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【BOOK#3】芥川賞受賞作

先日、読み終えた本の感想。
タイトルに惹かれて読んだ本
“おいしいごはんが食べられますように”


●概要
病弱で仕事は休みがちな芦川
仕事ができるしっかりした芦川の同僚押尾
仕事はそれなりにそつなく?こなす二谷

この小説はこの3人を巡り話が進む。

タイトルはほっこりした感じだが内容はそうでもない。

ただ、私はこの本が好きだ。

●この本が好きな理由

3人の主な登場人物が過去の私と、今の私と重なるからである。

仕事をそれなりにこなしている二谷は、できるなら食事に時間をかけたくないと思っている。

芦川は料理は上手だが、病弱で仕事に支障を来す。

新卒で働いていた頃
生きることに必死で、世の中に楽しみを見いだせなかったとき
二谷のように、仕事を遅くまでして休みの日は家で過ごす。
なんなら、お昼まで寝ていたい。
そんな生活だった。

いま、体調の波があり仕事は調整して
なるべく、具合の悪いときにはシフトをいれない工夫をしている。
労働の対価としての収入は減るけれど支出も減る。
ご飯も美味しく食べられるし
食材を無駄に使わないということができる。

一方、体調がよければ押尾のように、まぁまぁ頑張れる。

でも、だからこそ苦しくなる。
不平や不満が生まれる。
たまには、“今日は私も帰ります!”といいたい。
毎日同じ人じゃなくて、交代でも。


どっちがいいとか悪いとかではなく
どっちもいないと社会も会社もは回らない

●感想
もし、二谷にもっと生活を楽しむ余裕があったら何か変わったのか。
仕事を早退して、家でお菓子を作っていたらダメなのか?
そもそも、お菓子作りのために仕事を早退するのは“悪”なのか
仕事を真面目にやるのは悪なのか?
残業や仕事で食事をおろそかにするのは“悪”なのか?

どちらも、一方に片寄っていたら
そういう人ばかりでは困る!ってなるけれど
そういう人がいてもいいのではないか?

人間、唯一平等に与えられたもの。
それは、時間。
1日24時間。働くためにいきるのか
いきるために働くのか。

この本から、あらためて
“あなたにとって本当に大切なものはなんですか?”と問いかけられている気がした。




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