#18. 3C分析-Customer バリューチェーン(VC)によるペルソナ把握の方法
3C分析 Customerの全体分析の後の詳細分析のやり方です。全体分析で、ターゲットとなる顧客やペルソナ、そのニーズ、妥当価格が漠然とイメージできている状態で実施します。
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本noteは、ポートフォリオワーカー*になった、外資系IT企業マーケティングマネジャーによる、『初めてマーケティングを学ぶキミに伝える マーケティングフレームワーク活用講座』の連載企画です。
*「ポートフォリオワーカーって何?」は、こちらを参照下さい。自己紹介とともに説明しています。
前回はこちら、最初から読まれる場合はこちらからどうぞ。
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3C分析-Customer詳細分析
全体分析で漠然とイメージしたターゲットとなりそうな顧客像をブレークダウンして考えます。ブレークダウンして考えるといって、MECE*にポンポンとアイデアがでるものではありません。
*MECE(ミーシー (Mee-cee)
英語: Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive (頭字語))とは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉である。 要するに「漏れなく・ダブりなく」という意味である(Wikipedia)
そこでフレームワークを使います。残念ながらこのブレークダウンをサポートするフレームワークは3CやSWOTのようなメジャーなものはありません。マイナーならあるのか、というと、それすら無いのが現状です。少なくともボクは知りません。
ないなら、作ればいい!
そこで自分でそのフレームワークを考えました!
と、いっても、帰納法によるアプローチと、「アイデアの作り方」からのヒントによる「組み合わせ」によってです。なので、斬新でもなんでもありません。
「ここで、これ、持ってくる?」的なアプローチです。
カスタマイズド・バリューチェーン(CVC)
3C Customer分析においても、バリューチェーン(VC)を使用し、ペルソナをブレークダウンしていきます。それも、ただのバリューチェンではありません、カスタマイズド・バリューチェンを使用します。
「カスタマイズド・バリューチェーン(CVC)」は、ボクが考えたものなので、ボクの造語です。CVCについては、すでに#13で説明しています。ご覧になられていない方は是非御覧ください。
CVCを、ひとことでいうと、自分が戦う業界に合った形にバリューチェーンモデルにカスタマイズ、変更したものです。
ボクは、外資系IT企業を中心に何社か転職しましたが、基本ソフトウェア販売が中心です。そのため、製品であるソフトウェア、それに付随するPreとPostのサービス(製品購入前、購入後の有償/無償のサービス)を組みわせて、顧客ニーズを想定しながらCVCを考えるのが、一番腹落ち感があります。
そのため、4Pの要素を入れ込んだ、下のCVCをよく使います。競争優位を確立するためのバリューチェーンをベースに、想定顧客が欲するであろうニーズを入れ込んでいます。
これが、製造業だったら、ハードウェアの仕入が必要であると思うので、「調達」からスタートする、ポーター教授オリジナルのVCをちょっとだけカスタマイズする方がしっくりくるのかもしれません。
純粋なサービス業であれば、提供するサービスをベースにVCを組み立てた方がいいかもしれません。
いずれにせよ、自社が販売する製品/サービスを、自業界に適する、製造/開発からPost Sales(販売後のアフターサポート)までのチェーンに変更し、その各要素の何を、どの点を、直接的、間接的に、顧客が求めるだろうかを考えます。
バリューチェーンの使い方違う?
こう書くと、
「バリューチェーン(VC)は「モノの流れ」に注目し、企業の活動を分けたものだよね?、顧客ニーズ把握に使うのは違うんじゃないの?」
と、いう意見も出てきそうです。
確かに、VCは、「モノの流れ」に注目し、企業の活動を分けたフレームワークです。しかし、VCの目的は、「自社が顧客に提供する製品/サービスを競争優位を持って提供するためになにをすべきか」を検討するためのものです。これを顧客視点に立って言いかえると、VCにより実現する競争優位を確立した製品/サービスによってもたらされるものは、「価値」となります。
VC = 競争優位の確立 = 製品サービス /企業活動 = 顧客に提供しうる価値
すると、企業活動の側面からでなく、「顧客に提供しうる価値」側面から、VCを構築するアプローチも可能なはずです。「顧客に提供しうる価値」に合わせて、企業活動を最適化するアプローチです。
ポーター教授も著書で言われています「業界のバリューチェーンとは、要は業界の一般的なビジネスモデル、価値を生み出す方法である。」と。
では、「顧客に提供しうる価値」とは何か?
どこで定義されているのか?
残念ながら、どこにも定義されていません。
しかし、「顧客に提供しうる価値」は、「顧客が(感じるであろう)価値」とも考えられ、その価値を増幅させるために、一連の企業活動が行われます。
「価値」という目的を具現化するために「活動」があるといえます。
「価値」≒ 「(製品サービス/) 活動」です。
すると、VCを「顧客が(感じるであろう)価値」で分け、活動を考えることは、それほど無茶なアプローチでないはずです。同様に、活動から「顧客が(感じるであろう)価値」を類推するアプローチも有効なはずです。
この考えに基づいて、3C Customer分析で、カスタマイズド・バリューチェーン(CVC)を使用します。この後に実施する、Customer/Company分析でも、CVCを使用します。実際、やってみると、とてもしっくり来ます。
カスタマイズド・バリューチェーン(CVC)
#13で、使ったボクがよく使うCVCをベースに、実際どのようにペルソナのニーズ把握を行うのか説明します。
サンプル商材は、ノートPCです。
(*ボクはPCメーカーでは働いたことがありません。なので、あくまでも考え方のサンプルとお考え下さい。念の為)
実はボクは昨年5月にノートPCを買い替えました。その際のエンドユーザーとしての視点を参考に、ノートPCのペルソナを考えてみました。
とはいえ、ノートPCはすでにコモディティ化しています。ノートPCといっても、いくつものセグメントがあるはずです。そんな中で、ボクの周りの友人も購入している「中スペック、5万円代PC」を題材にしたいと思います。
想定ペルソナのイメージ
[ノートPCユーザーセグメントX]
a. PCスキルが高く、PCはCPU、メモリー、SSDのスペックが重要、それ以外はどうでもいいと考えている、ビジネスマン
b. ゲーマーでないため、ビジネス関連アプリが高速で処理できればOK
c. バンドルソフトは不要、手厚いサポート不要、とにかくスペック重視
想定需要:5-10%
*この理由説明をちゃんとすると時間かかるので割愛します
a-cは、全体分析からのフィードバックです。漠然としています。「この層、このセグメントに売れるんじゃない? その場合、こういうことを重要視しそうだよね」の感覚的コメントをまとめてものです。
a-cと3つしか書いてませんが、10個でも20個でも構いません。
多ければ多いほど、いいです。自分ひとりでなく、チームメンバーからのフィードバックを集めると、より精度が高まると思います。
とりあえず、今回はa-c、3つで話を進めます。
このペルソナをCVCでブレークダウンしたのがこちらです。
コメントとともに数字が入っています。このペルソナが重きを置くであろう項目を1~5で数値化しています。これが後々とても重要な意味を持ってきます。
5は最重要、1はこれっぽちも重要でない、という意味になります。
「仕入/コスト」「利益」にコメントが入っていないのは、この2つは顧客にとっては関係しないCVCになるためです。しかし表から消していないのは意味があります。
次に行うCompetitor/Company分析でも、この図をそのまま使うからです。
とりあえずは、2つは無視して内容を見ていきましょう。
漠然とした想定ペルソナのイメージa.とc.の内容が、「スペック」「サービス」「サポート」に数値とともに反映されています。「価格」についてのコメントはありませんでしたが、a.とc.から、メーカーにこだわりは持たず、ROIが高いものを選択することが予想されます。そのため、「価格」を”5”としています。
ユニークなのは「プロモーション」の内容かもしれません。このペルソナの検索のスタートを「価格コム」等の比較サイトと位置づけて、それ以外のプロモーションはあまり使用されてないと想定しているところです。
プル(顧客に売り込みをせずに、顧客に気づかせて購入させる)の製品ではありますが、ペルソナが「PCスキルが高い」という特徴があるため、「価格コム」等の価格比較サイト以外の効果は薄いと判断しています。実際は、このペルソナ以外の顧客向けの宣伝広告を見て、このペルソナの人たちも自社サイトに誘導されることはあるでしょうが、それは考慮しないものとします。
この効果は、Company分析のPromotionで「プラス」として働くことになります。しかし、Customer分析では、「価格以外のPromotionは効果が薄い」と想定した方が、このペルソナからは妥当であると考えます。
こんな感じで、3C Customer分析をブレークダウンしていきます。
CVC、重要度数値が加わることで、よりペルソナのニーズ、価値が想定できると思います。
雑感
久々のマーケティング関連の投稿です。マーケティングの他にも、ボクは読書(聴書)のスペシャリティを持っていると思い、そちらもnoteで書きはじめました。
マーケティング、聴書(「耳読」という言葉を見ましたが、こっちの方が一般的?)、どちらもどこにも出ていない情報だと思います。自分が試行錯誤しながら、カスタマイズしまくり、結果、自分の中では最適化できたやり方だからです。
一日に書ける量は、限られていますが、コツコツ書いていきますので、両方とも読んでいただければ、うれしいです。
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