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現代文クロスレクチャー 読解編 感想


対象読者

柳生先生の読み方本にあたる、クロスレクチャー読解編がどのようなものか気になる方が対象です。
現代文を学習する上で知っておいてほしい事や、予習、授業中、復習の注意点についても触れていきます。


内容

*概要
評論6回、随筆1回、小説1回、計8回を使って、授業または参考書を使う形で、文章の読み方を学んでいくものになっています。
全体を載せおきます。
第一講 客観的に読む
第二講 筆者の主張を読む
第三講 具体と抽象を読む
第四講 差異を読む
第五講 類似を読む
第六講 論証を読む
第七講 エピソードを読む
第八講 人物の心情を読む
いつものように付録に指示語、接続表現、レトリックについてのまとめがあります。

*先生の他の参考書と比べて
柳生先生の他の参考書をしている人には、目次を見るだけで分かるかも知れませんが、ゼロから覚醒はじめよう現代文とフレームで読み解く現代文を足して、フレームで読み解くの方の方を中心に内容を削ったものになっています。もっと具体的に言うと、否定、条件、並立、矛盾、逆説の内容はまるまる削られています。扱われている論証や対比、心情なども、複数の論証の形が紹介されなかったり、対比と類比が混在するものがなかったり、複数の心情の形がなかったりと内容が薄くなっています。

ここからつなげると比べても内容が薄くなっています(同じように矛盾逆説、並列選択、条件、否定などがない)。

ただ、こちらの場合、扱う範囲が単純に狭くなっているわけではなく、少しズレている状態になっています。先程と同じようにここからつなげるで扱われていて、クロスレクチャーで扱われていないものは結構あるのですが、逆に、クロスレクチャーで扱われているけどここからつなげるでは扱われていない事も多少あるからです。後者の方で具体例を挙げると回想シーンの読み方と解き方への利用はクロスレクチャーでは扱われていますが、ここからつなげるではの扱われていないものになります。
難易度で比べると、クロスレクチャーとここからつなげるに関しては、多くの方はここからつなげるの方が難しく感じると思います。単純に文章のレベルがここからつなげるの方が高い(あちらは入試問題)ということもあるのですが、ここからつなげるは、クロスレクチャーと違って、長文ではなく入試問題を短くくり抜いたもので、その分説明が少なくなってしまっているので、難度を上げている面があるからです。

授業

*基本の進め方
概論説明(ダイジェストレクチャー)→意味段落毎に文章を説明→文章の全体像確認→設問解説
ダイジェストレクチャーは読み方についての説明です。
「文章の全体像の確認」の最後に学習アドバイスがあります。
※感想の所に画像を貼ってるのでそちらを見てもらうとより全体のイメージが湧くと思います。

*根拠やモチベーションの説明が殆どない
なぜそこに線を引くのか、なぜそこが解答の根拠だとわかるのか、なぜそう情報か整理されるのか、何故そうするのかの説明がほぼなく、結果ばかり言っていきます(まるで某東進講師のようです)。
普段駿台、特に関西で受けている人が、この授業を受けると説明しなさすぎて、驚くと思います。
※柳生先生の教え方は関西現代文の教え方と酷似しています
根拠、動作のモチベーションが分からないと他の問題でその考え方が使えないので学習効果が出にくくなってしまいます。数学だとよく経験するのではないでしょうか。その問題の解き方は分かるけど、なぜそう解くの分からない、同じポイントの問題が自分だけで同じポイントの問題だと気付けず解けないというような状態です。これは根拠やモチベーションが不明だからこそ起きる状態です。これは現代文でも同様です。根拠や動作のモチベーションが分からないとどうしても、他の問題に対して考え方が適用できないので、経験として積み重なっていかず、成長する部分が少なくなってしまいます。部活などでもなぜそうするのかが分かっていない、戦略や技術の使用場面がわからないと、努力の仕方がずれたり、実力が出しきれなかったりして、上手く結果が出なかったりしますよね、それと同じです。

*一部答えから逆算したものになっている
ところどころ解説が答えから逆算したものになっています。先生の教わったように考えたら普通は目を向けない様な所でも平気で解答の根拠として説明もなく提示してきます。本来であれば、字数が足りないから、多すぎるから、選択肢が絞りきれないから、設問条件に合わないから、つかまえた解答根拠がわかりにくいからと段階と踏まないといけないものも一度にするので、初見の文章で再現しにくいものになっています。

*TIPS
TIPSという形でその講でのポイントが示され、講の最後に一覧として纏めてあります。ゼロから覚醒シリーズだと、覚醒ポイントとなっている所です。
二つ注意点があります。
一つ目です。TIPSにはポイントが纏められていますが、その講のポイントがそれだけというわけではありません。あくまで本当に最重要なものしかないです。したがって、ポイントがそれだけだとは思わず、授業で自分が大事だと思った事はどんどんメモリ、それらもポイントとして意識的におさえていきましょう。
二つ目です。似た様なものでmemoというものがあるのですが、memoの内容は基本的に参考書に書かれていないにも関わらず大事なものばかりですので、しっかりとそれもTIPSと併せておさえていっめください。ただ、メモは最初付近の講と最後に出てくるぐらいです。
※memoは一部触れられているものもある

*参考書にない内容もある
参考書に書いていないことや動きとしてみた方が分かりやすいこともあるので、参考書だけでなく授業も受けたほうがいいです。
加えて、説明の仕方が参考書と違うことがあったりするので、どちらをメインにするかは人それそれですが、片方だけ使うのではなく、もう片方も一度は見る、読むことをしたほうがいいです。

*一つ一つの授業が短い
一つ一つが大体数分なので東進や学研プライムなどの授業に慣れている人にとっては、いちいち数分毎に画面を切り替えないといけず、億劫に感じるかもしれません。一応この細かくする形式にも先生なりの意図があります。普段受けている人は分かると思いますが、先生の授業は授業中にメモを取ることが推奨されていません。その代わり授業後にポイントを思い出しながら、まとめ直すということを推奨されます。これにより、授業中は理解することに集中でき、まとめ直す時に必然的にアウトプットするで、理解しやすく定着させやすくなるからです。

*動画の編集が凝っている
アニメーションや効果音などが、沢山使われていて飽きさせない作りになっています。TIPSの効果音が大きすぎるのが少し気になりました。

感想

*問題冊子について
解法編(読解編と問題の綴じ方が違う)は別に大丈夫なのてすが、現代文ポラリス同様どこで問題冊子がとれるのか分かりにくく、最初、本来の想定とは違う所を外そうとしていて目次の所少し破けて(ホチキスの所が緩む)しまいました。

*かなり簡単
根拠が直前、直後のものが多く解答根拠が見つけやすいですし、正解要素を含んでいる選択肢が殆どの問題で一つで、他の選択肢が掠りもしてないので積極法ですごく解きやすいつくりになっています。さらに、殆どの問題で正解の選択肢が解答根拠そのままなので、照らし合わせの負担も少ないです。一応根拠が離れているものもあるのですが、離れているものはどれも空欄や傍線を含む一文の位置に特徴のあるもの(問題提起、論例論、対比、類比など)や空欄や傍線を含む一文に特徴的な語を含むものばかりで、対応させないといけない部分が明確で難しくありません。
小説や随筆になって、解答根拠が複数必要なもの、解答根拠が離れているもの、積極法だけでは解きにくいものが出てきます。ただ解を一つにするために設問条件が厳しくなっていたり、解きやすいように設問が設定されていたり、ヒントが多分に含まれていたりするので、要素が複数あるもの、解答の候補が複数存在するもの、解答根拠が離れているもの、これらが絞り込みやすくなっていて、難しく感じないと思います。
おそらく積極法を意識(練習)させたくて意図的に解きやすいシンプルな作りにしたのかなと思いました。数学の問題を最初練習する時に、計算が重い、文章が長い、複数のポイントが含まれているなど、余計な要素が入っていたり、複雑な問題で練習するのではなく、学んだことだけに集中しやすいように他のポイントや余計な要素が含まれていないシンプルな問題で練習するような形です。
もしくは、読者に解けた感覚を植え付けて、参考書の印象をよくするためにかなと思いました。沢山正解させて気分を良くさせてレビューで良く書いてもらおうとしたのではないでしょうか(ここ内容は完全に推測です)。

*動画について
Vimeoで動画を見る形(某予備校と同じです)なのですが、おそらくセキュリティの問題上タブを変えたり、電源をけしたり、アプリを変えたり、要するに他の操作をしてしまうとエラーが出て見れなくなってしまうので、そこが使い勝手が悪いなと感じました。たった3時間で漢文句法やたった6時間で古典文法のようにYouTubeを使う形式でもよかったのではないかなと思います。
このような感じです。


授業を聞く時はいちいちQRコードを読み取ると面倒なので、文英堂のサイトに行きパスワードをうってそこから見る形の方が使い勝手がいいと思います。


一つ一つ読み取ると形式だと次の授業を受けるときに、そのまま次の授業に進めないので、またQRコードを読み取らないといけませんが、サイト経由ならワンタップでVimeoからこの画面にもどり次の動画を選べるので手間がかかりません。
一つ一つの授業時間が数分のものが殆どなので、QRコードだと読み取る回数が多く尚更億劫に感じると思います。サイト経由の形がオススメです。
※7-04 は第三意味段落ではなく全体像の間違いだと思われます。

*The rulesとの関連
The rulesで扱っていることで、この本のカバー範囲であるはずの内容が入っていないのが気になりました。問題集でいきなり概念に触れるより、一度参考書で触れておいた方が吸収しやすいと思います。

*できればここからつなげるする
大事だけど欠けている内容があるのでできればここから繋げるもしてほしいです。

*以前と比べて文法強調
レビューの影響か説明の時に文法を強調するようになっています。

*マーカーがわかりにくい
解答の根拠と筆者の主張が同じ色のマーカーなので、区別がしにくく使いにくいのではないかと思いました。傍線で授業のみ一部区別しているものもありますが、殆どが区別していないにも関わらず、通読時の時も、問題を解く時も解答の根拠と主張部分両方表示してるので、混乱しやすくなっています。線を引く根拠、そこが解答の根拠になる理由を殆ど言わないので尚更混乱具合に拍車をかけています。
※分けて表示する場合もある
参考書で通読時と解く時のマーカーを参考書で見比べてもらうとよく分かると思います
スタディサプリの授業のように赤ペンと蛍光ペンで分けてもらうと見やすかったと思います。

オススメの使い方

この参考書を具体的にどう使えばいいか、授業の方も併せて説明していきたいと思います。
〈大前提〉
動画だけ、参考書だけの使い方は基本的に非推奨です。どちらか片方だけでしか説明されてない場所、説明の仕方を変えている場所があるので、片方だけで使ってしまうと旨みが半減してしまいます。

*予習
・ダイジェストレクチャーをまず見る その後問題に取り組む
※この順番はどちらが先でも大丈夫です。苦手な方はダイジェストレクチャーを先に見て、仕込みをしておいた方が取り組みやすいと思います。
・コピーをとって問題を解く
・強調箇所に線を引き、意味段落分けをする
※線を引く事については復習の所を参照してください。
・解いている最中、読んでいる最中の思った事を書いておく
※たとえば、ここの内容難しかった、ここから内容がわからなくなった、この選択肢とこの選択肢で迷った、どう考えて解答に辿り着いたのかなどです。
・本文中の解答根拠に線を引く
・選択肢のどこが正解と対応しているのか印つけて^分かるようにしておく
・初回のみは全文の主語を確認するのがオススメ
※詳細について後述

授業や参考書の解説で大事なのは、自分の思考と解説の思考を照らし合わせることです。照らし合わせた時に違う点や似ている点注目しながら、思考を修正したり、知らない事を学んでいったりするのが現代文学習の基本です。したがって、予習を曖昧にしてしまうと、解説と照らし合わせるための材料がなくなってしまうので、この学習が上手く出来ず効果が半減してしまいます。成績を上げるためにしっかり予習をしましょう。

授業中(参考書の解説を読む時)
・意味段落、強調箇所、本文中の解答根拠、解答根拠の辿り着き方、選択肢の正解箇所はあっているか確認する
・memoはめもる ※参考書に殆どのものが書いていないから
・見逃した解答のポイントはなかったか確認する
・知らなかった視点、自分が大事だと思ったこと、読み間違えた事、読む時、解く時の考え方をメモる

復習
・参考書(授業)を読む
※参考書で最初した人は授業で、授業で最初した人は参考書でしてもらうといいです。
・現代文学びの礎の印のつけ方を見てなぜそこが主張がわかったのか根拠づけをする

・なぜそこで意味段落が変わるのか、なぜそこが解答の根拠とわかるのか根拠づけをする
※この時、逆算的にならないようにしながら設問と答えまでの隙間を埋めていく
・次似たような問題に出会った時どうすれは正解できるのか考える 必要な知識があれば仕入れ、思考がおかしければ思考の仕方を修正する
・気づいたことはどんドン書いて深掘りしていく
※理解できた、学びになった思えるように自分の言葉に直して落とし込む
・初回の授業で主語取れなかった人は主語とりをする

先生が本当に全然理由を説明してくれないので、復習で今いったことをどれだけ妥協なくやれるかかが、次に取り組む問題の正答率を決めます。一つの問題を解き終わった後に〇〇を学べたと、即座に出てくる状態であれば正しく学習をすることができています。

※少し脱線します
主語を意識する重要性について少しお話しします。
主語とは文の主題です。したがって意識することで、以下の様なメリットがあります。
・今読んでいる文は何について説明しているのか意識できるようになるので、文章を理解しやすくなる
※日本語は主語がかなり省略されるので意識できずに、ズレてしまうと今知りたい問題の解説とは違う問題の解説を読んでいる状態になってししまうので、理解できるものできなくなってしまう
・一つ一つの文の理解が深まるので、文章全体が何の話をしていたのか掴みやすくなる。
・今、何について話しているのか明確になるので、意味段落分けがしやすくなる
・傍線部の説明を求めにいく時、当然傍線の主語は傍線の主題を表すのですから、傍線の説明=主語の説明になります。したがって、特徴的なものがない時は、主語の説明を求めにいくことで傍線や空欄の説明が見つけやすくなります。
※傍線の主語が省略されている時はそれだけで選択肢が絞れることも多いです
※小説ではSが省略されやすく、原因、心情、結果で主語に特徴があるので尚のこと重要

このように主語を意識することにはさまざま効用があります。この参考書の初回は、主語を全文指摘するので、自分でも実際に取ってみて、主語をどれぐらい正確に理解できているのか、一つの指標して欲しいです。ここで主語がずれまくっていたら、2回目以降でも主語を取る練習を1回目と同様にすることをオススメします。内容が理解しにいく、文章が結局何について言っているのかわからない、なぜそこが意味段落になるのかわからない、なぜ傍線や空欄の説明がそこになるのかわからない、などは主語の意識が薄いことが原因であることが多いです。主語を考えることは読解において非常に重要です。

授業中のオススメのメモの取り方
・通読時の時の書き込み→赤ペン
・問題解説の時の書き込み→青ペン、緑ペン交互に
※どの設問の説明かわかりやすくするためにペンの色を設問毎に変えて使う
・解答の要素→蛍光ペン 
※違う要素の時は色をかえる この時設問番号を書いておくと復習しやすい 複数ある時は番号+アルファベットの形で書いていくのがオススメです。

これをすることで解答の根拠と主張、強調箇所がいかに重なっているか明確にできるので、読む時、解く時に線を引くことの重要性を理解しやすくなります。
(線を引くことがなぜ重要かについてはかなり長くなってしまうのでまた別記事で)

基本はこの参考書は2周し、解法編をした後再度もう一回取り組むのがオススメです。二周目は一周目と比べて視点が上がっている分見える範囲が広がっているので、一周目では気づかなかったことも学べるようになります。解法編もした後再度取り組む事で、解法編の内容を使う練習にもなりますし、読み方と解き方を身につけることによって、さらに視点が上がっているので、二周目では気づけなったことにも気づけるようになり、さらに学びを深めることができます。周回すればするほど違った景色が見えるので、何度も反復して欲しいのですが、現実的にそれは不可能なので、解放編の後の一周を最低限のラインにしてください。

受験生の参考になれば幸いです。

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