見出し画像

『日本らしさ』を学んでコミュ力を高める①【かしこさラボ:実践編2】

外国人とコミュニケーションを行う機会が増えるなか、日本の特徴を聞かれてうまく説明できなかったという経験談はよく聞く。そういった場面で活用できればという趣旨もあるが、「日本の強みや弱点」を理解することで、日本が生き残る活路を見出したいというのが大きい。

日本の良いところを掘り起こしてみたら、「とんでもなく良い国」であることが分かった。これは是非とも守っていかなければならないという思いを強くした。内容が盛りだくさんなので2回に分ける。次回は「日本が生き残るためのキラーコンテンツ」というテーマでお届けする。

①日本の国土の特徴

地理の勉強のようになるが、全ての前提がここにある以上、無視するわけにはいかない。しかし、長いのも面倒なので、簡潔にいく。

国土を全て海に囲まれる、国土が小さい、森林が67%を占める、中緯度にある、ほぼ温帯、暖流と寒流に挟まれている、新期造山帯に属する、4つのプレートの境目にある

その結果、およそ以下のような特徴が発生する。

⊕ 水や木が多い、魚介類が豊富、四季が存在する、温泉が湧く など
 →農林水産業に適している自然の観光資源はある

⊖ 鉱物資源に乏しい、湿度が高い、自然災害が多い など
 →資源を輸入に頼る想定外のリスクが多い

普通に考えれば、日本は「第一次産業と観光の国」なのだ。それを加工貿易を使ってGDP3位の経済大国にしてきたということだ。


②これまでの日本のゆたかさ

日本がこれまで維持してきた「ゆたかさ」について考えてみる。少子高齢化新自由主義の影響でこれが崩れていこうとしている。ゆたかさが維持できたのは、ライバルが「圧倒的に強くはなかった」からだ。アメリカは油断してドジを踏み、中国は共産社会のど真ん中にいた。

さて、ゆたかな日本の状況を表現してみるとおよそこのようになった。

これをより細分化してみていくと、

【人口が多い×所得が平均的に高い】

・人口密度が高い
住居が小さく土地が高いが、掃除は楽。店を開きやすいが、多すぎる。競争原理を用いやすいが、疲弊しがち。社会インフラを整えやすい。

・国際収支が黒字で国内産業も栄えていれば
税収が多い。内需にも期待。資源の輸入がしやすい。国際的な貢献度を高くできる。設備投資もやりやすい。

・富の再分配
弱者救済のセーフティネットが充実している。累進課税制度・国民皆保険制度・国民年金・補助金・給付金など。さらにベーシックインカムときた。

ー------------------------------

【安定した社会基盤】

・インフラ 
電気・上下水道・ガス・通信・交通・治安体制も充実。トラブルから復旧までの時間もかなり短いことが多い。

・清潔な環境 
世界に誇る日本のトイレ。道路はアスファルトで覆われる。ゴミの分別収集・リサイクルが一般化した、ゆえにゴミ屋敷が目立つ。臭いの少ない国。

・医療体制 
健康診断が普及。無医村・無医地区はあっても、無医市はない。最先端医療や救急医療体制も整う。保険にも豊富な選択肢がある。

・教育の充実
「競争」と「協働」を両輪とする。義務教育+高等教育に高い進学率を誇る。「競争」により勤勉性や改善力・創造力が育まれ、「協働」により比較的高い倫理観、他者尊重・助け合い・謙虚・ことなかれ主義、などが育まれた。

・ステレオタイプの街づくり 
役所・郵便局、ホテル、温泉、遊園地、美術館、図書館、公園、プール、デパート、スーパー、コンビニ、ファーストフード、高速道路・バイパス・国道・鉄道・バス・タクシー・ガソリンスタンドなど。

ー------------------------------

【多様性と細かいニーズへの対応】

自由と寛容の精神を育み、多様性を受け入れ、細かいニーズに対応していく努力がなされている。

・伝統文化や歴史を守る
祭、史跡、伝統技術・伝統芸能などを文化財として保護。重要文化財、国宝、人間国宝、世界遺産など。部活動にも、茶道・華道・柔道・剣道・弓道・合気道などがある。世襲制の難しさがつきまとう。

・細かなニーズに寄り添う 
24時間営業、豊富過ぎるほどの商品の種類・サイズ・価格帯、ラッピングの工夫、景品表示法など、おそろしいまでに「気づく」日本人。中国でも絶賛される「熱さまシート」など。

・多様な価値観を認める
表現の自由。一点もの。無駄を面白がる土壌。信仰心の薄さ。人種・国籍に関わらず人間として向き合う。ただし移民・難民の受け入れは別。敵愾心むきだしの相手は別。

③今回のまとめ

良いと思われる面を中心にピックアップしてきた。どうだろう、良い国に生まれたと思いませんか。

もちろん、自分の利権が脅かされると「閉鎖的」「排他的」になる。それは、いつの時代もどこの国でも変わらないことだ。人間が経済という枠組みを抜け出すことはできないゆえに、程度問題となる。

ただ、このゆたかさが永続的なものであれば良いが、そうもいかない現実が迫っている。インフラの寿命が近づくなかで、更新する財源が乏しいことが大きく影響する。何を伸ばし、何を残し、何を捨てるのか。厳しい選択を迫られることは間違いない。

記憶の代わりの記録で良いならデジタルデータで解決するかもしれないが、それが日本人のアイデンティティとして欠かせない価値観であるならばそうもいかない。


今後の教育にむけたポイントは以下のようなものか
・ベースは第一次産業と観光
・多様性はゆたかさの証⇔リソースの集中
・競争意識は確実に低下する
・細かな気づきは世界の注目の的
・うまく捨てる工夫って何? 戦略的撤退

(2022/8/18)



この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?