企業文化の作り方(2)〜しくみデザインのしくみ〜
前回の話はこちら。
アイデアの出し方にはセオリーがある。
特別な才能を持った天才ではない僕だからこそ身についた、誰にでも適用できるアイデアが枯渇しない思考方法があるのです。だから今まで、アイデアが出てこなくて困ったことはありません。
これを3つの思考方法としてまとめてみます。
1. 敷居を下げる
まずは一つ目は、敷居を下げること。
大抵のことは、難しいし大変だしつまんないしやりたくないんです。なんていうか、そう、面倒くさい。
面倒くさいのでなかなか始めないし、続かないわけですね。だから、いかに「とりあえずやってみる」へと行動を誘導するかが非常に重要になります。気づいたらやってた、という状態が理想的ですね。
たとえば、前回起業のきっかけとして紹介したKAGURAは、演奏するという非常に敷居の高い行為を、身体を動かすだけで良い感じの音楽を創りだせるというアプローチで敷居を下げたわけです。
他にも、これまでしくみデザインがつくってきたものは、「誰のどんな敷居を下げられるか」という視点が入っています。
しくみデザインが日本で最初に実用化した参加型のサイネージも「通りがかりの人がわざわざ広告なんて見たくない」という高い敷居を下げるために、「広告の前を通ったら自分が映っていて、動いたら風船が割れたりキラキラしたり音が鳴ったりしてなんか楽しい」という体験をつくりました。
アイデアを考えるときに「誰のどんな敷居を下げられるかな」と考えると突破口が見つかるかもしれません。
2. 垣根を越える
二つ目は、垣根を越えること。
言い方を変えると、異なる領域を組み合わせることです。イノベーションは専門家よりも異分野の人から生まれやすい、という話は聞いたことがあるかと思います。
本当に斬新な誰も思いつかないアイデアなんて世の中にはほとんど存在しません。大抵のアイデアはいろんなアイデアの組み合わせですからね。組み合わせることでアイデアが生まれるとしたら、できるだけ離れたジャンル同士を組み合わせたり、たくさんのジャンルを掛け合わせたりする方が良さそうです。
そもそも僕自身が、いろんな分野を組み合わせることでここまで生きてきました。デザインとプログラミングの組み合わせによってメディアアートを作り始めたわけですし。
Springin'のコラボコンテストも、実はプログラミングと関係なさそうな企業とのコラボの方がより盛り上がります。明太子とプログラミング、歴史とプログラミング、山とプログラミング。他のプログラミングコンテストが「役に立つもの」を募集する中では異色かもしれません。でも、募集期間が1ヶ月ちょっとと短いにもかかわらず800作品くらい集まったこともあるんですよ。
趣味や興味、立場や役割など、違いがあれば必ず垣根は生じます。
その垣根を上手に越えることで新しい価値が生まれるんだと考えると、世の中はアイデアの宝庫に見えてきませんか。
3. 楽しさを共有する
三つ目は、より多くの人に届けること。
どんなに素晴らしい作品をつくっても、誰にも届けられなければ作ってないのと一緒だと思っています。もちろん、こんな作品つくった凄いでしょ、って発信するのもありですが、限界がありますよね。
アイデアを出すときのコツとして、最初はより狭いターゲットに向けて考えるというのがあります。マーケティングではペルソナを想定するなんて言われたりしますよね。
たしかに、知り合いだったり自分自身だったり、サービスや作品を体験して欲しい相手を具体的に思い描く方が良いアイデアが生まれやすいのですが。実はそれだとちょっと足りないのです。
一旦、できるだけ狭いターゲットに向けたアイデアを考えた後で、今度はそのアイデアをより多くの人に届けるにはどうしたらよいかを考えることが大事なのです。
こんなの欲しいの自分だけだよ、というくらい狭めてからの、でもせっかくだから他の人が欲しがるポイントも入れるとしたら、という感じ。世界中には同じようなことを考えている人が絶対いるんです。
KAGURAも自分でも弾ける楽器が欲しくて作り始めましたが、せっかくなら誰でも好きな音セットが作れた方が良いよな、ってなりましたし、Springin'だってできあがった作品を他の人に届けたいのでマーケットを作ったわけです。
せっかくならより多くの人にワクワクした気持ちを共有したいですよね。
しくみデザインのしくみ
しくみデザインのミッションは、「しくみでみんなを笑顔にする」です。そのためには世界中みんなが笑顔になれるようなしくみを作り続ける必要があります。
そこで、アイデアの出し方のセオリーを元に行動指針として「しくみデザインのしくみ」をつくりました。
まず、大事なこと。
みんなを笑顔にするしくみをつくるには、自分たちが楽しくないといけませんね。仕事つまんねーな、こんなの誰が使うんだよ、って思いながらつくられたサービスが楽しいはずがありません。
だから、「世の中を楽しくするために、自分たちが楽しもう。」というサブタイトルをつけました。
そしてアイデア出しのセオリー3つ。
シキイを下げよう
それは、敷居を下げてできる人を増やしているか
「できない」を「できる」に変えられるかカキネを越えよう
それは、垣根を越えて違う領域に踏み込んでいるか
異なるジャンルを組み合わせて新しいことを生み出しているかワクワクを共有しよう
そのワクワクはみんなに共有したくなるか
他の人にシェアすることで新しい価値を生んでいるか
設立15年目にして、初めてこういうふうにちゃんと言葉にしました。
そして、社外に出したのはこのnoteが初めてです(笑)。
そうそう、先日の前田デザイン室との初ミーティング(残念ながら僕は参加できず…)で、前田さんが「はじめての zoom 打ち合わせで度肝を抜かれました。これまで経験したことがない明るく温かい空気感で。」って言ってくれててとても嬉しかった!!
このコラボ、超楽しみです!!