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[詩集]くらしを


2023 12 16

※詞を書いた日付です

カーテンから見えるのは多分、
この夜のトンネルを
越えた長い旅
いつも街の新雪淡く
思い出して駅に行ってみた
浮かんでくるけど言葉に
書けないことは積もる

キーボードを「無題」という
タイトルで弾こうとした
あの靄が色とりどりに見える
気がする魔法
昨夜のホットケーキ、
マーガリンが固まっていく
新しく浮かんでくるもの、
文字に打つもの

期待と裏腹の
期待を
期待と裏腹の
期待を
部屋のどこかに立ち竦む
その夢を
カーテンから見えるのは多分、
この夜のトンネルを
越えた長い旅



2024年初めての詩集になります
"冬、春、夜"をイメージした詞を掲載しています
また、新作も2本あります
ぜひ、ゆっくり楽しんでください^ ^



冬に待ち合わせ


君のことを知るためには
まずは自分に向き合わなくては
そう思って、一日、二日、考え込んでは
文字に書き起こして、基準を作ってみては
しばらくすると何も分からなくなるの

冬から木霊するように
枯れ葉を連れる風がやってきて
そういえば君がいたあの日も
待ち合わせは寒い場所で
どこに行こうと決めていなくて
あちらこちらを歩いていたね

それは青空を馴染ませていた
ビルとビルを見渡して
覚えているよ、全部、覚えているよ

それは青空を馴染ませていた
ビルとビルを見渡して
覚えているよ、全部、覚えているよ


頬をよぎる雨はいつも夕方過ぎの
じきに暗くなる空模様と重なるんだ


新しい場所で今も自分は分からないことばかり
会話の輪郭を掴み、話し出すのは難しい
待ち合わせは一人だけ
過去の方を歩いていくんだ

そういえば君がいたあの日も
待ち合わせは寒い場所で
どこに行こうと決めていなくて
あちらこちらを歩いていたね



睡蓮


手には汗
心もとない夕べを見ている
時には雨
どうにかなればとザーザー降っている
水と庭に
透けた糸を張っている
期待を、
透けた針で縫っている

朝には睡蓮開く技で
見惚れた硝子窓でさえ
皐月の空を漂う常常

奥底から走りだす汽車の硝子窓から
花びらに眠る技はサイレント
ゆれる睡蓮と


手に流行る春
月へ滑る夕陽を見ている
時では雨
どうにかなればとザーザー待っている
水と庭に
夜半ばが降る
期待を、
針の温度で縫っている

朝には睡蓮開く技で
見惚れた硝子窓でさえ
皐月の空を漂う常常

奥底から走りだす汽車の硝子窓から
花びらに眠る技はサイレント
ゆれる清廉と


春の星


僕は夜の機微を確かめたら
あの灯台に向かう
そこからは迷うことなく
海の水面に星が見える

僕は吐露した日々の錆を
空気にくるみ泳がせて
心が握るオールで漕いだ、
あの春の星
春の星

このまま一直線に行っても、時折引き返しても
きっと君に会える気がする
奥底に思う

息を吐いた街の軒先で
目にする光を追って気が付いた
それは春の星
何光年も笑う春の星


流れ着いた波間の枯れ葉
あの灯台を離れ
心が強く握る重い海
今に無重力

宇宙が目の前で色めき
僕を連れてく
この夜はサラウンド
この夜はサラウンド


このまま一直線に行っても、時折引き返しても
きっと君に会える気がする
奥底に思う

息を吐いた冬に上る湯気
その先を追って気が付いた
それは春の星
近付いてくる春の気配

僕は夜の機微を確かめたら
あの灯台に向かう
そこからは迷うことなく
海の水面に星が見える

僕は吐露した日々の錆を
空気にくるみ泳がせて
心が握るオールで漕いだ、
あの春の星
春の星

未知の場所で笑う春の星
未知の場所で笑う春の星



暁闇


扉を閉めたら街は静謐
書く手から踊るよ
文字がとけるよ
何ごとも長く続いた方がいい
望郷
星は空の水滴のよう。

暁闇の通りを
今日も歩くけれど
まだ、あの日の答えを
分からないまま、立ち竦む
比喩が耳へと
そのうちきっと聞こえてくる
その手から込めるよ
夜の轍を


車の抜けるトンネルで
空気にふれるけれど
まだ、この夜の空白を
どこか置いたまま眺めている
比喩が耳へと
そのうちきっと聞こえてくると
願った日々、
打ち解けたい雨の轍と

伸びきった髪は草木そうもくみたいに
風に靡いて立ち竦む
風声鶴唳ふうせいかくれいのその刹那が
消える頃、空は明けていく
暁闇の通りを
今日も抜けるけれど
あの日の答えを、それぞれ
持ち寄ったらどこを目指すか


Around


今更引き返そうとは思わないよ
ここまで来たら一直線に行ってしまおう
どこまでも未来の
一握の安らぎに会えるまで行こう
百年先の木々はそれを知っているのか
僕と日々の軋轢だって消え去ってしまう頃
ぼんやりとした言葉と歩き出す
昼下がり

忘れてしまうこと
時が経てば忘れてしまうこと
忘れられないこと
この日射しに思い出したこと
僕の蹲る地平は
記憶の中だけの人の履歴

今更引き返そうとは思わないよ
ここまで来たら一直線に行ってしまおう
どこまでも未来の
一握の安らぎに会えるまで行こう
僕の曖昧な感情は
時に嘘を付いてしまっていた
いつも飛びっきりの言葉を
言ってほしかったんだろうと

次に向かって歩き出したあなたの影を追ってまで
止めたりはしないよ
止めたりはしないよ
僕はここからアラウンド
永久とこしえの感覚を
胸に抱いて一歩踏み出す

忘れてしまうこと
時が経てば忘れてしまうこと
忘れられないこと
この日射しに思い出したこと
僕の蹲る地平は
遠い記憶の中の清廉

いつの日
かの地平を超えて
時が経てば忘れてしまうこと
いつの日
かの地平を超えて
この日射しに思い出したこと
僕はここからアラウンド
永久の感覚を
胸に抱いて一歩踏み出す


言葉より


言葉より近い距離で
窓越しに思い出した記憶も
言葉より近い距離で
夜をとかす世界の音も
飄飄と飛ぶ鳥の幾多
空を連れてどこへ行こうか
忘れていく春の数多
夢を連れてどこへ行こうか

距離より近い言葉で
記憶越しに思い出した窓辺も
距離より近い言葉で
世界の音をとかす夜も
鳥の幾多
空を呼んで、空を飛んでどこへ行こうか
春の幾多
夢を呼んで、夢を飛んでどこへ行こうか

ここから何も見えないのは分かっている
それ以上の想像を作れないのは分かっている
何かが確かに冬になるのを感じている
何かが確かに冬になるのを感じている

ここから何も見えないのは分かっている
それ以上の想像を作れないのは分かっている
何かが確かに春になるのを感じている
何かが確かに春になるのを感じている



どこにも行かない


どこにも行かない、少なくとも君の姿が
まだ見えない
ここからは見えない
まっしろなスマホとことわりの砂
まだ見えない
ここからは一瞬の
空間のはためきすら
つぎでは風の中
どこにも行かない、まっしろに行かない

尺玉の軌道が見える
だから準備に移る
初めての休日に差し掛かっているから
どこにも行かないを今に越えて
研いだその感覚で、大地を踏み締める


どこにも行かない、少なくとも転がる朝が
新しく生える草木に反射するまでは
履歴アーカイブを上り下る
川のようにスマホを見つめている
ここからは一筋の
部屋の明かりの輝きすら
つぎでは夜の中

ツギデハヨルノナカ


尺玉の軌道が見える
だから準備に移る
初めての休日に差し掛かっているから
知らない言葉を乗せて轟いた森
研ぎ澄ました表情で、枯れ枝の先を踏み締める


早々の中に隠れた嘘を見抜く
時間は迷いを加速させる
どこにも行かない、少なくとも君の姿が
見えるまでの膨大を
頭に入れている



閲覧ありがとうございます!

今回は、全体的にシンプルな文章の詞が多いと感じました。
今年もこうした詩集を投稿していけたらと思います。

他の詩集もこちらから見れますので、
ぜひ見てみてください^ ^

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