札幌での刊行記念イベントは大盛況!(2024年9月25日)
9/25(水)、『牛乳から世界がかわる 酪農家になりたい君へ』(農文協)の発売にあたり、札幌市内で出版記念イベント「シェフとパティシエのための牛乳・乳製品ワークショップ—『牛乳から世界がかわる』著者・北大研究者と語ろう 」を開催しました。
刊行初のイベントとなった今回は、牛乳・乳製品とのかかわりが深いプロフェッショナルが参加した様子を、写真付きでレポートします。
食のプロフェッショナルに本書の魅力を伝える
本書で著者が伝えたかったことのひとつ「酪農は世界とつながっている=酪農がわかれば世界がわかる」というメッセージは、より良い食の未来を担う「食」に携わるすべての方に向けられたものです。そこで今回のイベントでは、札幌市内の料理人やパティシエといった、食の第一線で活躍されている方々を迎えて行われました。
登壇者は、著者の小林国之先生(北海道大学准教授、酪農・農業経済研究が専門)と、三谷朋弘先生(北海道大学准教授、家畜飼養研究が専門)。牛乳や乳製品にまつわる疑問・質問も受けながらの内容となりました。
本書では、「牛舎で牛を飼うことは『牛に優しくない』のか?」「牛が食べる飼料と、エサを育てる肥料はどこからきている?」といった生産現場にかかわる疑問から、「牛のゲップはほんとうに環境を破壊しているのか?」という環境問題のこと、そして「バターは不足、でも牛乳は余るのはなぜ?」という「食」にまつわる素朴な疑問まで、幅広い内容を扱っています。
7種のバターの食べ比べの感想は?
今回参加する食の専門家たちに「酪農の世界の奥深さ」を伝えるには、「味」からが一番ではないか。ということで、放牧牛など飼い方の違うバターの食べ比べを企画しました。
本書に登場いただいた酪農家をはじめ、生産背景が異なる7種類のバターを用意しました。市販のバターに加え、本イベントのスペシャル企画として、生乳から手作りしたバターも用意。北大の牧場産、本書に登場いただいた酪農家の生乳産などのバターも登場しました。
「コクが深くて個性的」「色味のわりにあっさりしている」「何にでも合う洗練された味」「濃厚で野性的な味がする」「チーズのような独特な風味」など、バターへの感想は一つひとつ、繊細で細やか。牧場ごとにバターの風味は大きく異なることを実感してもらいつつ、話題は参加者が日頃感じている酪農についての疑問へ。
「なぜバター不足は起きるのか」「気候変動で乳製品はどう変わってしまうのか」など、日頃から牛乳・乳製品を扱っているプロならではの視点から、たくさんの質問もいただきました。
本書の副題は「酪農家になりたい君へ」ですが、酪農を「生産」だけでなく「食」の切り口から見ることで、より酪農への理解が深まることを実感できたイベントでした。食の未来に関心があるすべての人へ、『牛乳から世界がかわる』をおすすめします!
(文:市村敏伸/写真:深江園子&農文協)