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『メインテーマは殺人』アンソニー・ホロヴィッツ(著)山田蘭(訳)

自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は、自分が殺されると知っていたのか?作家のわたし、ホロヴィッツはドラマの脚本執筆で知りあった元刑事ホーソーンから、この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる…。自らをワトスン役に配した、謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ!7冠制覇の『カササギ殺人事件』に並ぶ傑作!

まんまと騙されたよ。終わってからみると、たしかにそいつしか居ないのだけど、読んでる時は、怪しい演出にほいほい釣られる。お見事。

また、作者みずから間抜けなワトソン役として登場するのが面白く、読者と同じように騙されるので慰めになる。それがアンソニーの手口だが(笑)

結構なページを割いた過去の事件が全くの無関係とか笑ってしまうよ。ミステリーとしては普通やらないトリックだけど、筆力と作者のキャラクターで許されている。へたな作者がやると炎上するであろう。

探偵役ホーソーンの異質さも良い。空気が読めないのか、読まないのか。被害者宅の食糧や靴を盗むのには笑った。それ証拠隠滅だよ!(笑)
スピルバーグとの打ち合わせに闖入して仕事をぶち壊す所も笑いどころ。リアルならボディガードに鎮圧されるよ。作者が作中に登場するので、エピソードのどこまで本当なのか、と考えるのも楽しい。スピルバーグと打ち合わせして脚本が読まれもしなかったのは事実なんだろうな。
あと、バイク事故で入院した時に、息子からメッセージは来たけどお見舞いに来なかった、という愚痴エピソードがこの本で一番おもしろかった。

しかし、カササギもそうだったが、英語の知識、英語圏の教養がないと十全には楽しめないのがもったいないなと感じる。これらが楽しめれば3倍は面白いのだろう。

蛇足1.花粉症は日本にしかないと聞いてたのに、イギリスでアランがかかっていて吃驚。海外でも花粉症あるのね。

蛇足2.アンソニー・ホロヴィッツには、乙一の「夏と花火と私の死体」を推薦する。

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