地方移住3年目【地域の仕事のつくり方】
2018年5月。
三男を生んでちょうど1ヶ月後に私たち家族は縁もゆかりもない和歌山県かつらぎ町に移住した。
車を2台購入し、家具をいっぱい買って、新しい生活の準備に1ヶ月程かかったと記憶している。
三男は生まれたばっかりで首がぐらんぐらんだし、私はペーパードライバーだし、長男は4歳で次男3歳。
【 観 光 以 上 ・ 定 住 未 満 】
「関係人口」という言葉をご存知だろうか?
この「関係人口」が地方創生の鍵を握ると言われている。
「関係人口」とは、かつらぎ町以外の場所を拠点としている人だけど、かつらぎ町と継続的に関わってくれる第3の人口のことだ。
この3年の間に、地域で2つの事業を立ち上げる中で、まさにこの「関係人口」と呼ばれる継続的に私や事業に関わってくれている人たちが多く現れたのだ。
2021年3月に観光農園事業におけるクラウドファンディングに挑戦したことにより、その数は激増。
長野県、大阪、奈良在住のメンバーを中心に、岐阜、群馬、東京、兵庫、いろんな場所からボランティアに来てくれたり、元々知り合いだった知人、友人が何度もかつらぎ町に訪れている。
中には私の家に80泊程宿したことがある人もいるくらいだ。(笑)皆かつらぎ町の存在を知らなかった人たちばかりなのに、山に癒され、空気に癒され、やんちゃ三兄弟と極限状態まで遊ばされ(笑)帰っていき、だいたいリピーターになっている。
▼夜は焚き火を囲んで団らん
【 移 住 し て 3 年 間 で 2 つ の 事 業 を つ く る 】
私が地域でつくった仕事は2つ。「無添加こどもグミぃ〜。」と「くつろぎたいのも山々。」である。
ゼロからイチを作るために私は、この4つを行い2〜4を高速回転でぐるぐる回した。
1●頭の中から成し遂げたいことを出すため、プレゼンブックを作る。
2●発信しまくる。プレゼンしまくる。
3●とにかくやる。転がりながら前へ。
4●市場の声を聞きながらスピーディーに改善する。
【 無 添 加 お や つ 事 業 】
農家が畑に捨てる廃棄フルーツを買い取り、地域の障害者福祉施設で加工、袋詰め、発送を行っている「無添加こどもグミぃ〜。」
2020年10月からインターネット販売をスタート。
原材料は廃棄フルーツのみ。グミのような食感の添加物は一切入っていないドライフルーツで、大阪市立大学と畿央大学と2年の歳月をかけて開発した。
全国のおやつストレスに悩むお母さんに指示されて、サブスプリクションモデルで毎月500人の子ども達にご機嫌ママを届けている。
実は、販売開始直後からご注文が殺到し5月から新規のご注文は受け付けていない。現在ご予約待ち800名という状態で、生産体制を急いで整えている。
販売してからこの1年間での実績はこんな感じだ。
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◎定期会員500名
◎ご予約待ち800名
◎提携農家1軒から22軒に拡大
◎提携障害者福祉施設1軒から5軒に拡大
◎廃棄フルーツの買い取り地域(和歌山/長野/大阪)に拡大
◎メディア取材40件以上
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毎月200kgもの廃棄フルーツが障害者福祉施設の皆さんの手によって「無添加こどもグミぃ〜。」に生まれ変わり全国の子ども達の元へ届けられる。
現在、新商品として、廃棄桃と廃棄柿を活用して「無添加アイスクリーム」の開発を大阪の専門学校、キャリナリー製菓調理専門学校の学生さんと開発している。
来年2022年春に発売開始である。
▼障害者福祉施設での袋詰めの様子
【 観 光 農 園 事 業】
もう1つは立ち上げ真っ最中であるが、日本一お子様連れを歓迎する観光農園「くつろぎたいのも山々。」
この場所は、ブルーベリー狩り、椎茸狩り、BBQ、焚き火、キャンプができる子連れ限定の自然体験施設だ。
特徴は大暴れ、大騒ぎ大歓迎。
子ども達が大騒ぎするのを大歓迎している場所で、かつお母さんがゆっくりコーヒーが飲めて、ゆっくりBBQを楽しめくつろげるような仕組みになっている。
施設の機能としては、授乳スペースやおむつ替えスペース、保育園にあるような子ども用トイレ、車椅子ユーザーのお子様も楽しめるようにユニバーサルシートを設置したユニバーサルトイレがある。
お母さんが他のお客様やスタッフに気を遣わなくていいように、大人だけでは入場できずグループの中に小学校6年生以下の子どもが1人でもいないと入場できない。
ただし、ブルーベリーと椎茸の年間オーナーさんだけは年3回のオーナーズDAYだけは大人だけでも入場していただける仕組みだ。
まだオープンしていない「くつろぎたいのも山々。」なのにも関わらず既にブルーベリーと原木椎茸の年間オーナー様は200人もいる。
実はクラウドファンディングに挑戦したのだ。
なんと無名の私が立ち上げる、無名の町の、まだ当時は建物すら建っていなかった観光農園に733人もの方が1029万円のご支援をしてくださったのだ。
そして6〜8月の間に、全国からかつらぎ町に80人以上の方がおとづれてくれた。
【新 し い 仕 事 を 地 域 で つ く る 】
地域の仕事のつくり方という本題に入りたいと思う。
私の事業は「無添加こどもグミぃ〜。」も「くつろぎたいのも山々。」も元々住んでいた大阪の天満橋では形にならなかった。
コロナ化にあって地方移住を考えている人の大半は、地域でどうやって仕事をつくればいいのか?ということを考えているのだが、順番が違う。
大事なのは順番なのだ。
無添加こどもグミぃ〜。もくつろぎたいのも山々。もどっちもこの順番だった。
【STEP1】困っていることがある
【STEP2】地域に行って、発見する
【STEP3】困っていることが、地域にあるもので解決する
地域で仕事をつくれたとしても関係人口をつくるまでに至らないことが多いのは、「都会より今は地方!地方の方が新しいこと始めやすいぜ!」とか「起業したい!地方の方が生活コストも低いしいいじゃん!」とか、顧客不在でスタートしてしまう場合だ。
都会だから、地方だから、会社員だから、フリーランスだから。こんなものは「ただの条件」にすぎない。
「あなたが人生かけて登りたい山は何なのか?」ということは1番大事で、1番目に考えるべきことだ。
その山に登るために最も適した条件を選べばいいし、今自分が持ってる条件を活用するなら、ご自由時どうぞなのだが条件から先に入ると失敗する可能性が高くなる。
【 仕 事 を つ く る と い う こ と 】
「仕事をつくる」ということはどういうことなのか?
それは、誰かのお困りごとを解決することだ。
不安や、不経済的、不合理的、そういった人間が抱えている「不」を解決する代わりに「ありがとう」の印としてお金を頂き、仕事になる。
スタートはいつも「誰の課題を解決したいのか?」「誰を助けたいのか?」そういったことが全ての始まりにくるべきだ。
それなしに、条件からスタートする事業は実体験を伴っておらず、人々の共感や応援が得られずだいたい失敗に終わってしまう。
解決したい課題を抱き、都会から地域に移動した時に「あれ?これで解決できるやん!」とひらめいたのが、まさに私の「無添加こどもグミぃ〜。」と「くつろぎたいのも山々。」であった。
【 関 係 人 口 が 増 え 続 け る 地 域 の 仕 事 】
私は、地域で仕事をつくる醍醐味と価値の最大化は関係人口が継続的に増え続けることだと思う。
三人のやんちゃ三兄弟を育てる中で、こんな商品あったら笑顔でいられるのに、救われるのに、、、そんなプロダクトを地域で捨てられている廃棄フルーツや耕作放棄地を見た時に、「これ使えるやん。」と思ったのだ。
こうしてつくった2つの事業は今、豊かな新しい人間関係をもたらせてくれている。
クラウドファンディングをきっかけにして、私のことを知ってくれた20代の若者達が、毎月のように全国から家に泊まりがけてきてくれて、観光農園の立ち上げを手伝ってくれている。
長野在住のニックネーム竹王子は、かつらぎ町へ地域おこし協力隊として赴任を希望していて、この前町長と産業観光課の担当者と面談していた。
(なかなか、担当者から連絡来ないと言ってたw)
みんなでBBQをしたり、焚き火をしたり、やんちゃ三兄弟を遊んでくれたり、家を片付けてくれたり(笑)
私も夫も、三兄弟のお兄ちゃん、お姉ちゃんがたくさんできたようでとても嬉しい。帰ってしまう時は「また来てよ〜涙」と子どもを見送る父母のような心境になるのは不思議である。笑
「また帰ってきます。」という言葉をくれる人もたくさんいてそれもまた不思議なのだが、その言葉を聞くたびにこれまた不思議な縁を感じる。
それだけではない。
まだ、オンライン上でしか対面していない全国の仲間がいて、みんなかつらぎ町にもうすぐオープンするくつろぎたいのも山々。の立ち上げメンバーかのような心境で、時に私の心配をしてくれ、時に励ましてくれ、本当に感謝でいっぱいだ。
元々かつらぎ町の存在を知らなかった1000人の方がまだオープンもしていない、無名の観光農園を心の中に入れてくださっている。
私は、このような継続的な関係性の中で生まれるあれこれは、何かの調査結果にすぐ反映されるものではないけれど、それは確実に地域の力に、魅力に、活気になると信じている。
ではまた!
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