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医療崩壊

入院させるためのベッドが足りない。マスクやアルコールなどの衛生材料が足りない。エクモのような医療機材やそれを扱える医療者が、足りない。このままでは、救える命が救えなくなる。救う命を選別しなくてはいけなくなる。日本の医療の崩壊...そんな言葉だけが毎日ニュースで呪文のように唱えられる。医療従事者の負担やストレスは、多くの人が気にかけている部分ではあるが、このような状況では正直「仕方ない」で片付けるしかない。

そんななかでも、多くの医療従事者が仕事を投げ出さずに、この辛い時期を耐えているのは何故だろう。

少し想像してほしい。働きたいか、働きたくないか。「できれば働きたくない」気持ちで働いている人の方が多いだろう。使命感を持って頑張っている人も勿論いるとは思うが、感染への不安やリスクに晒されながら差別的な扱いを受ける事に、給料以上の価値を見出せる人はそんなに多くはない。彼らの多くは「医療従事者」である前に「人間」であり、自己や家庭を犠牲にすることをなんとも思わないような心を持ち合わせているのはごく少数だ。

それでも仕事をやめないのは何故か?それは医療従事者が、今はまだ医療によって「経済的に」守られているからではないかと思う。非常事態宣言により、営業自粛を余儀なくされた人々の家計は日に日に苦しくなっていく。そんななかで、働き続けることを求められていて、これまで通りの収入がある「経済的安心感」は、多くの医療従事者を支えていると考えられる。

もしもその「経済的安心感」が無くなったら、もしくは不要になったら、彼らはどうなるだろうか。

医療サービスによる税金の浪費が、医療従事者への給与にまで影響を与えるようになったら、彼らは医療を見捨てるだろう。これから先、感染症が収束して景気が好転してきたら、医療から経済的に守られる必要のなくなった医療従事者は、医療を離れていくかもしれない。

私は、その時が本当の医療崩壊だと思う。


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