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COMPLETE BOX Ⅱ

こんばんは、のです。
今日から以前から話していました、今年一年の投稿をまとめた総集編を投稿していきたいと思います。
その第1弾として今回は、年内にnoteに投稿した詩集をまとめた総集編、
通称・“COMPLETE BOX”の投稿になります。

こちらの総集編は去年も企画し、投稿しています。

それで、この“COMPLETE BOX”、去年は1つの記事の中で全てまとめていたので、
今回もその方向で調整していたのですが、
今年の詩集を全て下書きに起こしてみたところ、ものすごい量になることが分かりまして、
そのため、今回は2つに分けて投稿することにしました。
今年投稿した詩集は全部で8本なのですが、2つの投稿で4本ずつに分けています。
こちらの記事はその1つ目になります。

全ての詞を見てもいいですし、気になるタイトルを目次からクリックして見てもいいですし、
ぜひ、自由に閲覧を楽しんでください!


・詩集 "のをこえ"


無題


会話というのは見えなくて、
風の様に過ぎていって、
それでも面白くて、
もっといろいろ話したくて、

言葉は凧みたいに浮かんでいくから、
糸を手繰り寄せて、
またひとつ語彙が増えて、
だからもっと話したくて、

ちいさな機械のなかで
おおきな繁茂のなかで
違ってもいい
何から話そう

ちいさな機械のなかで
おおきな繁茂のなかで
違ってもいい
何から話そう

いつもの朝


ただ、いつも
変わらない物がある
朝の匂い いびきたち
ふとした笑顔 話した憂い

人の居ない街角に
辿った言の葉
また 辿って

いつもの朝

そんな日々は続く
雨の日も曇る日でも
そんな日々に頷うなずく様に
揺れる草むらや

トースト1つ食べながら
さっきまで見た夢に意味はあるのか?
とか思ったりしている
今日がまた続いていく


ただ、いつも
変わらない物がある
夢から覚めても集まる嘘とか

人の居ない街角で
得た言の葉も
夢だったりして

君は蜃気楼みたいなの
心地よい夢を 刹那な愛を
魅せてくれて 朝になれば 
束の間の楽園だったと..

駱駝と共に旅人たち
映画のなか 行き交ってる
そんなショーウィンドウ見つめて
季節外れの風が吹いて

渦巻く空 鱗雲は群れ
街は衣替えの頃で
僕は、過ぎゆく季節の服の儘
怠けぐせの日々よ

君は蜃気楼みたいなの
心地よい夢を 刹那な愛を
魅せているの 緑の薫る
草原で踊ってみたいの

君は蜃気楼みたいなの
心地よい感情 刹那の恋を
魅せてくれて 朝になれば
楽園は 遠い夢になる..

夜と朝の繰り返し
僕は何を想うだろう

夜と朝の繰り返し
人は何を想うだろう

また幻を間近に
僕らは見てしまうのか

また幻を間近に
僕らは見てしまうのか

しまうのかな..

火花


火花が 火花が あゝ
散って 霞んでいく

火花が 火花が また
散って 見えなくなる様

忘れたふりして踊っても
忘れたふりして踊っても

憶えている遠い日の
影や暗がりの方


忘れたふりして舞っている
忘れたふりして待っている

憶えを何処か飛ばしても
やがては戻ってくるのです。

そんな風 いつもそんな様
疲れた細胞 抱えて

重い帰り道 
人の前ではそれは明るく話しているけど

散って 霞んでいく 火花に
しばし見とれていると

ちょっと暗い表情したくなる
涙が溢れぬ程度に 程度に


忘れたふりして舞っている
忘れたふりして待っている

ほんとに忘れてみたいけど
ほんとに忘れてみたいけど

そんな気だけ 疲れた細胞
帰路に抱えて辿ってく

鏡のなかでだけ 見せぬ顔と
独りだから言える言葉を

遊ぶように繰りかえす
独り寂しく繰りかえす

見とれている 火花の束も
尽きそうです なんて

ああ

愛や望みに花束を贈る
ならば自分はどうだろう

影や暗がりも 心地よくて
単純じゃない 心のなか

火花が 火花が あゝ
散って 霞んでいく

火花が 火花が また
散って 見えなくなる様

アネモネ


砂場は極端に細かったり
太かったりする線で表して、
昨日ほどに遠かったり、
近かったりするみたいです。

海辺は極端に鮮やかだったり、
色褪せていたり、
今日がまるで長かったのに、
明日ほど一瞬だったり、


紅色の春がすぐそこまで
来ているらしい来ているらしい

実のところ心の内
青くありたい青くありたい


二進法のなかをさまよう言葉たち
鉛筆で紙に起こしてみたいよ

外にはアネモネの蕾がある
歓ぶ様に揺れている

クルーズ


雨の日の片隅の余白に日溜まりを
日照りの揺れる白い面 魚を泳がそう

雪の日の片隅の余白に日溜まりを
いつも見てたいのです  葉を浮かばせたいのです


僕は深々の憂いと
日々の微細をクルージングしてる

炊き上がった歓びが
其処に咲いていないかと

僕は細心に
世界を張り巡らし物を得る鳥の様に

其処に咲いていないかと
クルージングしてる。

tour.

世界は果てが無さ過ぎて
実感が沸かないな
なので私の家の屋根
鳥の巣が出来ている とか

身近なことを思い出す
身近なこと
を揺らす
窓辺から見る深々と
雪が積もって杞憂きゆうする


どうにも此処は絵画の冬
温もりを拭う獣たち
どうでも此処は絵画の冬
モーニングセットまだらしい

夜の脳内 ツアーする
蝋燭を1つ点けながら
異界を訪れているみたい
ただ眩しい気もちにさせて


幻からはじまって
仮初めの波際で
月日が伸びてかずらになるのを
そっと待っていた

朝になれば また
鳥が旅の弧を描く
その線をながめた彼らが
駱駝のふりをするだろう

薔薇


夜を終えて
朝の日とともに
今、桜が見えた様な
焦燥から早とちりしたのかな、

ブルーな日常も今に薔薇色になるらしい、
きっとね

夜を終えて
身近なところから春を見てみたいかな
テレビのなかで開花予想の話が出ていたり、
そういうところから初めてみたい

一言ずつ、一言ずつ
春に合わせていきたい。

一言ずつ、一言ずつ
春に合わせていきたい。

重ね着もやがて減っていくでしょう。
乾いた季節を過ぎていくでしょう。

一言ずつ、一言ずつ
春に合わせていきたい。

一言ずつ、一言ずつ
春に合わせていきたい

夜を終えて
朝の日とともに
薔薇の花を見ていた

同じ春を待っている。
同じ春を待っている。

春の片鱗


寝入りばなの夜から夢の像が増えてく
山嶺を雲が食べれば
つぎは朝が夢を食べるの

夢のなかで君は春の片鱗を見せた
手を振ったら 春は朝になる
君も朝になる

そして

春の輪郭 街にすこしずつ
散らばっているはずなのです。
蝶々の羽ばたく後に
独特の風の重なり

春の輪郭 冬にすこしずつ
目に見えているはずなのです。
君を夢に見た後に
青色の霧雨を待つのです


異形の織りなす夜に、
熱に溢れている月や、
仮初めは積もりゆくけど
その内来るでしょう朝の光に


長閑のどかに出る言葉に意味を持っては
外に出るのよ

キャラバン


遠い国も幕開けは
空気の澄んだ朝
シンプルな街の蔦つた
日差へ伸びる

いつの国も幕開けは
空気の澄んだ朝
カラクリな日々へ蔦
朝に伸びる


銀色のCosmic
くせのある球を回す
冬はあの絵の理想郷
駱駝風味ふうみの猫と

銀色のCosmic
くせを込め球回る
冬は素早く理想郷
笑いを含めた旅を


雨ふるキャラバン
く光の渦がまた踊り
緩やかに隅々に灯り

やがて此処でも明く光
渦はまた歓喜
人人ひとひとは夜明けに集い


絵になる


ロマンの咲いた世界
風に沸いた世代
水を含んだ自分
振り返った時代、歌にする旅を


歌にする旅を

また駱駝風味の猫と

歌にする旅を

・詩集 "はるより"


カプチーノ


柔らかな それは砂鉄の様な星雲
自分もまた そこの一つの星として

朝になったら日溜まりを
カプチーノみたいにコップに入れて

世界の窓を開けて
家々のカーテンを揺らして


そすれば綿雲に座って
街の流れを見てみるの

朝の仕様に変わっていく
仕度をそこで見ているの


道で呟くユーモアを
哀楽を含めた仲睦まじさを

口笛ふいた颯爽を
そんな朝をそこで見ているの

泡沫


鉄筋の花が咲いてる様に
見ゆる世界に冬の風
些細な茎に
笑って吹いて 笑って吹いて たなびく

鉄筋の花が咲いてる様に
見ゆる世界に冬の風
些細な茎に
笑って吹いて 笑って吹いて たなびく


遠い土地で鳴いた鳥と
舟を浮かべた旅人
我をわすれ
枯れ葉の束を抱き、懐かしく眠る

嘘もまた浮遊する
どうにも話のくらが錆びてく
流動するえにし泡沫うたかた
朱鷺が摘んでる


つい前まで 夏でした
つい前迄 夏でした
移ろうごとに拭う言葉の隙間に
また冬季を通す

つい前迄 夏でした
つい前迄 夏でした
移ろう毎に拭う言葉の隙間に
また冬季を通す

夜を漕ぐ


夜を漕ぐ音がする。夜へと漕ぐ音がする。
夢なのか分からないけれど、額に汗をかく、
透明な風がどこまでもなびいていた。
夜の月がぶれた光みたいに水面に揺れていた。


夜は何もかもが眠る時間
ゆっくりと泳ぐクラゲみたいに
私は呼吸をする。
耳から便りを聞く


黒い夜空が日溜まりになる時
光がまた街を回遊するから
朝は来るらしい

猫と無題


夜の片鱗から目を開けて
昨夜の言葉の糸が舞った
夢に見た或る土地を見た
いつもの朝にさ人が沸く
朝の周りに嘘が散って、
私の口から花弁に似た、
儚い想像、空想の話だけ
空想の話を音符に込めて


そこに花瓶があるだけで
す。花瓶があるだけです
。花瓶があるだけです。

外に出たのは何れの猫だ
けです。何れの猫だけで
す。何れの猫だけです。


例えばあの鉄塔にニャア
ニャア鳴いてるの、夕暮
れにはピカピカするから
ね、優しい光だね。私は
窓から家屋をながめてい
る。いつまでもご飯の匂
いがそこに上っている。


そこに花瓶があるだけで
す。花瓶があるだけです
。花瓶があるだけです。

外に出たのは何れの猫だ
けです。何れの猫だけで
す。何れの猫だけです。


時計がぐるぐる回ってる
。ぐるぐる回ってる。ぐ
るぐるぐる回っている。

私は何を急いでいる。何
を急いでいる。何を急い
でいる。或る猫と無題、

或る  猫と  無題。

脈々


目に見えない風が枯れ葉と旅をする。
優しい、なつかしい季節風を頬に知る。

閑散かんさんとした道と青々しい空。
今大人になったと思うのさ。


回遊する魚になって、
夜のなかの梟になって、

光の張り巡る銀河を仰いで、
そんな想像と歳を重ねて、

自由すぎる話を語って、
思う侭に月日を捲って、

黒く塗りたくった紙を重ねた様な
夜がまた近付いて、


色褪せる焦燥を音楽に出来たらさ
きっといいんだろうね。

青々しくうねった音を録って、
思春期のあの感じを


色褪せる焦燥を音楽に出来たらさ
きっといいんだろうね。

くだらないこと 久しいこと
それらを含めたあの感じを


回遊する魚になって、
夜のなかの梟になって、

自由すぎる話を語って、
思う侭に月日を捲って、

快、


言葉は浮き沈み
草に風吹く
何かを知っては
また歩き出せるから

君に貰った思い出も
うねったり くねったり
何もかも無くしてしまっても
前を向ける なんて


季節は目眩く
隣が欠けても
石を積み重ねて
わすれかけても

風はまた吹いて
換気していく
新品みたいな姿で佇む


言葉はふいに還り
影でやすまる
色々と分かってゆくよ
流れる会話も慣れていく

君に貰った思い出も
揺らめく夕暮れ
明かりさえも消えた世界で
また笑い合えるかな


季節は目眩く
隣が欠けても
石を積み重ねて
わすれかけても

風はやがて吹いて
躰を換気する
新品みたいな景色を眺めてる


この世は何だろう
世界は何だろう
時に心配がこぼれそうになる

羽を伸ばすほど
遊べるほど
時に心配になってくる


君の世界 あの世界
人それぞれ変わる世界

風がまた吹いてゆけば
自分の窓を開けるのです

翳り


日がじっと照らす街の角にも
翳りはあるの、確かに

日がじっと照らす街の向こうは
翳りだらけなの、きっと


憂いの塊みたいなものを紙に起こしてしまうよ
箱一面の喜びもまた合間に取り込んでいるよ

世界は思う以上に翳りが多いの
それでも笑ってたいの 
笑ってたいの 笑ってたいの


杞憂の塊みたいなものを
雪がふると感じてしまうよ
冬はまるで尊く、紙一重に寂しいよ

世界は思う以上に翳りが多いの
それでも笑ってたいの 
笑ってたいの 笑ってたいの


日がじっと照らす街の角にも
翳りはあるの、確かに

日がじっと照らす街の向こうは
翳りだらけなの、きっと


日溜まりが気まぐれに移りだす、
翳りのある方、翳りのある方、目指してさ

日がじっと照らす街の向こうに
溢れだしてよ、溢れだしてよ、いつも

Song


彼の奏でる音の優しさ
どうも、変わらないみたいで、
ほっとしたのです。

僕はまだ道半ば、ほんのすこしの光を携え
この儘、なつかしむ儘、道なりに歌っている。


赤い、赤い、赤い星雲
細かい話を膨らませている。
一つ、一つ、一つ屋根
仕舞った言葉を弦で弾いて、

新しいものが入り組む歌を書いている。


世界に向けても、一人に向けてもいいの
どれも歌だよ
歌の芯は色とりどりで尊いの

世界に向けても、自分に向けてもいいの
どれも歌だよ
空の星がピカピカしている夜に


赤い、赤い、赤い星雲
また細かい話を膨らませては
一つ、一つ、一つ屋根
仕舞った言葉を弦で弾いて、

懐かしむもの入り組む歌を歌っている。


僕はまだ道半ば、ほんのすこしの光を携え
この儘、なつかしむ儘、道なりに歌っている。

雨のマーチ


これだけ冬が吹雪いてしまえば
春はすぐそこまでやって来るのでしょう
言葉や紙を整えて、新しい日々を思ったり

閑散とした水溜まり、どうやら外は雨らしい
歌詞が浮かびそう 歌詞が浮かびそう


今テレキャスをただ弾いて
ただ弾いて 雨のマーチに答えるの

にわか雨らしいその空気に
ギュインと鳴らして

今テレキャスをただ弾いて
ただ弾いて 雨のマーチを彩るの

自分や皆の若さをその天気に
ギュインと鳴らして

鳴らして、


例え何もかもが空回りでも
春になっていくのでしょう

表面だけ感じ取っても
ふとすれば春の深くまで居るでしょう

歌のなかには未来を記すのでしょう


閑散とした水溜まりに映るのは
街のロックチューン

雨上がりの人と世界の鼓動が聞こえる。


今またテレキャスをまじまじと弾いて
まじまじと弾いて 
透き通ってゆく冬と春の間を歌にして

今また俄雨を晴れ間が吸い取っていくから
途端、春風になって 春風になって


今テレキャスをただ弾いて
ただ弾いて 雨のマーチに答えるの

俄雨らしいその空気に
ギュインと鳴らして

今テレキャスをただ弾いて
ただ弾いて 雨のマーチを彩るの

自分や皆の若さをその天気に
ギュインと鳴らして

鳴らして、

じゃあね


水流に沿って、鯉が泳いでいる。
生物はみな、「春は今か」と呟いている。

琥珀色した日々の期待を
心の奥で舟にのせている。


上手いことに夕空になったら、
思っている言葉のすべて話せたらいいな

ゆらゆら揺れる麦を見た日も
朗らかになびく冬の樹々のことも


高らかな春の目が、時々瞬まばたきしたりして
学び舎に歩きだす。
学び舎に歩きだす。


「じゃあね」を言って、冬は顔を上げ、
空気の一つになる。
空気の一つになる。


春の雨は、色々な意味を込めて
肩にまたぽつん
肩にまたぽつん


深々と雪は、花の蕾に
一つまたぽつん
一つまたぽつん


上手いことに夕空になったら、
ただ一言だけ話してみるの


日々を期待して


視界を張り巡らして また知見を得る
一つ一つずつ
雪の織り重なる土地 私はきっと冬の微細

空気の音色 空高く いつも奏でていてほしいな
歓喜も長く続けばいいな

言葉にもぐると薔薇が揺れる
こんなにも春が待ち遠しくて、
今日の雲のこと、月の満ち欠けのことを
歌の鱗片にしています。


声が聞きたいな 穏やかな夕月を見ています。
若々しい春の声がそこで笑っていれば

声が聞きたいな
笑っていれば 笑っていれば

声が聞きたいな 穏やかな夕月を見ています。
若々しい春の声がそこで笑っているから

声が聞きたいな
笑っているから 笑っているから


薔薇が咲いたとき 春の顔をした土地へ
なつかしい日を思って 持っていくから

それは開けた空の下 集まってほしい
いつもの様に

いつもの様に

無題②


翳り行く土地の
それぞれの優しさと時は過ぎていく
そしてあどけない空の青さを知る。

翳り行く土地の
それぞれの優しさが溢れだしていく
そして睦まじい夜の深さをまた知る。


すきな物、ただただ抱えて、
鼻歌から歌を作りだす。
自分なりの言葉の芯がそこにあるから、

すきな物、ただただ抱えて、
鼻歌から優しい音色を
紡ぎ合わせる様に、
優しい歌をそこに込められたら


夜更かししている自分は、夜の風を
閑散とした心のなかに吸収して、

口ずさむ言葉とともに
夜を明かすことはできるかな。


すきな物、ただただ抱えて、
鼻歌から朝を作りだす。
自分なりの朝の空気をそこで感じるから、

すきな物、ただただ抱えて、
鼻歌から優しい音色と
傍らで揺れる影も合わせて、
優しい歌を込められたら、

込められたらいいな。

・詩集 "まなつび"(前篇)


眠り


夜に、心の鏡の前で、前面から向かってみると
昼には沸かない、嗚呼、嗚呼、嗚呼と
溜め息みたいな何か

そこで、言いかけたり、言いかけなかったり、
それでも夜を楽しいと思える僕がいるらしい

でもそれは例えば、夕日が幕を下ろす頃や、
気怠い普通の朝にもあったりするのです。

そのひとときだけの感覚が、
そのひとときだけで終わることで、
何度も今だけの気持ちだと思うだけなのです。


泡になって浅く積もった 
ふとしたら猛烈に駆けた眠り、
月の満ち欠け 朝 延々に混ざりあって、

泡になって浅く積もった 
ふとしたら猛烈に駆けた眠り、
月の満ち欠け 朝 延々に混ざりあって、

夜の魚


あなたのこと、街のなかで、ひと際きらめいてみえる。
辺りはマリンブルーの造形で
そこに入り込む魚になったの。

月夜のしずく、それを餌にして、なにもかも枯れ果てるまで
どこまでも延々と、
泳ぎだす真似、夜の魚だよ


現実的な夢想と、夢想的な現実の間を
漕ぎだした自分たち
夜景の向うを目指して

めくるめくオールを漕いで、
無口な渦を抜けたその先に
何が待ち受けているのだろう。


もうすぐ朝と隣り合わせ
月夜は微細に水面を照らす。

もうすこし旅を続けたい
あなたは言う、26時頃

帆をひろげて、風に沸いた
若々しさを言葉にしてみたい

夜の向うも僕は変わらず
あなたもきっと変わらないのだろう。

あなたは春雷


熱気溢れる夜の心象
哀愁を噛む季節
背伸びして大人になった真似ごとをしていたい

それも春がどうにも光りに光って
笑った顔の風を吹かすから


熱気溢れる夜のホール
思わせながら踊る人達が右往左往
背伸びして缶コーヒー飲んでいる自分が居た

それも外の桜がどうにも
帰り際に寂しく見えてくるからです。


聴きたかったな、聴こえてくる
聴こえてくる様で聴こえてこない
あなたは春雷、そして属さない孤高の遠雷


聴きたかったな、聴こえてくる
聴こえてくる様で聴こえてほしかっただけ
僕は風来、どこからともなく風舞う蒙昧もうまい


山並みが欠伸した猫の背みたいに うねるから
この際、何でもないこと 諦めてしまおうか

人波にとけこむ 肯定的な
そういう気楽が 膨らんでいけば

なんて思ったのです 後を濁さぬ鳥みたいな
その誠実さを 見習いたくては

ガラ空きになった その隣に
代わるものは よく分からなくて


戻ってくる 返ってくる 
その距離感から外れてしまえば
季節だって、風景だって、
造花みたいだって

戻ってくる 返ってくる
その距離感から外れてしまえば
自分だって、他人だって、
あの頃の画質の侭


主観のない波際を漂ってしまうだけだって
意味もなく春の花をふと買ったの

右往左往に酔いそうな街で
花弁揺らして 眠ってしまうの

月とユリーカ


やるせない星になれたら、そこから何を言うのだろう。
宇宙漂う雲たちに「月の欠片がほしい」と言うのかな。
月の方角を見ると地球の空気感じるよ。

話してみたいどうしても、夜に秘めた僕の言葉
光の瞬く流星か、26時の雨になって、
家の方角を見ながら夜の風をあびている。


思い出の水分を
夜な夜な月が吸い込むから
月のひと欠片ごとに
なつかしい気持ちになってしまうのだろう。

ひとり言も、夢の話も、
夜な夜な月が吸い込むから
月のひと欠片ごとに
なつかしい気持ちになってしまうのだろう。


やるせない星になれたら、なんて言ってみた物の
そこまで今が充実していないわけじゃないのに

思い出だけじゃなく僕でさえも
月に吸い込まれそうになるから

話してみたいどうしても、夜に秘めた僕の言葉
光の瞬く流星か、26時の雨になって、

月の睫毛


金箔纏い、芳醇な海を掻き分けた今日を
嘘ということにして
明日が零れるのを待とう

陸地のない想像が回る水面に戻って、
微々な文を餌にして、
続きがかかるのを待とう


そうすれば気が付けば、眠りのなかなので
漠然とした夢で途端、空を見上げて

月から睫毛みたいな垂れ幕が下りたとき、
夢の中で囀りの聞こえる扉を
コンコンとノックするのです。

塔と夢散


真珠色の砂漠、一つだけの寂れた塔
微粒と化した夢が右往左往、散らばっていく日

揺れる丸い水槽から微かに見えるキャラバン
浪漫の溢れた夢も右往左往、散らばっていく日


浅い眠りもいつの日か、
なつかしく思える時が来るのだろう。
二進法のオーロラの明るい方へ  


朝の方角に向かう夜
春雷の河を下る
星に手を振って、雲が照らし出す方へ

・詩集 "まなつび"(後篇)


春雨スープ


インスタントの春雨スープを飲んで、
一息ついたら、隣の家の窓に明かりが、
そうして今日はまた終点へ向かっていくもので、
あっという間なもので。

例年より雪の積もった街も雪解け
街路樹に新芽が顔を出して、春を告げています。
気が付けば、天井を遊泳している抱負などを
すこしずつ摘み取って叶えていきたいものです。


ぷかぷかしたスープの湯気に
ここでやっと冬眠から覚めたみたいに
日々は目くるめく、駆け抜けていきます。

猛烈な寂しさを感じて
加速度を増していく夜の雨みたいに
今、そうして目くるめく、駆け抜けていきます。


インスタントの春雨スープを飲んで、
一息ついたら、夜を纏った瞼に
やっと朝の光を送るのです。

だから春雨飲みたい。
だから春雨飲みたい。

Town


雲一つない空に鯨が泳いでいるとは思わず、
意味もなく大きな街へ来たもので、
瞼が夜の底へと下るまでの余暇をここで
過ごすことにします。

この街には、季節の影みたいな言葉と映像が
散らばっているみたいで、
まるですべてがそれで出来ているみたいです。

雨も芯が通っている様に、
心の奥 ノックする様に、
深く深くやってくるのです。


観点が混ざりに混ざって入り組んでいる
幾何学的な街で、
浮かぶ文言すべてが本当とは限らないので、
アスファルトに深く根を張って
ここでは生きていくのです。


どれが本当 どれが違うかも分からない
幾何学的な街に、
呟く言葉はすべてが本当とは限らないので、
兎にも角にも蔦を張って
ここでは生きていくのです。

雑感


言葉の端がうねりだしたら、
紙のなかでさ、うねる先から
作られていくサンゴ礁。
文字で作られたサンゴ礁。


浅瀬から深くまで行くと
黎明れいめいの記録のむれが
冴えた視力で嘘を見抜くみたいだ。


人々のそれぞれの
日々の章節は、はじまりから
変わりが見られるから面白いのです。


そして季節の変わり目には
前の季節のおもかげが
足元辺りに魚みたいに泳いでいるから
そうすると一つ大きくなったと感じるのです。

二尺玉


想像上でも 海と空の合間に
二尺ほどの花が咲いたら この距離感に変わりはあるかな
本音も浅瀬で水沫すいまつになるから
温度も空気も ほぐれない侭だな


夏という一つの国で
青はいつでも豊作で、
あちらこちらに実っているはずなのに
僕はいまだにそれに気付けないでいる。


向日葵畑と同じ背丈か
それ以上になっても、
口から発した言葉はいつも
羽根を持たずして散ってしまうから


日影に座る猫の目になって
そこから伸びる空のすべてに
言葉の片がむれをなして
今も泳いでいるのかと


思っているのかもしれないです。
笑い話になれる日を
待っているのかもしれないです。
待っているのかもしれないです。

湾曲


深々とお辞儀する樹々の何もかも
深々と回り出す夜も何もかも
細々と枝みたいに別れた人のむれと
湾曲する窓の光に鴉が吠える。


凪いで揺れる 凪いで揺れる 
この夜を上手く扱えず かと言って 
下手に眠れぬ侭で 繰り返し 
水を飲み 日向に辿り着こうとする。


想像が翼を持ちすぎている 
この夜を上手く扱えず かと言って 
夢のなか思う様に 旅に出れぬので
眩しい日に いっそ辿り着こうとする。


深々と礼をして どこを目指すの
蔓を手繰っても 答えは分からない様な
夜よ何もかも 飲み込まないで
寂しい街よ 湾曲しないで、

深海魚


幾ら泳いでも、青色は尽きないな
別にいいんだけれど、時に期待が緋色でもいいから。

命纏う銘銘めいめいの魚の眼を見る、
それは疾風でも泳ぎ続けた夢の類たぐいです。


星を手招きすることに疲れても、
白夜の微々が汗みたいにこびり付くから。

憂う春の深海から先を見据えて、
夢が爪先から零れるまで。

透明になるふりをしているだけでも、
黎明積る知識の海に辿り着くから。

気まぐれな春の泡から目先の土地に、
爪先から溢れた夢が日溜まりになるまで。

サマーリバーブ


ゆめを見ている。家の近くに昔あったあの畦で
友達と笑っている。夏の日差が暖かい
虫が羽ばたく、それもまた久しい
透き通ってみえる、透き通ってみえる、


いつも心象にあるのでしょう。
それはトロイメライ
蝉の声 リバーブしている。

朱い空の鳥 夕景が窓に
どこまでも続いていく どこまでも続いてよ

いつも心象にあるのでしょう。
それはトロイメライ
夜の音 リバーブしている。

海辺の水鳥 私たちの街
どこまでも続いていく どこまでも続いてよ


花揺る坂を すれ違わないで
待ち合わせする 待ち合わせする
入道雲と曇天が空で混じっている
それを一人で見ていても きっと寂しいから

拙い言葉で それも仕方ないよね
答え合わせする 答え合わせする
ソーダ水と果実をベンチで食べている
変わらず夏のすべてが 音を鳴らして踊っている



閲覧ありがとうございました!

今回まとめるにあたり、下書きに一つ一つ起こしていったのですが、
文字数が2万字を越えていてびっくりしました。
前半に当たるこちらもこの時点で1万字を越えています。

後半もこの後投稿予定ですので
よければ気軽に見てみてください!

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