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妹 の 恋 人 【30/30】

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濃密な性描写で文学界に激震!
ベストセラー「双子どんぶり」
作者が語るその意図とは?


これは文学か? ポルノか?
話題の小説「双子どんぶり」で鮮烈なデビューを飾り、文学界を騒然とさせた新人作家・江田島 卓氏に独占インタビュー。
濃密であけすけな性描写に込められた意図とは?

その過激な性描写で話題の作品


―― 非常に衝撃的……といいますか、描写の濃密さで話題になった「双子どんぶり」ですが、デビュー作がベストセラーとなった今のご心境は?

江田島 まだ実感が湧かないですね(笑)でもまあ、これはずっと僕が温めてきた物語です。それに、今の時代に必要な物語でもある。こういう形で大くの人に楽しんでもらえたのは作者として喜ばしい限りです。

―― もともと、この物語はどんなふうに生まれたのでしょうか?

江田島 あるところでアメリカで実際にあった、双子の兄弟の不思議な物語を読んだんです。生まれてすぐ、引き離されて育った双子の兄弟がいました……実話は男の兄弟です。それから二人は40年間、交流することもなく暮らしたんですが、再会したとき、二人には驚くべき共通点があった。好きなタバコやビールの銘柄、持病、職歴、飼っていた犬の名前、それに結婚した女性の名前まで同じだった……そんな不思議な話が、この物語の着想の元となりました。

―― なるほど。いわゆるシンクロニシティですね。しかし「双子どんぶり」に登場するのは姉妹で、女子高生になっている。

江田島 そうですね……双子のシンクロニシティに関しては他に実例がいくつもあり、そうした不思議な絆を持つ姉妹、というふうに発想を掘り下げていきました。そんな二人と、繊細すぎて社会と関わりを持てない青年が出会ったらどうなるだろう……そう思ってこの作品を書き始めたわけです。

―― この作品の主人公……『繊細すぎて社会と関わりを持てない青年』の“僕”は、先生ご自身がモデルという噂がありますが……

江田島 はは……まさか。たしかに「双子どんぶり」は私小説的な手法を用いて描いた作品ですので、そういう誤解をよく受けます。主人公の“僕”とこの僕には、通じる部分があります……が、作品はあくまで作品。主人公の“僕”とこの僕とではまるで違いますよ。

―― しかしそれにしても先生の作家デビューまで、10数年間の経歴はまったく不明で、さまざまな憶測を呼んでいますね。主人公の“僕”は『あまりに繊細過ぎたた』ため、中学3年生のときに学校をドロップアウトし、その後『まったく理解のないガサツ無神経な両親』との交流も絶ち、ほぼ部屋に籠って生活しています……これは近年話題に登ることも多い、いわゆる「引きこもり」……というか「子ども部屋おじさん」の典型でもある。こうした社会情勢に対する鋭い洞察も、この作品が話題になっている大きな理由のようですが……

江田島 (少しそわそわした様子で)まあ…………たしかに、近年は話題になっていますよね。この『失われた30年』にあって氷河期世代の若者たちは常に社会から疎外されてきました。いわゆるロスジェネ世代ですね……そうした若者の共感を僕の作品が集めた、というところが大きいのではないでしょうか。

―― ロスジェネ世代は……今だいたい40代中頃ですので『若者』というのには少し無理があるような……まあそれは置いておいて、本作のヒロインでありますところの女子高生の双子姉妹ですが……あの姉妹にモデルは?

江田島 (ハッと目を見開き)も、モデル? いやまさか……ははは……そんなわけないでしょう! まあ僕もリアリズムにはこだわって描写をしましたので、そういう誤解が生まれるのも仕方のないことかもしれませんが……あの姉妹は完全なフィクション。僕が作りだしたキャラクターですよ。

―― それが……ネット上ではあの姉妹が実在するのでは、という噂が絶えないようなんです。失礼ながら、江田島先生のデビューまでの経歴に関しても様々な憶測が飛び交っておりまして……

江田島 (神経質に貧乏ゆすりをしながら)まあ……ネットにはいろんな噂が飛び交いますからねえ……無責任というかなんというか……でも、あくまで噂ですよ……

―― この作品を大きく特徴づけているのは、主人公“僕”と女子高生で未成年であるところの、双子姉妹との濃密な性愛描写です。事実、あまりに濃厚すぎる、といいますか即物的すぎる性描写に関しては、一部から批判もありますね? たとえば『今時ではない』とか『読んでいて胸がむかついてくる』とか『必要以上に濡れ場が多すぎる』とか……

江田島 ま、まあ、どんな作品にも批判はつきものですよ……これはあくまで僕の作品、創作物ですから……かりにも「表現の自由」がこの国では保障されているわけですから……

――(無視して)ほぼレイプ同然の姉妹とのはじめてのセックスに始まり、目隠し、いわゆる大人のおもちゃ……ピンクロータを使ったプレイや、手首を後ろ手に拘束してのプレイ、目隠し、ローション、肛門への異物の挿入……それに姉妹二人と一緒に行う3Pプレイ、さらには姉妹へのレズ行為強制、姉妹の母親も含めた4Pプレイにいたるまで……実にバラエティに富んだセックス描写がふんだんに出てきますね。

江田島 ですから……それはあくまで僕の創作ですので……決して作品のなかではそうした行為を推奨しているつもりはなく……

――(また無視して)先ほどお話に出ました 主人公 “僕” の体験が江田島先生の実体験であるとして、ヒロインの双子も実在したのでは? という噂もネットには飛び交っています。そうなりますと江田島先生は30歳半ばで、未成年である二人の少女と不適切な関係を持ったことになります。それだけならまだしも、その母親とも関係を……

江田島 だ・か・ら……! それはあくまで僕の創作と言ってるじゃないですか! じゃ、なんですか? 東野圭吾は殺人犯ですか? イアン・フレミングは007だったて言うんですか?

―― 東野圭吾先生は殺人犯ではありませんが、イアン・フレミングは元英国諜報員ですね……あとグレアム・グリーンも、サマセット・モームも、あ、ジョン・ル・カレも……

江田島 英国作家、元スパイ多いな!! それはそれとして、「双子どんぶり」はあくまでフィクションであって……そんな、双子姉妹なんて実在しませんよ! 小説はあくまで虚構として楽しんでほしい、なぜなら……

―― ネットであふれる声を拾い上げて見ますと『江田島クソ犯罪者ゲロキモ』『30過ぎた引きこもりが女子高生とヤるとかマジ無理』『フィクションよね? フィクションじゃなかったら実刑確定レベル』『マジでキモオスの妄想であってほしい。これ実話なんてキモすぎる』『てか遡って江田島タイーホの線とかない?』『変態クソロリ作家氏ね』などなど多様な声があるようですが……

江田島 ど、どこが多様なんですか!!! ぜんぶ悪口じゃないですか! ……こ、これだから空想とフィクションの区別がつかない連中はイヤなんだ! 僕の作品のどこがワイセツだと言うんです? そもそもワイセツの定義とは何ですか? どこからどこまでがワイセツなんですか?? 女子高生とセックスするからワイセツですか? 

―― まあまあ江田島先生、落ち着いてください。

江田島 だ、だいたいネットでそんなことを書いているのはどうせみんな●●●●●●でしょう?! 連中がどれだけ作品を燃やしてきたか知らないんですか? いいですか? 『本を燃やす者はいずれ人を燃やすようになる』……ドイツの詩人・リルケの言葉です。彼らは私たちの表現の自由を奪い去ろうとしているんですよ!

―― それはリルケではなくてハイネの言葉ですね。あとリルケはオーストリアの詩人です。生きていた時代も一世紀ほど違いますね。

江田島 そんな細かいことはどうでもいいんですよ!! あなたも●●●の手先ですか? 創作者を●●●の理屈でつるし上げるのが、マスゴミのやり方ですか? だからこの国から自由な表現が奪われるんだ! 『私はあなたの意見には反対だが、それを主張する権利は命がけで守る』ヴォルテールの言葉です! そういう態度が●●●●の人たちには欠けているんじゃないですか?!

―― それはよく言われますが、実はヴォルテールの言葉ではないそうですですね。

江田島 ●●●●! あんた●●●●だろ! 表現の敵! 表現を燃やす自由の敵!!!! 不愉快だ! もう帰らせてもらいます!!!!

―― まあまあ江田島先生、どうか落ち着いて……あ、では最後に、次回作の構想についてお聞かせ願いますか?

江田島 …………………………難しい質問ですね………………軽いファンダンゴに乗せてスキップし回転したら、僕はめまいを覚えた………………でも読者たちはは『もっと! もっと!』と要求する………………

――ずいぶんと意味深ですね……その真意は?

江田島 ……………………………………僕にも………………さっぱりですよ。



「双子どんぶり」は佐●健・河●優実(二役)出演で映画化の話も持ち上がったが、江田島自身にまつわるスキャンダラスな噂の過熱の影響もあり、企画は立ち消えとなった。

 ……その後、江田島 卓の新刊は発行されていない。
 どの街のブックオフの100円コーナーでも「双子どんぶり」は必ず手に入る。


<了>


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