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にとり
2021年4月14日 00:02
この記事は前回の「Written in the stars」のあとがきです。また、こちらは、第6回文芸課題"ぶんげぇむ"参加の記事です。◆お題:「電信柱」「あだ名」「運命」「未来」「カラフル」◆執筆ルール: ・お題に沿った作品を作ってください。 ・小説/エッセイ/詩 などの形式・ジャンルは問いません。 ・5つのキーワードを作品に登場させてください。ただし、文字そのものを登場させる必
2021年4月3日 18:42
それは何度も出会ったはずの感情なのに、もう二度と出会う事のない感情のように錯覚してしまう。そんな抱きしめたくなるような愛おしい感情が、生きているこの瞬間の美しさを象徴していた。二月、夜の冷たい風は街を沈黙させた。僕は、白いランニングシューズの靴紐を結び、誰もいない世界を駆け抜けた。この電信柱からあの電信柱まで、三十メートル。自分の腕を、脚を大きく振り、内臓を自ら痛めつけるようにフル稼働
2021年3月6日 23:58
この記事は、前回のnoteで書いた「In the blink of an eye」という小説のあとがきになります。今回は「渡せなかった手紙」という題材。前回は、伝えたい言葉一つを軸にストーリーを捻り出したが、今回は先にストーリーが思いついていた。ジャンルは、「渡せなかった手紙」から連想するものは恋愛だと一番初めに思ったので、それに従う事にしてから、すぐにストーリーが思い付いた。1.
2021年3月4日 21:53
人々が桜の美しさに顔を見上げる頃、僕は憂鬱に押し潰されて横になっていた。憂鬱とはあまりにも対照的な外の陽気は、僕を強く、強く布団に押しつけた。高校は春休みに入り、授業はなかったが部活には精を出していた。それでも、部活の練習に行く時間以外はこうして横になる事が増えた。そういえば、部活でも上手くいかない事が多くなった。勉強の出来は元から悪かったが、今学期の成績表には目も当てられなかった。平凡だ
2021年2月19日 14:04
第17回坊っちゃん文学賞で落選したショートショートです。感想がありましたら、ぜひコメントください。私が育ったこの田舎町では十五年ほど前から都市計画によって商業地区に指定された一カ所を除き、隣家との間隔の離れた住宅や長閑な田園風景が広がっており、都会とは全く違った時間が流れているような町だった。僕たちのような子供たちの遊ぶ場所は、小学生の頃は大きな公園であったが、中学生になると商業地区の方に
2021年2月16日 12:23
この記事は、前回のnoteで書いた「You'll Never Walk Alone」という小説のあとがきになります。普段は、頭の中で妄想に耽っている事を文字に起こしたり、伝えたいメッセージを言うためにストーリーを捻り出したりして文章を書いている。今回は後者。自分自身がこの小説のように友人に救われて生きてきた。10代の頃のピュアな悩みは大体友達に解決してもらっていて、友達の家に泊まりにいった
2021年2月14日 12:14
冬の日。滅多に雪の降らないこの街にも、雪が似合った。僕は公園にいた。薄く地面に積もった雪を眺めながら歩いていると、少し前に一枚の羽根を見つけた。頭の中で渦巻いていた行き場のない焦燥感を消化するために、落ちているその平和の象徴にも縋りたい思いだった僕は、立ち止まって、少し離れたところから羽根を見つめていた。正面から走って来る子供が、それを拾おうとすると、「汚いから触っちゃダメよ」と母親が