲食店の代わりに、出前を行うビジネスを展開しています。僕自身も以前からレストランの看板などで、よく『出前館』の名前を目にしていたので、ご存じの人も多いかと思います。ホームページを見ると、大手の外食チェーンをはじめ、地元の飲食店などが表示されていますね。

出前館店舗

出典:出前館のホームページより

・市場規模

2018年の中食(惣菜)の市場規模は10兆円超で、共働きする女性の増加や高齢化を背景に、拡大を続けています。本記事の中食は、家庭外で調理・加工された弁当や惣菜を、テイクアウトや配達を通じて食べること、と定義します。

惣菜市場

出典:2019年度惣菜白書ダイジェスト版

・PEST分析

外部環境の分析として、直近のコロナの状況を踏まえたPEST分析です。

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PEST分析をした結果、出前館やUber Eatsを始めとする、フードデリバリーの事業会社にとって、追い風となっていることが分かります。

・直近の業績

出前館の直近の2019年8月期の決算の業績を紹介します。出前館事業の売上高は、前年比132.3%で成長を続けていることが分かります。営業利益が減益となったのは、事業拡大のための投資コストが主な理由のようです。

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出典:出前館 2019年8月期(第20期)決算説明会資料より抜粋

・主要KPIの状況

次に、出前館の主要KPIである、①アクティブユーザ数、②加盟店舗数、③年間オーダー数、の直近の推移を紹介します。ちなみに出前館の加盟店舗数21,450に対し、Uber Eatsの加盟店舗数が約14,000 (4/30 カンブリア宮殿で紹介)のため、出前館のほうがUber Eatsよりも加盟店舗数が多いのです。(Uber Eatsのほうが多いと思っていた人も多いのでは?)

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出典:出前館 2020年8月期(第21期)第2四半期決算説明会資料より抜粋

■ピクト図で見たビジネスモデルの概要

出前館のビジネスモデルを図解すると、以下のようなイメージです。

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・顧客はパソコンかスマホを通じて、出前館のWebサイトで料理を購入。
・直営の配送拠点もしくは配送パートナーが、飲食店に料理を取りに行き、顧客への配送代行を担う。
顧客は通常の2~3割程度、値増しされた出前料金で購入する。飲食店は出前館への販売手数料(サービス利用料+配達代行手数料)を差し引いて、売上を確保できる。

■ビジネスモデルキャンバスでポイントを把握

ビジネスモデルキャンバスで、ビジネスモデルを俯瞰的に見ると以下のとおりです。

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出前館のビジネスモデル上でポイントとなっている、以下3点について詳しく確認を進めていきます。

①スピーディーで時間通りの配達
②出前館の収益モデルと導入飲食店のコストメリット
③LINEとの業務提携でテイクアウト領域への進出

■ポイント① スピーディーで時間通りの配達

出前館は「スピーディーで時間通りの配達」を実現するために、直営の配送拠点と法人の配送パートナーに対し、配達や接客の研修を義務付けているため、配送品質が高い。ただし、配送能力の確保を課題に挙げています。

これがUber Eatsの場合は、配送代行を自社で行わず、副業などで稼ぎたい個人をうまく活用して、配送代行をしている。この配送システムのメリットは、配送能力の確保がしやすい点。デメリットは個人に依存するため、配送品質に懸念がある点が挙げられます。

出前館は配送能力をさらに強化するようなので、サービス向上が期待できそうです。
・LINEから300億円の出資を受け、配達拠点を290拠点から500拠点へ強化。
・Mobility Technologiesと、タクシー会社との配送マッチング実現に向けた業務提携。

■ポイント② 出前館の収益モデルと導入飲食店のコストメリット

出前館は、出前の代行をすることで飲食店から、商品代金の10%のサービス利用料と、30%の配達代行手数料を得る、収益モデルを構築しています。Uber Eatsの場合は、サービス利用料と配達代行手数料を合わせて商品代金の35%の手数料を得ています。

これを導入する飲食店の目線から見た時に、約40%もの原価をかけてでも、コストメリットが出るのか、という疑問が出てきませんか?出前館などの配送代行を使わず、自社で出前をするケースで考えてみましょう。

まず、出前の情報発信用として、「チラシ」の販売促進費をかける必要があります。ですが、顧客側のチラシを見て注文を出す割合がおよそ1%程度らしく、非常にコストパフォーマンスが悪いというのが従来の出前の課題。

出前館であれば、従来チラシでかかるはずだった販売促進費よりも安い価格で、出前館の販売チャネルを使える、というメリットが出てきます。このメリットを踏まえて、出前用の料金設定をいくらで設定するかは、出前の事業を始める際に検討しておきたいポイントですね。

ちなみに5月1日から10月31日は、新型コロナウイルス問題への飲食店への支援ということで、配達代行手数料が7%引きとのことです!

■ポイント③ LINEとの業務提携でテイクアウト領域への進出

2020年3月26日に発表されたLINEとの業務提携により、LINEのテイクアウトサービスの「LINEポケオ」が出前館に事業譲渡されました。これにより、出前館がフードデリバリーに加え、テイクアウト領域へも進出することに。

飲食店にとっても、出前よりも利益率の高いテイクアウトが、出前館のサービスで使えるようになるのは、サービスを選択するメリットが増えますね!

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出典:出前館 2020年8月期(第21期)第2四半期決算説明会資料より抜粋

■おわりに

今回の記事では、出前館のビジネスモデルをお伝えしてきました!

飲食店の経営者、飲食店を支援する方に、何かしら役に立つ情報が伝えられていたら嬉しいです。また、外出自粛でステイホームをしている皆さんも、フードデリバリーやテイクアウトを利用して飲食店を応援しましょう(^^)

今後、ビジネスモデル系の記事については、「ビジネスモデル思考になるためのマガジン」として、マガジンにまとめていきますので、良かったらフォローください!

それではまた!

(次回のビジネスモデル図解の対象は、タイムズのカーシェアです。)

(こちらも関連するビジネスモデルです。参考までに)


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