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川村 雄祐(ユースケ)/たわらファーム

法人名/農園名:たわらファーム
農園所在地:岐阜県関市
就農年数:3年
生産品目:トマト(大玉種「りんか」「パルト」)、(中玉種「フルティカ」、(ミニトマト「アイコ」)
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCTLqEaiYY5_Z4a3wXha0kGA

no156

登録者数5万人!YouTubeを通して農業の魅力を伝える

■プロフィール

 祖父母はきゅうりがメインの野菜農家だったが、両親はサラリーマンの家庭で育つ。商業高校を経て、愛知県の中京大学で経営学を学んだのち、将来、農業を継いだ時に役立つ技術を身につけるために一般企業への就職を目指すも、希望部署への配属が叶わず、内定を辞退して就農を志す。

 祖父から学んだ土耕栽培では、長期にわたって安定した農業経営を続けることは難しいと考えて、祖父からのすすめもあって、岐阜県安八郡神戸町のトマト実証農場で、ポットを使った養液栽培の技術を学ぶ。

 3カ月の研修が終了した2019年、JAの新規就農支援を受けて環境制御技術を取り入れたビニールハウスを新設し、22歳で独立。

 2020年からは「たわらファーム」の名前で、さまざまな野菜の育て方を伝えるYouTubeチャンネルを開設。家庭菜園や就農したばかりの若者から支持を得て、約5万人が登録する人気チャンネルに成長。

 動画を通じて、農業の魅力と地元産の野菜の美味しさを発信してきた功績が認められて、2022年10月には、JAめぐみのから「農業の応援団特別団員」として認定される。

■農業を職業にした理由

 野菜農家である祖父母を手伝いながら育ったので、大学生の頃から「いつかは農業を継ぐだろう」と思っていた。将来を見据えて、ホームページや、ネット販売のシステムを構築する技術を身につけようと、IT企業への就職が決まっていたが、希望の部署に配属されないことがわかって内定を辞退。

 「いつか農業をするつもりなら、若いうちから始めたほうがいい」と切り替えて、大学卒業と同時に就農を志す。当初は、祖父のようにトマトの土耕栽培を目指していたが、土耕栽培は土づくりや病害虫対策など作業負担が大きく、長年培った技術や勘も必要なことから、持続的に安定した農業経営を続けるため、ポットを使った養液栽培に着目するように…。

 農業用資材などを扱う「揖斐川(いびかわ)工業」の実証農場で技術研修を受けたのち、JAの新規就農支援を受けて、22歳で独立就農。1年目は3,800株のトマトの栽培と収穫を毎日、日付が変わるまで孤軍奮闘していたが、2年目からはアルバイトを雇用。

 この年に、黄化葉巻病が発生したことがきっかけで、同じような悩みを持っている家庭菜園や新規就農者向けに、畑から動画で栽培方法を伝えるYouTubeチャンネルを開設。多い月で20本の動画を投稿し、なかには再生回数88万回を記録するなど、農業界きっての人気ユーチューバーだ。

■農業の魅力とは

 一般的に「農業は儲からない」とか「肉体労働」「補助金ありき」というマイナスイメージを持たれていますが、生産規模を拡大することで、収益性を高め、安定した経営を長く続けることが可能だと思います。

 そのため、リスクを厭うのではなく、初期投資として就農時にJAから4,000万円を借り入れて、ハウスを新設しました。温度や水やり、暖房などの環境制御も可能です。

 祖父からは「一番大変な時期を乗り越えるためにお前1人でやってみろ」と励まされ、就農1年目は3,800株の栽培と収穫を自分1人でこなしましたが、かなりしんどかった。せっかく新規就農しても、なかなか収益化できず、離農していく若者がいるのも、ここにひとつの理由があるかもしれません。

 1人で背負う農業はツラいけれど、仲間が増えて安定した生産体制を築けることができれば、楽しくやれるようになると思って、YouTubeを始めました。というのも2年目で黄化葉巻病が発生した時、ネットで対策を検索しても、当たり前のことしか紹介されていなかったので、有益な情報を伝えたいと思ったからです。

 メインチャンネルでは、新しく農業を始めた人や家庭菜園向けの栽培方法を教えていますが、サブチャンネルでは自由に楽しくリアルな農家の生活を伝えています。

 動画を通じて、農業が楽しい仕事だということを、若い世代に伝えられたら…、そして農業に関わりたいと思う若者が少しでも増えてくれたらと思っています。

 2022年にはYouTubeの収益で1人を雇用できるようになりました。将来的には、20代から30代にかけての若者を7〜8人雇用して一緒に農業できる環境を作りたいと思っています。

■今後の展望

 1年目は市場出荷がメインでしたが、2年目からは直売所やスーパーで直販しております。メインは、独立ポット耕に向いている「りんか409」や「パルト」という大玉品種ですが、中玉のフルティカやミニトマトのアイコもラインナップに加えて好評です。

 独立ポット耕の栽培マニュアルは確立していますが、養液濃度や灌水量などは、自分なりに工夫して糖度を高める努力を続けています。特に、「パルト」は糖度が高くて、食味も良いので人気なのですが、デリケートで温度管理も難しいため、今後は秀品率を上げることが課題になっています。

 また収量が増える4〜6月に売れ残りを出さないためにも、もっと販路を拡大したいし、値段の付け方や見栄えの良い袋詰めの方法など、工夫することはたくさんあります。今後、生産規模を拡大したら、露地で作っている玉ねぎなどをネット販売することも考えています。

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