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#13. カスタマイズド・バリューチェーンとは?

今回は、主要マーケティングフレームワーク、バリューチェーンを簡単に説明します。邦訳では「価値連鎖」というそうですが、「バリューチェーン(VC)」の方が一般的だと思います。

マーケティングやビジネス書を読む方なら、おそらく知っている有名なフレームワークです。でも、多くの方が見落としがちなキモがあります。それを本noteでは説明します。

ひとつは、本に書いてます。
もうひとつは、ボクのオリジナルです(おそらく)。

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本noteは、ポートフォリオワーカー*になった、外資系IT企業マーケティングマネジャーによる、『初めてマーケティングを学ぶキミに伝えるマーケティングフレームワーク活用講座』の連載企画です。

*「ポートフォリオワーカーって何?」は、こちらを参照下さい。自己紹介とともに説明しています。

前回はこちら、最初から読まれる場合はこちらからどうぞ。

バリューチェーンとは

バリューチェーンとは、
事業活動を機能ごとに分類し、どの部分(機能)で付加価値が生み出されているか、競合と比較してどの部分に強み・弱みがあるかを分析し、事業戦略の有効性や改善の方向を探ること。

1つの製品が顧客のもとに届くまでには、さまざまな業務活動が関係する。「モノの流れ」を、企業の活動を主活動と支援活動に分け、それにマージン(利益)を加えて全体の付加価値で分類する。主活動は、部品や原材料などの購買、製造、出荷物流、販売・マーケティング、アフターサービスなどがある。支援活動は、主活動を支える人事や経理、技術開発などの間接部門がこれにあたる。
Source:Globisをベースに修正

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マイケル・ポーター教授が提唱したフレームワークです。
この図とともに、大体のコンセプトは知っているのではないでしょうか。

では、このフレームワーク使って分析したことがある方はどのぐらいいるでしょうか?
おそらくですが、5%未満、いやもっと少ないかな、と思います。

なぜなら、このモデルは製造業を例にかかれており、それ以外の業種の人では、そのまま使えないからです。

製造業従事者は、15ー20%程度です。それ以外の人は、「購買」とか「出荷物流」とかは、自ビジネスではあまり関連しません。そこでフレームワークは本で見たことがあっても、使用したことがないと思うのです。

バリューチェーン(VC)のキモ1:自業界のVCにする

マイケル・ポーターの競争戦略/ジョアン・マグレッタ著 P108 /109に出ています。バリューチェーン分析の主要ステップは、「1.まず業界のバリューチェーンを洗い出す」ことです。

業界のバリューチェーンとは、要は業界の一般的なビジネスモデル、価値を生み出す方法である。つまり業界の大多数の企業が、より大きなバリューシステムのなかに定めた「居場所」のことだ。

と書かれています。

つまり、意訳してしまうと、「VC使うなら、自分の業界に合った形にVCをカスタマイズしなさい」ということです。同書では、どこの業界との記述はないのですが、例としてこんなVCを提示していました。

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「購買」が「研究開発」に、「製造」の前に「サプライチェーン管理」が入ってます。まだまだ製造業寄りには感じますが、ちょっとはカスタマイズされています。

Google画像検索で、「バリューチェーン」と検索してみたのですが、9割以上がいわゆる「製造業VC」の図が表示されます。

また、書籍名はあえて書きませんが、ポーター教授の「競争の戦略」をわかりやすく解説する本にも、「製造業VC」しか出ていませんでした。

断言します。
VCは、自分がビジネスする業界用にカスタマイズしないと、使えません。

そこで、ボクは独自にこんなモデルにVCをカスタマイズして使用しています。

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全部網羅できなくても問題ありません。使えるところだけ使えばいいんです。フレームワークなので。要素を増やしています。

これ見て気づかれた点はないでしょうか?

そう、VCのフレームワークの中に、4Pの要素を入れ込んでいます。

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「スペック」、「サービス」、「サポート」は、4PのProduct要素を分解したものです。位置的にはVCとして、販売プロセスの流れにしていますが、提供する製品、それに付随するサービスを表しています。

また、Productの他にも、Promotion、Place、PriceもVCに入れ込んでいます。それが多くの場合、競争優位を実現させる素になっているからです。

「購買」は「仕入/コスト」に変更しています。
「仕入」ルートが開拓することが重要だったり、仕切れコストが提供価格に大きく影響するので、「購買」よりは、こちらの方がピンとくるからです。

スペックが何よりも重要な時には、スペックを「XX機能」「YY機能」「ZZ機能」と分けて使用することもあります。

自ビジネスで重要と思う、VCにカスタマイズしまくるべきです。そうしないとVCの良さは発揮できません。

バリューチェーン(VC)のキモ2:3CでVCを使用する

VCを単独で使用してはダメです。

マイケル・ポーターの競争戦略にも書かれていましたが*、VCをSWOTの内部分析で使用するアプローチはたまに見受けられます。でも、SWOTは、3Cのの結果を評価するツールであって、分析するツールではありません。

*同書ではSWOTは恣意性があるという理由で、ネガティブなコメントがなされています。念の為。

そのため、VCは、3Cの分析のツールとして使用するのが正解なはずです。ボクの「首尾一貫性マーケティング」(あいかわらずカッコ悪い名称ですね、『マーケティングフレームワーク・フロー」とでもしましょうかね)を思い出してください。

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「3C→SWOT→STP→4P」の順番で分析/評価/プラン策定をする訳ですが、3CのCompetitor/Company分析でカスタマイズVCをベースに行います。

すると、競合分析と同時に自社の強み/弱みがVCベースで把握でき、カスタマイズVCには4Pの要素も入っているので、最終的なマーケティング施策である戦術をも整合性ある形でプランできるようになります。

よーく図を見ると、SWOTとSTPと4Pの矢印は、片方向ではなく、両方向になっています。3Cは分析なので、勝手な加工やAs is(現状)でないことを意図的に付け加えることはNGです。が、その分析結果をどう解釈するかは、プラン策定当事者の自由であり、その後のSTPや4P でそれを反映させます。そこがマーケティングの面白みであり、醍醐味です。

競合の強み/弱み、自社の強み/弱みを把握し、足りない部分を補う、強い部分を強化する、などは、効果的なプラン策定をするために欠かせない視点となります。

それを実現するためには、多面的な分析が必要となります。その分析を助けるのがカスタマイズバリューチェーンになります。

雑感

今日のnoteはかなりの自信作です。

文章はあいかわらず下手なのですが、内容はかなりいいのでは?と思います。オリジナリティがあるはずです。

ほんと不思議なことに、今日の内容が書かれている本にボクは出会ったことがありません。

まだまだ勉強不足なのか、視点がThink Differentなのかはわかりませんが、響いてくれる方には、ビビットに響いてくれるはずだと思っています。

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