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進化するまでレベル上げ

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日々の臨床振り返りとは別に、経験値をため地道にためる。ガイドラインやレビューを読んでまとめたりします。
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たまにはCPSでも読んでみる。「A Swell Diagnosis」。非炎症性の繰り返す腹水と腸管壁肥厚をみたら遺伝性血管性浮腫を考える。

たまにはCPSでも読んでみる。「A Swell Diagnosis」。非炎症性の繰り返す腹水と腸管壁肥厚をみたら遺伝性血管性浮腫を考える。

2024.1.4のNEJM CPS「A Swell Diagnosis」

リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcps2307935

生来健康な男性で、19歳からの繰り返す突然の腹痛、数時間で自然軽快するが頻回の救急受診となっていた症例。

 嘔吐はあるが発熱や下痢はなし。腹痛後数時間排便がないことに気づいた。

 腹部軟、中腹部に軽度の圧

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たまにはCPSでも読んでみる。「It’s All in the Timing」造血幹細胞移植後の酸素化低下の考え方。

たまにはCPSでも読んでみる。「It’s All in the Timing」造血幹細胞移植後の酸素化低下の考え方。

診療所で働いているので入院加療に関わることが少ないですが、たまにはそういうことも考えないといけないな~とNEJMのCPSをたまに読んで記録しておこうと思います。

今回はN Engl J Med 2023; 389:940-947から。

AMLで造血幹細胞移植後、2.5週たったところでの急激な酸素化低下で発症したPERDS(periengraftment respiratory distress

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熱性けいれん(熱性発作)ガイドライン2023の勉強まとめ

熱性けいれん(熱性発作)ガイドライン2023の勉強まとめ

CarenetTV「ガイドラインから学ぶ熱性けいれんの診療のポイント」
とても分かりやすく、特に自然終息性けいれん症候群(良性機会性けいれんと特発性てんかんは同じ病態と考えてよい。)でのコップ+水+揺れの説明が納得でした。

けいれんの分類の話小児のけいれんでは良性機会性けいれんがが圧倒的に多い

良性機会性けいれんと素因性てんかんの違いは誘因の有無だけで、基本的には「正常な脳におこる体質によるけ

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スタチン療法の副作用について

スタチン療法の副作用について

<スタチンの副作用の頻度について>
スタチンの副作用は主に筋障害、肝障害、新規糖尿病。
また頻度に関しては下図1)

MVS:major vascular events (myocardial infarction, stroke, coronary, revascularization procedure).

<スタチン起因性ミオパチーについて>2)スタチン起因性ミオパチーは、筋力低下と筋肉痛

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新人医療者向け「この点滴の速度だと、どれくらいで点滴が終わるの?」が分かるようになる記事

新人医療者向け「この点滴の速度だと、どれくらいで点滴が終わるの?」が分かるようになる記事

今回は新人医療者、特に初期研修医と新人看護師に向けて「点滴の速度」についてざっくりつかめる記事を書きたいと思います。

点滴速度については看護師国家試験でも問われますし、検索すれば多くの記事がヒットします。今回はさらに臨床で使いやすい形でinputしましょう。

輸液セットの種類輸液セットには主に2種類あります。いわゆる成人用と小児用です。

今回は話をシンプルにするために成人用で話を進めていきま

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高尿酸血症の基本知識まとめ

高尿酸血症のマネジメントについて、基本的な知識をざっくりとまとめてみました。

参考にしたのは、「ジェネラリストのための内科外来マニュアル」「Up to Date」になります

高尿酸血症の知識まとめ・高尿酸血症の診断は尿酸7.0mg/dl以上

・高尿酸血症の合併症は痛風、尿路結石、高尿酸血症による腎障害

・高尿酸血症は高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームと関連し、心血管イベントのリスクと

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虫垂炎を手術しない場合にどれくらい再発するの?Up to dateで調べてみました。

虫垂炎を手術しない場合にどれくらい再発するの?Up to dateで調べてみました。

救急外来にて虫垂炎の既往のある方が、嘔吐と心窩部痛で来られました。右下腹部を触診するとしっかりと圧痛を認めました。

虫垂炎はどうやら十年ほど前に、手術せず抗生剤で治療して”散らした”らしいと分かりました。

虫垂炎の初期の可能性がありAlvaradoスコアは7点でした。

ここで、虫垂炎になったことのある人は再発しやすいのか?と疑問に思い調べてみました。

調べた方法について今回の疑問はback

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頻脈でとりあえず研修医がやるべきこと

頻脈でとりあえず研修医がやるべきこと

今日の勉強内容頻脈ってよく救急外来や病棟で目にするけど、なんとなくずっと苦手意識があります。今回もwide QRSな頻脈で困ったので初級からおさらいしようと思い「救急蘇生法の指針2015」を開いて勉強してみました。wide QRSをメインにまとめていきます。

頻脈を見たときには何から始める?どんな主訴、徴候でもそうですが基本はABCとバイタルの確認からです。
頻脈の場合はそこからさらに不安定な頻

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アルコール離脱症候群への対応①。実は致死率5%と高いんです。

アルコール離脱症候群への対応①。実は致死率5%と高いんです。

飲酒歴を聞いて、大酒飲みだとわかったとき調べることオーダーすること、問題点が多くて研修医としては困ってしまいませんか?とくに、日常的に飲酒していた人が強制的な断酒状態となる入院で問題となるものといえばアルコール離脱症候群です。

今回は、アルコール離脱症候群の管理について勉強してみました。

参考にしたのは「ジェネラリストのための内科診断リファレンス」「ホスピタリストのための内科診療フローチャート

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