見出し画像

金魚

ゆらりゆらいだ裾の先
水面に溶けた月明かり
暗い部屋にこだまする
呼吸は泡と消えていく

貴方が迎えてくれたその日から
世界がくるりと回りだした
覗きこんでは微笑むその顔に
私のほうが癒されていた

一人の時間は嫌いなの 不安に押しつぶされそうになるから
二人の時間を愛してる 孤独じゃないと感じられるから

私を手放す日が来たら
可憐に泳いだこの水を一滴残らず飲み干して
別れの言葉は要らないから
この瞳閉じる瞬間を目を逸らさずに見送って

赤い身体は恋の証よ? 長い裾を翻し
貴方が愛しい、愛しい。と今日も儚き夢を見る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?