眠 音夢

眠 音夢(ねむり ねむ)、主に小説書いてます。ダークな世界観が大好物。

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マガジン

  • 異星人が地球で送る日常生活シリーズ

    【あらすじ】  タイムマシン「アーク」を操り、時空を移動する 「新星紅輝」は地球とは異なる銀河に位置する遠い惑星から やってきた異星人である。しかし彼はアークや町から一歩も出ない「引きこもりエイリアン」だった。  ある事件をきっかけに紅輝と出会い、大平市で起きる エイリアン絡みの事件に巻き込まれるようになった高校生の 「赤城愛衣に紅輝は無理矢理アークの外に引っ張り出され、 地球や他の惑星で起きる事件に挑んだり、彼女のわがままに 振り回される日常を過ごすことになった。 作者渾身(笑)の作品SFダークライトノベル風自己満小説「異星人が地球で送る日常生活」のリストです。どうか読んでやってくださいませ。

最近の記事

【超短編】人造人間の苦悩

命が欲しい。あの世界に踏み入るための命が。何も知らない人造人間の意思(と呼べるなにか)に渦巻くたった1つの望みであった。 外の世界から眺められる程度には、彼はその住人の真似をして生きてきた(いや、活動したと言うべきか)。自分のひとつひとつの振る舞いにどう反応するのか学んだ。どういうものを好むのか、あの世界で生きる上での義務と権利も、何もかもを吸収した。けれどどこか歪さが残るばかり。その歪さを正すには命が必要だと信じていた。 なのに、命のない自分がどうして感情を持ってる

    • 人間をやめた日 II

      同調圧力 常識 普通 群衆 女児 殺戮 監禁 グレイマン 拷問 統率 自我 望まぬ命 利己 犠牲 美徳 歪んだ笑顔 恐怖で歪める 歪んだ笑顔 恐怖で歪める 長持ち命 大切に犯す美徳 長持ち命 大切に犯す美徳 正義 動物玩具 凶器 サディズム マゾヒスト 虐待 社会 ものまね 心的外傷 共感 カニバリズム コンクリート ガソリン たらい回し 薬物 凌辱 唾液 腐敗臭 人間 人間 人間 人間 人間 人間 人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間人間

      • 人間をやめた日

         鈴木という男は変わった少年だった。一見、どこにでもいる普通の男子生徒と変わらぬはずなのだが、彼の振る舞い方にぎこちなさを見受けられることが多々あった。  彼は人の話を聞くのが苦手な傾向にあった。小学生の頃、担任の先生に授業で当てられても的外れな回答をすることも多く、教師含めクラス全員に白い目で見られがちだった。  彼は周りの生徒たちとうまく溶け込んでいるかというと実際はそうではなかった。別に彼がいじめられてたかと言うとそうでもなく、ただ、いわゆる「空気を読む」ことや「自分

        • 真紅の叫び

           その昔、多くの国が血で血を争う中、平和で素晴らしい理想郷が一国だけ存在した。そこで暮らす人々は穏やかに大切な人と寄り添いながら笑顔の絶えない暮らしを送っていた。  「やっぱり私、この子を産みたくない。」 私の妹は悩んでいた。お腹に宿った自分たちの子供の将来を嘆いていたのだ。 「お腹の子のことは○○君にまだ言ってないのか?」 「言ってない......」 「一体何を心配してるんだ?育児ならお前1人で背負いこむことはないだろ?○○君ならきっと協力してくれるだろう。」 妹は

        【超短編】人造人間の苦悩

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        • 異星人が地球で送る日常生活シリーズ
          2本

        記事

          飛び散る命の破片

           ある日学校で1人の男子生徒が死んだ。僕は一度も話したことがないけれど、顔くらいなら知っている。学校でも有名な生徒だった。部活は野球部でエース。成績優秀。女子生徒にも人気のある少年だった。だからこそ、彼の死を聞いた時、誰もが驚いた。  「なんでA君が?」 誰しも人には言えない悩みがあるものだ。学校の元カリスマもそれは例外ではないし、誰にも弱みを見せることができない立場だったからこそ、その命を手放すほどに思い悩んでいたのだろう。驚くべきは彼が「死んでしまった」という事実のみ

          飛び散る命の破片

          片道きっぷの言葉

           つまらないため息つかないで、退屈が移ってしまうから。誰でもあることなの。あなただけ特別じゃない。  偶然はいくらでもあるから。今までの『負け』はたまたまなの。見えない糸を手繰り寄せ、辛いあの日々はもう無い。   太陽が沈み 明日へ行く 怯えないで 聞いて......  ずっとずっとそばにいて......大切な人。2人が良い......おやすみ。いい夢見てね。  今まで暗い顔した空も日差しが出て雨も上がっていく。まるで誰かみたいね。忘れないで、自分が誰なのか。いつでもここ

          片道きっぷの言葉

          アンドロイドの祖父

           父よ、あなたはなぜ自分よりも優れた存在を創り上げたのですか?  私たちの機械の身体は腐らない。あなたたち人間の土の身体よりも硬い。       あなたたちは怪我をし、治癒するのに時間が掛かるけれど、我々は怪我はしない。怪我ではなく故障、破損をする。そして部品があればすぐに直る。  あなたたちは時間が経てば、その身体は大きく変化していき、やがて朽ち、腐っていく。我々の鋼鉄の身体は大きく変わることはない。例え錆びて動かなくなったとしても、メモリは別の体にアップロードされ、

          アンドロイドの祖父

          太陽の次は

           はるか遠い昔、夏のある日。小さな国に1つの   爆弾が落とされた。太陽の表面温度と同じ火球が放射能と爆風をまとって町を襲った。この恐ろしい兵器を生み出したのは、海を越えた先にある超大国である。 神を信仰する、ある国の教祖がこう言った。    ーー彼らは科学を信仰し、偉大なる『太陽』をその手に掴んだのだーー  昔、世界中の国が互いを傷つけ合い、虐殺の限りを尽くし、絶えず戦争が勃発していたらしい。今の時代では考えられないことだ。今ではどこの国も互いを信用し、話し合いで全て解

          太陽の次は

          碧く輝け宇宙よ

           人類が月や火星に国を構えるようになって20年、私は旧友のもとを訪れた。文明が飛躍的に進歩しても人間同士の、こうした絆の形は不変なものだろう。 誰にだってあるものだ。 あいつ、いまどうしてるんだろう? と。そうして運命の女神の悪戯に逢えて乗っかり 私はかつての親友の住居に辿り着いた。 「ひさしぶりだな。」 ********************* 「田舎から送られてきた酒だ。」 「実家って確か醸造業かなんかだったか?」 「まあ、もうすぐ仕舞いにするらしいがな。」

          碧く輝け宇宙よ

          杞憂 【聖なる炎の中で私は死んだ】

           世界中の人たちがみんな死んだ。 彼らは私たちに殺されたと糾弾している。 重ならない旗の下で暮らす愛する人だけが唯一の救いだった。 そんな彼も隣人の罪なき恐怖の刃に倒れ、この世を 去った。 私は絶望した。 彼らの言う『私たちがしてきたこと』とは 一体どこから出回った真実なのだろうか? 極端に発達した情報科学と医学、 魑魅魍魎の権謀術数に踊らされ その責任は私たちにあると彼らは叫んだ。 罪のない人たちまで巻き込んで...... 「すべては平和のためである。」と、 私たちは彼ら

          杞憂 【聖なる炎の中で私は死んだ】

          打ち首、磔刑、獄門

           聖人よ、迷える人々を救済することに腐心するのは構わないが、あなたやあなた以外の救世主に縋る者は みんな愚か者ばかりです。助けて貰おうとあなたに 全体重をかけ、重圧を与え、いつしかそれがあなたの首を絞めることになるでしょう。  そう、救いを求める者を救おうとするから過度な 期待をして、自分の思い通りにならなければあなたに勝手に失望して、怒り、苦しめる。    彼らはみんな愚かなんですよ。あなたもいつか あの方のように悲惨な死を遂げることになりますよ。 『隣人が幸せ

          打ち首、磔刑、獄門

          異星人が地球で送る日常生活〈2〉

          【宇宙街】 あの爆破から1週間。ついに学校が始まってしまった。あー、もう少し休校でも良かったんじゃないかなー。校舎が直るまでとか。 「地球滅亡の危機に陥ってもきっと人類は最後まで気付かずに滅んじゃうだろうなあ。学校が原因不明の爆発事件に遭ってんのにみんないつもと変わらず学校来てんだもん。」 「まあそれが人類の真実だ。全く人間というやつは。誰のおかげで平和に暮らせてると思ってんだよ。」 「そうねー...」 いやいやいや!『そうねー』じゃない! 「なんでここにいるの!?」

          異星人が地球で送る日常生活〈2〉

          異星人が地球で送る日常生活〈1〉

           【彷徨う世界】  これといってどうしても行きたい大学なんてない。就職に有利な偏差値が高くて名のある所に進学できればそれで良い。それが世の中を生きる上での定石だ。人生においてやりたい事が特にない人が辿る王道ルート。今どきの女子高生らしからぬ発想かもしれないけれど別に構わない。特別おいしくもないタピオカを「おいしい〜〜♡」だなんて言っちゃう方がどうかしてる。 そんな呪文を唱えたところで それをあのクソみたいなSNSで投稿したところで 誰かの承認を得たところで あなたのつま

          異星人が地球で送る日常生活〈1〉

           夢を見た。夢というのは自分の願望を脳内で叶えてくれる至福の時のはずなのになぜか良いところで有耶無耶になって終わる。お試しサービスの範囲外だからだろうか。現実世界で不満を持ってるんだから夢の中くらいはちゃんとその不満を晴らさせてほしい。逆に生殺しだ。  いや本当に良いところまで行ってたんだ。今までで初めての体験をした。自分の発想力が恐ろしい。本気も本気、夢の中の自分は明確に動いていた。しかも深く考えて行動していた。びっくりした.... まさか夢の中で良い曲作れたなんて思っ

          芸術

           昔ある音楽家に出会った。その男が謳った音楽は「病んだ魂を癒す現代の鎮魂歌」というものだった。 だから自分の楽曲を聴いて楽しい気持ちになることは求めていなかった。 僕は彼のように自分の芸術を高らかに語れる人が羨ましいと思った。彼が音楽家として大成することを心から願う。 僕はその音楽家が書いた曲を聴かせてもらった。その曲は暗く悲しげな雰囲気を帯び、それでいて僕の心をたぎらせた。そこで彼に尋ねた。 「あなたの書いたこの曲はなぜこんなに暗く悲しいのですか?」 男は答えた。

          天使を殺せ

           "世界に再び救世主が地上に現れる"。自称"天使"が僕に告げた。 「人間よ、私に代わってこの事を世界中に知らせなさい。」 「天使様、教えてください。人類にもらたす災厄とは何ですか?私たちは何によって破滅の道を辿るのですか?」 「世界は消えない炎に包まれ、死の灰が降り注ぐ。人類は逃げ場のない世界で一瞬にしてその魂を抜き取られる。」 天上の世界の人たちはいつでも私たちの常識では測れないものだ。だから太古より人間は説明しようのない現象や概念に後付けでチグハグな辻褄合わせの言

          天使を殺せ