珍妙動植物奇譚 動く大きなサボテン
「しかし熱いですね」
商売道具であるニコンのカメラは砂漠の熱に壊れてしまうのでは、と思うほどだ。
「今日はむしろ涼しいほうだ」
現地のナビゲーターとして同行してくれたドゥンパは、流暢な英語で返事をする。
「サハラは今日も静かなもんだ」
彼はゆっくりとまた一歩と砂を掻き分ける。
「あ、あの。ドゥンパさん。ホントにあるんですよねえ。その、動く大きなサボテンっていうのは」
「ンゲーニ・ウタペーリ」
「はい?」
「ユージ、あんたが探しているその植物の名前のことだ」
「はあ」
彼はこの