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里山を歩く。友人と話す。そんな充実した1日~寺家ふるさと村~

せわしない毎日を過ごしていると、ふと自然に触れたくなるときがある。
川の音、鳥のさえずり、森林特有の澄んだ空気。オン・オフ問わず押し寄せる情報の波に飲まれかけた自分を引き戻してくれるような、そんな感覚が自然にはある。

数か月前まで住んでいた家から身近なエリアにも、そうした「自然」があった。関西に住んでいた時分には(今思えば偏見だが)「(東京, 横浜)=都会」などと考えていたが、想像以上の豊かな里山が広がる場所が実は複数個所存在する。

今回、久々にその地を訪れたくなり、友人と向かった。ただ里山を歩きながら友人と話していただけなのだが、非常に満足度が高い休日を過ごすことができた。定期的に自然に触れ、リフレッシュすることは、自分にとって本当に必要で、大事な時間なのだろう。

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今回の目的地は、「寺家ふるさと村」。横浜市青葉区を中心に位置する、生活する人と自然が共存した里山だ。東急田園都市線の市が尾駅、青葉台駅、あるいは小田急線の柿生駅からバスが出ており、気軽に訪問することができる。シェアサイクルのポートも設置されているため、ちょっとしたサイクリングもよい。

さて、バスを降り立つとまず驚くのが、豊かな田畑が広がる光景だ。車通りも少なく、ところどころにある野菜直売所が目に留まる。地方育ちの僕にとっては、どこか懐かしく、かつ落ち着く風景であり、一度深呼吸をしたくなる。出発するバスを写真に収めると、まるでここが横浜であることを忘れてしまうようだ。

その足で案内所のような役割を果たしている「四季の家」に向かうと、横浜市が指定する「市民の森」のひとつであるとの記載があった。他の市民の森にもぜひ足を運んでみたくなる。展示されている手作り感満載のガイド。地域の小中学生が生活科や探求学習の時間などで作成したと思われるが、わかりやすく記述されていたため理解が深まった。ありがとう作成者の方。

とはいえ、ここは「自然植物園」のような、完全に管理された「施設」というわけではない。この地域で暮らす方が当然におり、私有地の田畑も多いと聞く。地域の方の思いあっての「寺家ふるさと村」なのだろう。

ちなみに、「四季の家」のホームページに掲載されていた「寺家ふるさと村憲章」が非常に素敵であるため、こちらにも掲載しておく。

自然や農業は私たちにとって宝物だ。
遠い昔からこの土地には
すべての生命をいつくしみ
重んじていくことの素晴らしさが根付いている。
人も同じ生き物だから
思いやりとやさしい気持ちを忘れずにいたい。

寺家ふるさと村憲章

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さて、ここまででも十分に楽しかったのだが、ここからはいよいよ「ふるさとの森」へと入っていく…の前に、まずは「寺家熊野神社」へ。樹齢200年を超えるもみの木を見かけ、その樹齢に圧倒される。ここに無事来ることができたこと、そして、この後の散策が良い時間になることを祈念する。

パワーをいただいた後は、いよいよ森へ。丁寧に道が整備されており歩きやすい一方、周りを木々に囲まれた環境で奥へと進んでいくためか、幼少期の「探検隊」のような高揚感も覚える。途中途中に東屋もあり、少し疲れを感じたら一服も可能だ。どこからともなく鳥のさえずりも複数聞こえてくる。風が吹くと木々も揺れて音を成す。車の音も、巨大なスクリーンから流れる宣伝の音声も、ここには、ない。普段の生活では感じられないような「非日常」となっているのは寂しいけれど、体が徐々に、何かに戻っていくような感覚がある。「森林セラピーもできそうだね」なんて半分冗談で友人と話していたけれど、定期的に訪れることによって、あながち効果はありそうだ

歩いていると池に出た。なにやら見慣れぬ鳥が羽を休めている。そういえば、野鳥観察に来られる方も多いらしい。その瞬間にしか見られないものを見られたような気がして、正直、楽しい。僕らが池を半周する間、ずっと一か所にとまっていた。意外に辛抱強いな、なんて思う。

そんなこんなで山道を上がったり下がったり、ときには行き止まりで折り返したりする中で、あっという間に時間がたった。僕も友人も「めっちゃ楽しかった!」と言っているけれど、振り返ってみると里山を散策していただけ。これがこんなに充実感に溢れたものになるとは。もちろん人にもよるのだろうけれど、僕らはこの時間に魅力を感じているのだろうし、その友人は初めて来たのだがもうすっかり虜になり、「周りの好きそうな友だちに広めたい!」と言っている。

「新宿」「渋谷」「横浜駅」といった「都会」で友人とお茶するのも楽しい。けれど、ときにはこうした自然を楽しみながらおしゃべりするのも非常に楽しい。里山を歩く。友人と話す。ただそれだけの1日なのだが、僕にとっては非常に充実した1日だったし、引っ越して遠くなったとはいえ、また定期的に足を運びたいと思うのだ。

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