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『へびつかい座ホットライン』ジョン・ヴァーリイ

八世界シリーズの長編。時系列的にも短編の続き。
集大成の長編だけあり、短編で語られなかったインベーダーが登場するし、ホットラインの正体も判明するだけでも最高なのだが、短編以上にアイデアに溢れ、ストーリー自体も目まぐるしく、読者をガンガン揺さぶってくれるので、心底楽しい。

本書の特徴はなんといっても、主人公のありかた。主人公リロが殺されては蘇り(クローン&記憶バックアップ)をつづけ、挙げ句には3人に増え、それぞれのストーリーを歩き出す。読んでいて、全部リロなので若干混乱するのも楽しい。

インベーダーから地球開放を目指す組織の頭領が、裏で非合法な兵器開発などの仕事をさせるため、死刑囚達(リロなど他にも)を拉致する話が本筋だが、土星の話、地球の話、ホットラインの話に枝分かれし広がってゆく。それに伴い主人公が蘇生されて増えていく様はカオスで笑える。

どのサブストーリーも読み応え満点だが、ラストの収束のさせ方も美しい。解説ではラストが弱いと言われていたが、全然そんなことない。広大な宇宙に思いを馳せて、只々ため息のラスト。まぁ人類は結構死んでしまうけど、なんとかなるよ(笑)

ちなみに、ブラックホールハンターのジャヴリンが私と同じ1979年生まれだったので、人体改造が余計生々しく、なんとも言えない気持ちになる。自分にもあり得る未来なのかも、と考えてしまう。500年後だが。

宇宙船にロマンを求める彼女のセリフがめちゃくちゃ格好良いので引用して〆る。

「あんたの魂には詩というものがないの? (中略)人類ぜんたいが技術屋になっちゃったのよ。鉄道を作る時代のあとは、美しい鉄道を作る時代だってことを、だれも理解できないみたい。」

注意点

・短編を先に読んでおかないと、世界観についていけない。
・短編集2巻のあとがきに、この本の軽いネタバレがあるので、年表は読まないほうが良いよ!

ジョン・ヴァーリイを知ったきっかけ

野村亮馬のblogで知ったのがきっかけ。この人の漫画も淡々としていて大好き。

短編の感想(1巻はnote始める前)

2巻を読んで、長々した感想を残したくなってnote始めたんだった。


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