西紀貫之

実戦剣術会の末席、戦う小説家、西紀貫之です。パラダイム出版から『将軍様はお年頃』『最高…

西紀貫之

実戦剣術会の末席、戦う小説家、西紀貫之です。パラダイム出版から『将軍様はお年頃』『最高に都合のいいパイズリ上手のマリーさん』『暴淫荒野 白濁のビッチ姫』ノベライズ、他、乙女小説、青少年向け「苛憐魔姫たちの狂詩曲 -棘姫ととげ抜き小僧-」など発売中。

最近の記事

ペラ企画:みえないクラスメイト(仮)

このまえ、カクヨムコンにむけた新作を書くためにニセ梶原さんと企画プロットを持ち寄って執筆の展開を相談し合うボイスチャットをXitterで催した。 そのとき僕が持ち込んだのは、ペラ企画――プロット(構成)までいかない仕組みとキャラの配置と、何を楽しみにするのかを書いた、数枚ペラペラの簡単な書類。 そういえば人に見せる用のペラ企画をUPしたことはなかったなと思い、今回は載せてみようと思った。 ペラ企画『みえないクラスメイト(仮題)』 児童文庫向けに考えた、1話当たり3万文字

    • 大ブーメランな黒歴史振り返り:前編

      執筆に於ける黒歴史を振り返ってみようと思う。 くっコロ! 「○○みたいな話を書こう」と丸パクリ(小学校時代) 『ジーザス』『破邪の封印』のような話を書こうと思い、展開を丸パクリする。またキャラクター(の名前)だけパクってオリジナル展開を試みる(未完)。 書いてる途中で未完となる(中学校時代) 『YS』の二次創作の中編三本は完結させ発表もしたが、オリジナルの小説はけっきょく1作のみ仕上げ発表するも、あとの数作は書き切る力もなく、誰に見せることもなく暗黒へ。 オリジナル

      • 『颯の太刀(著:筑前助広)』感想

        颯の太刀 (角川文庫) https://amzn.to/4bQzp1q 筑前助広2nd単行本である。 腕っこきの青年が、襲われている姫を助けることから始まる胸の好くようなチャンバラ活劇である。 筑前助広作品といえば、痛烈な武士批判とそれ故に引き立つ武士という生き物の業である。序盤から腰の二刀を帯びることの覚悟を突きつけられ、果たして主人公がどう動くか。――という塩梅。 序章は主人公の挫折である。章題も『負け犬』である。辛辣なサブタイトルすぎて「いきなりマイナスから始まると

        • 去年一年の振り返り

          2023年3月26日、大動脈解離で心臓の血管が破れ裂け、手術中にいろんな臓器に影響が出たり、軽い脳梗塞やったりと。 再手術も含めICUで3週間意識もなく、目が覚めてから退院までの2週間くらい、だいたい譫妄状態で引き算足し算が出来ませんでした。 退院してからは、ひたすら歩行と筋トレの毎日。 食事は茶碗三分の一に、味噌汁半分、おかずがウインナー何本か。それでお腹いっぱい。というより、食べてるだけでヘトヘトになってしまい、ものを食べる体力を取り戻すのが大変でした。 あいかわら

        ペラ企画:みえないクラスメイト(仮)

          『まぼろし藤四郎』最終プロット公開(1)

          こちらの作品を書くにあたってまとめた最終プロットです。 このあと、各話各センテンスの詳細プロットにつなげていきます。 そちらは後日また、あらためて。

          『まぼろし藤四郎』最終プロット公開(1)

          アウトプット考

          プロットでガチガチに何やら書いても、小説本編の文字列ではない以上、『書くべき予定の羅列と、準じるメモ』でしかなく。 例えば脳内にある情景を文字にしたいと願う場合、文字にした瞬間に、それを読み認識した脳が違う情景を描くことがある。 書きながらどんどん物語が厚みを増していく、「ああこの言葉にはこんな言葉を返したい」「この展開はあの展開と対比したら面白い」とまあ、即興天丼なんかが行われる。 この『書き出す前の脳内状況』に対して『実際に出力する術』が反応し『文字列や文章という技』が

          アウトプット考

          2023年に楽しんだ作品など

          パーソン・オブ・インタレスト

          2023年に楽しんだ作品など

          中央公論『このマンガもすごい!』

          中央公論社の中央公論12月号、表題のコラムにて、とみ新蔵作品『剣術抄』がピックアップされている。川勝徳重先生によるコラムであり、時代劇画家の相次ぐ逝去に伴い、故・平田弘史御大の実弟であるとみ新蔵先生の作品が取り上げられることになったようだ。 『とみ新蔵はさりげない所作を細かく分節化する癖がある(コラム:談)』 袴の着付けなどの所作を細かく数コマにわたり描くだけではなく、戦闘描写にもこのようなこだわりを見せる。既存の作品にもこのような細かい所作描写や戦闘に於ける分割文節説明

          中央公論『このマンガもすごい!』

          自分のスタイルとは考

          こちら輝井先生の呟き2つをご覧頂きたい。 自分のスタイルってなんだろう 以前までの記事に於いては『作品の売り』を精髄まで精査するような話題で、切り口として術と技に絡めた見解を書いてきたわけですが、今回はあくまでも『作家としての自分の売り』になると思われます。 自分のスタイルというものを考えるにあたり、作品の内ではなく外から、自分自身に斬り込む必要性があるように思えます。 自分が得意と思っているもの≒読者が期待するもの たとえば「僕の得意なものはバトルメインの話です」と

          自分のスタイルとは考

          『TOPGUN MAVERICK』を観た!

          以下ネタバレを含む故、ご注意を。 されど「いや、この物語って予告観ただけで内容というか展開というか物語の中小着地点が明確すぎてネタバレもくそもないのでは?」と思うかもしれない。 まったくその通りなのだが、ともあれご注意を。 提供オープニングから100点 パラマウントの提供画面から流れる『Top Gun Anthem』――当MAVERICKでは『Main Titles (You've Been Called Back To Top Gun)』となっている――が流れ、払暁また

          『TOPGUN MAVERICK』を観た!

          自分に「おまえがいうな」という始末

          とある作家さんから「編集にダメ出しされたのだが、どこら辺が悪いか企画を相談したい」と連絡があり、都内某所にて3時間ほどお話をしておりました。 そのときに感じた自分でも陥っているのだろうという罠に気が付きましたので、備忘録としてここに書き記しておこうと思います。 ルールブックをつくりがち 話の企画を作るにおいて、ストーリーラインを作らずに、いわゆる世界観(世界設定)と仕組みを緻密に組み立て、話全体ではなく世界のバックボーンを組み上げていき、設定の枝葉を伸ばしていくタイプの企

          自分に「おまえがいうな」という始末

          商業に行って捨てたものの話

          西山閣下の記事が本日投下されましたが、みなさんはもうお読みになりましたか? 基本、公募投稿やコンペ、コンテストをメインにデビューを狙う方たちへのひとつの指針かもしれません。 興味がある方は是非、一読をば。 商業に手を出し、僕が捨てた(手放した)ものとか、心がけたこととか ネタレベルの思いつきや、呟き数個程度で物語り、書いた気になってしまう気持ち。 筆は折るたびにちょうどいい長さになっていく。 キャラクターは誰かに見せた瞬間から自他のものとなる。 物語も読まれた瞬間から自他

          商業に行って捨てたものの話

          他作品を企画プロットに逆変換練習考

           自作品はもとより、「うわこれ面白ぇ~!」ってなった作品を分析するときってありますよね。初見初読のときはやりませんが、僕は読み直したりするときによく完成作品を自分なりの企画プロットに分解して、どこがどう面白く響いたのかをぐりぐり確認することがあります。  これ実は無意識にやる手口でして、キャラクター一覧を手書きしながら読み進めたりしてることもあります。回収してない伏線とかも、けっこう浮き彫りに。でも面白いから参考にしちゃう。  そんな日々の呟きです。  僕がどのように頭の中

          他作品を企画プロットに逆変換練習考

          なぜ時代小説が苦手なのか考

           昔からなくならない時代小説だが、書くにも読むにも敷居が高いやら低いやら、何が原因なのかを突き詰めなきゃいけないな……と思案したという塩梅です。  いま現在、実は公募用に時代小説を書いているのですが(記事:プロットの書きよう考)、文壇の先達である筑前助広先生が、時代小説を読んで貰うためにいろんなことをしていたのを思い出し、ことさらに構えず、しかし術に則ったことを心がけてみようかなと思いました。 歴史・時代小説の何が苦手か  僕の中で、読む上でも書く上でも何が苦手かを書き出

          なぜ時代小説が苦手なのか考

          『筆力(≒文章力)』とはなんだろうか考

           とある話題の中、「筆力ってどうやったら上がるのだろう」というものが出ました。筆力って、皆さんどういうものだと思いますか? 僕はこの話題の中ではあまり意見を出さなかったのですが、他の方々の意見を伺う中で自分なりの『筆力』を見出しかけたので備忘録的に。 筆力は作家としての実力を現すラインなのだろうか  筆力という文言の中には『文章力』というものも含まれるのかもしれません。僕はこれを含むものとして、筆力とは何かを考えました。  見出しにもあるように、作家としての実力を現すライ

          『筆力(≒文章力)』とはなんだろうか考

          感情移入って在るや無しや考

           小説の内容を精査推敲構成する段階で、読者の感情移入を取り上げる部分があります。第三者と内容を打ち合わせする際、この感情移入がどんなものなのか共通意識(共通言語)を持っていないと混乱する元になります。  ある人は「感情移入はある」といい。  ある人は「感情移入はない」という。  じゃあこの感情移入ってなんなのか、というのを文章物語を組み上げる段階で意識することでどうなるのかな、というのを書きたいと思います。 ”感情移入”ってなんだろうか  感情移入は、主人公に対する思い入

          感情移入って在るや無しや考