見出し画像

企業文化の作り方(1)〜基礎となる考え方を掘り起こす〜

きっかけはメディアアート

大学院生のときにつくったメディアアート作品がきっかけで「しくみデザイン」を設立しました。体の動きで音楽と映像を生成する「神楽-KaGuRa-」という作品です。

これ。2002年だって。20年前だ。

思いのほか作品の評判が良く、いくつか賞を獲ったりしたので、ノリと勢いで起業してしまいました。ビジネスプランも事業計画もなにも作らず、友達や後輩たちと一緒に。

その時僕は大学院博士課程を修了して大学の先生になったばかりで、他のメンバーはまだ学生でした。まあ完全に部活のノリですね。俊介さん面白そうなことやってますね!僕も手伝います!!みたいな感じで。

メンバーは、僕が自分よりも凄いと思った人に声をかけました。僕よりも絵が上手い人、デザインができる人、プログラミングができる人。僕にはできない、音楽が作れる人、お金の管理ができる人。

この時期に参加してくれたメンバーの多くが、今のしくみデザインの主要メンバーです。

そんなノリでできた会社が、17年続いているわけです。
そうすると、自然と暗黙の了解みたいなものができて、それが文化っぽくなっていきます。少人数で特に成長とか目指さず、受託中心だったときには別にそれで良かったんですよ。

でも2020年に自社サービスに全振りして上場や世界を目指そうと決めちゃったので、改めてしくみデザインってどんな会社なのかを明確にしていく必要がでてきました。

企業文化の基礎となる考え方

なぜ、メディアアート作品がきっかけなのにアーティストになるんじゃなくて会社にしたのか。実はこれがしくみデザインの文化の基礎になっているように思います。

アート作品は、希少性と知名度が価値に繋がります。一方でデジタル作品はコピーができることが利点でもあり、自己矛盾をはらんでいます。今でこそNFTとかありますが、なにせ20年前です。

だから、自分や会社を有名にして、作品が体験できるところを制限するのが成功パターンです。でもそれって、自分たちの価値は上がるかもしれないけど、人類にとってはどうなんだろうか、と考えたんですね。

人類にとって、より価値を上げるためにはアートじゃなくてツールにするべきなんじゃないか?!

たとえば、Adobe。
PhotoshopやIllustratorがあることで、世界中にどれだけ多くの素晴らしいグラフィック作品が生まれたことでしょうか。

たとえば、ボーカロイド。
ボカロPという職業(?)ができるくらい、音楽シーンに与えた影響は大きいですね。これによって新しく生まれた音楽やアーティストは数知れません。

僕の起業のきっかけとなった作品は、身体を動かすだけで誰でも演奏できるというインスタレーションでした。もともと僕自身の楽器が演奏できないコンプレックスを拗らせて、カメラの前で身体を動かすだけでリアルタイムに画像処理をして良い感じに音楽を作り出してくれるようなインスタレーションを作ったことが始まりです。世間からはメディアアートとして評価してもらいましたが、この、体の動きをリアルタイムに映像と音に変換するという「しくみ」は、もっといろんな人のいろんな願いを叶えられるツールになり得るのではないだろうか、と考えました。

ツールとして世の中に提供した方が、より多くの人を幸せにできる。
そして、ツールとは「しくみ」なんだ。
僕は、みんなが笑顔になれるような「しくみ」をつくりたいんだなぁというところに行きつきました。

人類にとっての価値を最大化したい。
その価値とは、人が笑顔になれることである。

そうして『みんなが笑顔になる「しくみ」をデザインする』という社是(当時はMVVとかいう言葉はなかったので)ができました。これが今のしくみデザインのミッションです。(『「しくみ」でみんなを笑顔にする』に言い回しをすこし変えています)

ていうか、会社名がそもそも一番やりたいことを表しちゃってる気もしますね。「しくみ」そのものをデザインするから、しくみデザイン。設立当時はベンチャーは英語名を付けるという風潮があったので、日本語でしかもひらがなを使った社名は非常に少なかったのですが、日本語好きだし名は体を表すしな、と思ってこの社名にしました。

余談ですが、しくみ(Shikumi)という言葉は、UmamiとかKawaiiとかみたいに英語になるんじゃないかと思っています。日本語の「しくみ」はとても便利な言葉で、文脈によっていろんな訳ができるんですよね。SystemとかMechanismとかStructureとかSchemeとか…でもどれでもない、もうちょっと全体を包括できる便利な言葉なんです。

設立当初は、しくみデザインが世界規模で有名になって、しくみってどういう意味なの?ってところから英語化したらいいなーなんて言っていました。

人類にとって価値が最大化するしくみを創り出す

そんなわけで、しくみデザインの企業文化の根底にあるのは
・人類にとっての価値(=笑顔)を最大化する
・そのために根本的な「しくみ」から考える
ということのようです。

じゃあ、そういう「しくみ」はどうやったら生み出せるのか。

実はこれ、セオリーがあるんです。言わば僕の基本的な思考法みたいなものですが。それをそのまま会社としての行動指針にすれば、ずっと楽しいしくみを創り続けられる会社になるはずです。

そこで次回は、アイデアが枯渇しない思考方法と、それを元に策定した「しくみデザインの行動指針(バリュー)」について書きたいと思います。

↓↓ 書きました ↓↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?