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『ロボット・イン・ザ・ハウス』デボラ・インストール(著) 松原葉子(訳)

AIが活躍する近未来のイギリス。妻に去られた三十代ダメ男のベンと、庭に現れたぽんこつ男の子ロボット・タングの旅と友情、成長を描いた『ロボット・イン・ザ・ガーデン』。多くの「タング・ロス」の声に応え、続編が登場。ベンと元妻エイミーに女の子ボニーが誕生して九カ月。二人は微妙な関係のまま、タングとボニーの両親として暮らしていた。お兄ちゃんになったタングは、妹のお世話をしようと大奮闘。喜んだりやきもちを焼いたりとてんやわんや。そんなある日、庭にまた一体のロボットが…。人間とロボットの絆を描く、面倒くさくも愛おしい家族の物語。

タングがお兄ちゃんに。さらにオーガストからの刺客ロボ、ベンジャミンがお姉ちゃんに。ニヤニヤが止まらない。

一気に5人家族になったベンたちのドタバタ劇で、ベンやエイミーの愛情を一身に受ける赤ちゃんに嫉妬するタングが特に可愛い。嫉妬しながらも甲斐甲斐しくボニーを世話したり、本を読んであげる所は感動する。本を読み始めたり、ペットを飼い始めたりと、どんどん成長してゆくので目が離せない。

ベンジャミンがタングたちにほだされ家族になってゆくところも良かった。中身がインドア文学少女なのも笑える。黒いピカピカの球体で、空中に浮いるあたり最先端さを感じさせ、レトロなタングとの対比も面白い。どうやって浮いているのかは完全スルーなので、SFじゃないよ、という宣言だろう。

人間サイドも、ベンも獣医研修生になっていたり、エイミーは企業弁護士をクビになりロボット権弁護士に進んだり、娘のボニーは歩き始めたり、皆前に進んでゆく。大量のエピソードが全部幸福で、うれしさに溺れそうな読み応え。

家族劇以外も、タングが実は原子力で動いてたと判明し、ウラン摘出手術が発生したり(電池駆動になったサスティナブル・タング表記には笑った)、オーガストが来襲したりと波乱万丈。実際、オーガストからしたら、タングの扱いは確かに窃盗なのだが、犯罪者が法を盾に取るのがなんともむず痒い。
結末は無事オーガスト逮捕となるが、タングやジャスミンは証拠品として押収されな優しい世界でよかった。

しかし、オーガストが逮捕されてしまったので、今後新ロボがでてこなさそうなのは残念かな。

また、タングのチップを新しくする際、挙動がおかしくなったのは何故かが気になる所。次巻への布石?

別件だが、スキー旅行どこ行くかで話し合ってるエピソード、イングランド民がスコットランドをどう思っているのか如実で笑ってしまった。

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