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倉野 佳典(いちごオヤジ)/伊勢苺園

法人名/農園名:伊勢苺園(伊勢ストロベリーランド)
農園所在地:三重県伊勢市
就農年数:11年
生産品目:イチゴ類(「かおり野」や「よつぼし」など三重県農業研究所が開発したオリジナル品種)
HP:https://ise15.jp/

no.24

自然災害に廃業も考えた。けれど、人生はイチゴで輝いている

■プロフィール

 奈良大学文学部を卒業後、地元に戻ってコピー機の販売会社に営業職として入社。奨学金返済のために、健康食品や教材などのセールスマンとして転職を重ねたのち、休職。

 誰からも喜ばれるイチゴの栽培に関心を持ち、地元の農家で半年間の研修を経て、2011年新規就農。

 以来、引退する農家から3度にわたってハウスを借り受け、生産規模を拡大するも、2013年、2014年と100年に1度クラスの竜巻と記録的大雪に見舞われ、借りていたハウスが損壊する。

 両親から土地を借りてハウスを再建するも、2018年に再び台風被害に遭う。そんな矢先、日本有機農業普及協会が主催する「オーガニック・エコ・フェスタ2019イチゴ部門」で糖度の高さやビタミンCなど抗酸化力が評価されて最優秀賞を受賞。同年、これまでに借りていた全てのハウスを返却し、ハウスと事務所兼作業所を建設、直売所の自動販売機が話題に…。

■農業を職業にした理由

 トップセールスマンを目指してしのぎを削っていた20代は、自信を持って勧められない商品でもセールストークしなければならないことに後ろめたさを感じていた。

 一方で、地元の名産品であるイチゴは、誰からも喜ばれるため、農家なら自分に正直でいられると考えて、就農への意欲が高まった。

 研修先の師匠が「就農するなら早い方がいい」と勧めてくれたこともあり、引退した農家からハウスを借り受けてスタート。借入金ゼロで、順調に生産規模の拡大を続けていた矢先に、相次ぐ自然災害で一度は廃業を考えたこともあった。

 しかし、周辺農家の説得や応援を受けて、それまで就農に反対していた両親が認めてくれたことも励みとなり、ハウスの再建に漕ぎつく。何をやってもうまくいかないと悲観していた人生が、イチゴと出会って好転したことに常に感謝しているという。

■農業の魅力とは

 就農してすぐに借金無しでハウスを借りられるなど、順調な滑り出しでしたが、度重なる自然災害に遭って「何をやってもうまくいかない」と廃業を考えたこともありました。

 ですが、やはり自然と向き合えるのが農業の魅力だと思います。また、農産物を見た目や味といった主観的なものではなく、科学的分析によって栄養価を数値化して、客観的に審査されたことも大きな自信に結びつきました。

 地元のお客さんや母校の小学校の給食に提供して、食べた皆さんから感謝の声を聞くのが支えになっています。私のイチゴは地域の人たちの日常を彩る食べものとして、贈答用だけではなく、さまざまなケーキ店や飲食店でも使われています。

 私の人生はイチゴによって生かされています。イチゴ園という場所を通じて、支えてくれた皆さんに恩返ししていきたいのです。

■今後の展望

 2022年春にも新しいハウスを建設しましたが、自然災害に備えて、柱の太い堅牢な構造を目指しました。

 栽培規模が拡大し、安定した収量を供給できるようになった今、さらに品質の向上に努めています。

 伊勢市小俣町元町は小さいながらもイチゴの名産地。将来はハウスがある一角を「いちごの王国」として地域活性化に貢献したいと思っています。

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