【社会人1年目】車中泊生活を始めて2ヶ月。得たもの、失ったものとは。

縛られる人生に耐えられなくなって
「おうち」ではなく、「くるま」に住み始めた。

時間と場所に拘束され、ひたすら走り続ける大手IT企業での社会人生活に違和感しかなく、
気付いたら精神科の先生から鬱診断をいただき、休職していた。

収入はゼロの状態。
社会的には、極限状態と言っても過言ではなかっただろう。

しかし、
当の本人は、時間と場所の拘束から解放された喜びに満ち溢れていた。

「車中泊生活、始めるよ！」

そう呼びかけると、カメラマンが賛同してくれた。

「じゃあ私の大好きな高知県を思うがまま一緒に回ろう！」

ただの遊び。

好きなことを毎日する生活。

高知県内を放浪としていたら
出会うことができた
たくさんの方々と一緒に、

朝ごはんのカツオを食べたり
四万十川のお水を飲んだり
須崎市の海で釣りをしてみたり
高知県民の飲み会に参加させていただいたり
桂浜の海辺で車中泊をしたり
四国カルストに星空鑑賞に行ったり
津野町の茶畑でのんびりしに行ったり

ここにはまだまだ書ききれないくらい、たくさんの遊びを経験した。

信じられないくらいの平和な日常。
カメラマンのお友達が撮影しては、
インスタグラムとフェイスブックにアップロードする日々。

私がいくら鬱という話をしても高知のみんなは誰も気にしない。

「鬱なんてない。ただの個性やき〜」
「精神科の医者がまた余計なことを言うたか〜」
「周りがサポートすれば、大丈夫やき」
「毎日、ハグしてもらい！」

というノリで、あっけらかんとしている。

ある日、フェイスブックのメッセンジャー経由で電話が鳴る。

インバウンド事業を頑張っている同世代の起業家から突然の電話がかかってきた。

「動画撮影を仕事にしてみない？」

まだ一度も会ったことがない人だけど、
日本の地方を中心にサービスを立ち上げていて、かなり面白そうな人だ。

「じゃあ、1回高知に会いにきてみて！」

と即答してみた。

「行く！」

彼は、その数秒後には飛行機を取ったらしく、
旅程のスクリーンショットが送られてきた。

この行動力最高。

「休職中だから、何時でもお迎えに行けるよ。空港まで迎えに行くね。」

高知龍馬空港で、彼を見つける。
一瞬でわかった。

頭にぼんぼりつけてるあの男だ！

向こうもしっかり気付いたようで
こちらに向かって手を振っている。

さっそく旅の始まり。

彼を車に乗せて、出発。
まずは、桂浜の海辺で海の音を聞きながら、四万十のおはぎをいただくことに。

砂浜の上で裸足になると、彼の事業プレゼンが突然始まった。
みんなでスマホ上に映る事業計画プレゼンをまじまじと見つめながら真剣に話を聞く。

「すごい…同世代でこんなに感性を論理に変えてお話できる人がいるんだ…」

本当に感心した。

しかし、彼は最後のページだけ見せてくれない。

「いいから見せなさい！」

見ると、運営メンバーにしっかり私の名前が刻まれていた。

「勝手にいれちゃった」
ニンマリした笑顔で彼は言った。

思わず、海に向かって大爆笑した。
波もざわざわ一緒に笑っているようだった。

気がつくと、もう既に夕方になっていた。

高知の飲み屋街に繰り出し、
日本酒を嗜み、カツオのたたきを食らう。

「いい写真撮るやん。一緒に頑張ってみない？」

気付いたら、私のカメラマンの友人まで巻き込まれてみんなで事業をやることになっていた。

話はわんさか弾み、
真夜中に、たくさんの赤提灯がぶら下がった「安兵衛」という名の屋台で、鉄板餃子とおでんをペロリ。
締めに、須崎の熱熱鍋焼きラーメン大盛りを3人でシェア。

もう寝る時間となると、私の知り合いのバーをお借りして
寝袋で3人で寝ることに。

でも、フィーリングの合う仲間たちは話が尽きない。

世が明けても語り尽くしていた。
半分夢見心地、半分酔った状態で。

次の日の昼過ぎの便で、彼は東京に帰った。

結論、私とカメラマンの友人は、
高知、愛媛、兵庫、奈良、と動画の撮影のお仕事をいただいた。

大好きな旅をしながら、大好きなバンライフを続けながら、お仕事ができる。

多動力を生かせる、本当にありがたい出来事だった。

彼は、私の強みをインターネット上で瞬時に察知し、連絡してくれた。
行動力にも人一倍長けている。

そして、高知県の大自然と飲み会文化も、私たちの距離を短期間で縮めたと言っても過言ではない。

なにより、私が鬱から脱却できた理由は、薬でも医学でもない。
高知県民のおおらかな心のお陰だ。

車中泊を始めて、
失ったものは、鬱。
得られたものは、最高の仲間と心からワクワクする仕事。

すべての偶然が絡まり合って、重なり合って、
今という瞬間がある。

ありがとう。
わたし、生きてる。