洞性頻脈_心電図

頻脈でとりあえず研修医がやるべきこと

今日の勉強内容

頻脈ってよく救急外来や病棟で目にするけど、なんとなくずっと苦手意識があります。今回もwide QRSな頻脈で困ったので初級からおさらいしようと思い「救急蘇生法の指針2015」を開いて勉強してみました。wide QRSをメインにまとめていきます。

頻脈を見たときには何から始める?

どんな主訴、徴候でもそうですが基本はABCとバイタルの確認からです。
頻脈の場合はそこからさらに不安定な頻脈かどうかを判断していきます。
不安定とはどういう状態かというと以下の図の症状・徴候のことを指します。

また不安定と判断した場合には同期電気ショックが第一選択になります。

波形の分析をしたり、数多くある抗不整脈薬を選ぶ必要はないのです。とにかく電気ショックの準備をしましょう。同期電気ショックで単相でも2相でも100Jで使うと覚えておきましょう。

頻脈の不安定とは

一つ注意点ですが、頻脈によって不安定なのか原病によって不安定なのかは考慮しなければいけません。基本的には脈拍>150以上でなければ不安定となる症状・徴候は頻脈の影響では出てきません。

安定と判断した後は?

安定な頻脈であれば、次にQRS幅に着目して、wide QRSかnarrow QRSかを判断して、頻脈の原因となる部位を同定しようとします。ちなみにwideとはQRS幅>3mm以上のことをいいます。今回はwideについて話を進めますね。

Wide QRS Tachycardia へはどう対応する?

wideの場合には上室性か心室性かを確定することはできません。
というのも上室性でwide QRSとなる場合に、WPW+PSVTの偽性VTやAf tachycardia+脚ブロックまたは変行電動が起こっている場合などがあるからです。

安定なwide QRS tachycardiaを見た場合には単形成か多形性かを鑑別します。多形性であればQT延長症候群からのTdPや、ブルがダ型心電図異常、電解質異常などを考えて対応しますが、今回は詳しくは触れません。

単形成VTでは何を想定して動く?

結論から言うと他の頻脈と確定するまでは単形成VTを想定して対応する必要があります。VTは安定していても急変して不安定VTとなり、心停止に陥る可能性が十分あり得るからです。つまり、いま安定していてもwideと判断した時点で緊張感をもって、循環器内科コンサルトと対応可能施設への搬送を視野に入れなければならないということです。

単形成VTに対して安定していれば使用を考慮する薬剤

ざっくりいうと、ATP製剤と抗不整脈薬です。

ATP製剤はPSVTなどの上室性頻拍由来の波形の可能性を考えて投与します。ATPを使用する際には心停止になる可能性もあるため除細動器を用意することと、不整脈が停止する際の心電図が診断的価値を持つため記録に残すために準備が必要になります。

抗不整脈薬については以下が「救急蘇生法の指針」に記載のあった内容を僕がまとめたものです。用法容量などは使用に際してご自身でご確認ください。

単形成VTで使える薬 [2]


今日のポイントまとめ

①頻脈は不安定かどうか判断するところが一歩目。頻脈が原因で不安定なら第一選択は波形に関わらず薬じゃなくて電気ショック。

②頻脈が原因で不安定になる場合には基本的に脈拍は150以上である。

③安定と判断した場合も、単形成なら他の頻脈に確定診断できないならVTとして急変することを考えて対応する。

④安定他形成VTに対して、薬剤投与を考慮するならATP製剤と抗不整脈薬があるが、基本的には循環器内科コンサルトしてから使用するか相談する。


以上、今日の勉強内容でした。今後も適宜更新していきます。明日もわからんことだらけでしょうが、皆さん頑張りましょう。



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