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パラレルキャリアは、あなたが世界に投げかけるメッセージそのもの

前回、私のパラレルキャリアをご紹介しました。今回はもう少しパラレルキャリアというもの自体を掘り下げてみます。
特に20〜30代のサラリーマン(もちろん公務員を含みます)の方は、このあたり押さえておくといいと思います。

※2,500字程度なので、7分くらいで読めると思います。

パラレルキャリアという言葉は、2018年の副業解禁の話題に象徴されるように、ここ数年で一般化してきました。個性が尊重される機運が高まる昨今、この言葉を意識したり、期待を寄せたり、する方も多いのではないでしょうか。

パラレルキャリア=第二の人生

この言葉は、マネジメントの父として知られるP・F ドラッカーが示した考えで、「本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと」という趣旨で示されています。金銭的な対価を主目的とする本業とは別に、スキルアップ・夢の実現・社貢献活動のためのオルタナティブな活動を展開することだと解釈できるでしょう。

書籍からの引用を紹介します。
「中年の危機」という、歴史上初めて人間の方が組織よりも長命になったことで生まれた問題を克服するために必要な「第二の人生を始める3つの方法のうちの1つ」として、パラレル・キャリアが挙げられています。

 第二の方法はパラレル・キャリア(第二の仕事)、すなわちもう一つの世界をもつことである。20年、25年続け、うまくいっている仕事はそのまま続ける。週に40時間、50時間を割く。あるいは、あえてパートタイムとなったり、コンサルタント的な契約社員となる。しかしもう一つの世界をパラレル・キャリアとしてもつ。多くの場合、非営利組織で働く。週10時間といったところである。
 たとえば、協会の運営を引き受ける。地元のガール・スカウトの会長を引き受ける。夫の暴力から逃れてきた女性のための保護施設を助ける。地元の図書館で、パートの司書として子供たちを担当する。同じく、地元で教育委員の委員になる。ー  P・F ドラッカー『明日を支配するもの』(1999、ダイヤモンド社)より


企業の短命化・人間の長寿命化

書籍が発行されたのが1999年ですが、その後も企業の短命化はさらに進行します。例えば、アメリカの代表的な株価指数である「S&P500」に掲載されている企業の平均寿命は、1958年の約61年→2012年には約18年と、半世紀の間に約43年も短命になっているという調査結果があります。

さらに、人間の平均寿命の長期化による影響も大きく受けます。100歳まで生きる人の割合は、100年前の1%に対して、21世紀生まれの世代は約50%にまで跳ね上がるともいわれています。65歳で引退して100歳まで生きる場合は35年あります。これは、引退後の余生というには長すぎるのではないでしょうか。必要な貯蓄額も当然高まりますし、年金で生活するに事足りるかも甚だ疑問です。

そんな企業寿命の短命化・人間の長寿命化によって、いよいよ終身雇用キャリアの一本足打法では人生を走り切れなくなり、サラリーマンにとってもキャリアチェンジが不可避的な時代に入っているというのは、もはや新常識になりつつあると思います。ドラッカーが危惧している「中年の危機」問題は、いまや全世代が向き合うべき問題に発展しているといえるでしょう。

本業と自分らしさの折り合いは焦らず

そう考えたとき、「メインのキャリアで活動し続けることが、その後のキャリアチェンジの強みになるのか。」という問いに向き合う必要性が如実になります。金銭的な対価としての仕事に加えて、あなたの強みを伸ばす、あるいは新たなチャレンジできるような機会を、メインキャリアに期待できるのかを見極めることが重要です。

しかし、自分らしさを伸ばすには、必ずしも金銭的対価の上に成り立つものばかりではありません。ライフステージやキャリアチェンジを乗り越えてもなお自分らしさを保つには、もう一つの世界を持つことがその一助になるように思えます。
そして、金銭的な対価を得ずとも"自分にとって重要なことだと思える何か"に取り組むことで、ご自身ならではの感性、価値観、知見、経験(つまりセンス・スキル)を得ることにつながります。

そして、もう一つの世界によって培われたセンス・スキルは、本業において徐々にシナジーを発揮しはじめるでしょう。
それはなぜか。深い問題意識は、普遍性があるからです。なかなか解にたどり着けないけど、生活や社会を豊かにするために必要な問いの存在は、自身の探究の大きな原動力となり、創造性を育みます。
結果として、本業における創意工夫のきっかけやヒントになり得ると思うのです。

パラレルキャリアはプロに揉まれろ

私のパラレルキャリアは、音楽家です。本業として音楽に向き合う方々と一緒に仕事をすることで、もう一方の世界が広がりました。結果として、私の個性が伸び、経験や実績を積み、知識を得る機会にも恵まれました。(わかりやすい恩恵としては、おかげで「知的財産管理技能検定3級」はスムーズにパスできました)
一連の出来事を通じて成長したことにより、公務員の仕事においてもパフォーマンスを高めることができ、より多くの場面や相手に対して貢献することができました。

明らかにパラレルキャリアでの経験が本業の質向上につながっているのですが、これは私オリジナルの経験と結果であることもまた事実です。

そんな中でも、一般化できそうな点を挙げるとすれば「プロフェッショナルの中で活動する」というポイントが思い当たります。
自分としての関わりがボランタリーなものであっても、一緒に活動する人々は本業でありプロフェッショナル、という環境に身を置くこと。その点にこだわりました。

その環境下で実績と経験を重ねることで、本業並みのセンス・スキルに近づくことができ、別のフィールドにおいても活かすことができるセンスが磨かれるのではないかと考えています。

こだわりを貢献力に変換すべし

誰かの役に立つためには、確かな貢献力が不可欠です。パラレルキャリアで培った技や知見を別の分野で応用することで、自分のこだわり(世界へのメッセージ)をより広い相手に投げかけることが可能になるのではないでしょうか。
そして、高められたパフォーマンスを貢献につなげることで、本業あるいは第2、第3の場面であなたが必要とされることにつながるかもしれません。

深い問題意識は、自身の原体験やこだわりから生まれるのではないでしょうか。その問題意識と仕事における成果を結びつけていくことで、世界へのメッセージを投げかけながらも誰かから必要とされる状態に近づいていけるのではないかと考えています。

それではごきげんよう。

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