消えた変人
今週は1週間の振り返りは無しで、少し前の事を書いていこうと思う。
というのも今週はとにかくバイト&バイト&バイトの1週間で特に振り返る事も無いのである。
これは非常に良くない。
何とか中身の濃い1週間にしていきたいもんである。
というわけで今から書く話は先月の後半僕がコロナになっていた頃にあった、ちょっとした事件の話なのだが、なんやかんやで書きそびれていた話である。
前もって言っておくが、そんな大した話ではない。
だから書きそびれていたのだが。
まず話は僕がコロナにかかる数日前、2月の中旬に遡る。
2月17日の土曜日、バイトを終えた僕は家に帰って録画しておいた相棒の再放送を観ていた。
ここでもちょくちょく書いているのだが、数年前から僕は相棒に激ハマりしている。
シーズン22まできている何故このタイミングでハマるのかは自分でも分からないが、ここにきて相棒の面白さに気付いてしまったのだ。
なので過去回を主に再放送で見漁っているのである。
この日観た相棒はシーズン14。
相棒が反町隆史演じる冠城亘に変わったシーズンである。
冠城くんは7年間右京さんの相棒を務めるのだが、実は初期と後期では結構キャラが変わっている。
とにかく初期はめちゃくちゃチョケているのだ。
チョケるとは関西で使われる、ふざけるおどけるといった意味の言葉である。
初期の冠城くんはこのチョケるという表現がピッタリなのだ。
毎話必ず変顔ないし変声を披露しており、それが絶妙にストーリーから浮いていて、たまらない味わいを醸し出しているのである。
さらにシーズン19や20などの後期にはそのチョケっぷりがすっかりなりを潜め、右京さんの横でしかめっ面をしている人になっているのも余計に初期のチョケっぷりを面白くさせるのである。
だから僕は初期冠城くんのシーズンが再放送されるとそのチョケっぷりを観るのも楽しみの一つにしているのだ。
そしてそのチョケっぷりを共に面白がってる友人が1人いる。
このnoteにもよく出てくる僕のラグビー部時代からの友人であるめちゃくちゃ変な人、変人である。
変人は相棒を1から全話観ている、筋金入りの相棒マニアなのである。
そして元々反町隆史の大ファンでもあるので、この初期冠城くんの話は2人の間でよく話題になるのだ。
という事で僕はシーズン14の再放送を観たのだが、この回の冠城くんはそれはそれはチョケていた。
おそらくシーズン14中でも屈指のチョケ量ではないだろうか。
変顔、変声、米沢さんへのダル絡みを存分に繰り広げていた。
観ていて嬉しくなった僕はすぐに変人にラインを送った。
「今観ている再放送の冠城くん、凄まじいチョケっぷりでござる」
何故語尾にござるが付いているのか説明が必要なのだが、それを説明すると中々の時間がかかってしまう。
ただでさえ冠城くんの説明ですでに文字数を使ってしまっているのだ。
これだけツラツラ書いといてなんだが
今回の話に相棒は全く関係ないのだ。
ただこんなラインを変人に送りましたという一部分の説明だけにこんだけ書いてしまったのだ。
ここからさらにござるの説明をすると話が全く進まない。
なのでござるの説明は割愛させてもらうが、まあ言えるのは
24年間もつるんでいると2人にしか分からない変なノリの1つや2つ出来てしまうものなのである。
ござるはその最たるものと言えるだろう。
とにかく僕は変人にそんなラインを送り、その日は寝た。
翌日の日曜日。
その日はまあ酷い日だった。
1日中バイトだったのだが、変な元ヤンの客に絡まれ、あまりにもウザかった為こっちもブチ切れ、2人で怒鳴り合った結果「お兄さんも元ヤンでしょ」と謎のシンパシーを感じられ、清々しい空気になり、お互いを称え合って終わるという謎の90年代ヤンキー漫画みたいな展開になってしまった。
ちなみに僕は元ヤンでは全く無い。
私立育ちのボンボンである。
何でそんな奴が未だに芸人やってんねん。
そんな事があったからかバイトを終えた僕はクタクタになり、異常な体のダルさを覚えていた。
風邪だろうかと思いすぐに寝る事にしたのだが、寝る前にふと昨日変人に送ったラインを思い出した。
そういえば返ってきていないのである。
まあ普通に考えれば返さなければいけない内容ではないのだが、変人に関しては冠城関連のラインはほぼ間違いなく返ってくるのである。
うん?と思いながら僕は昨日送った冠城関連のラインを見てみた。
すると既読もついていないのである。
変人からラインが返ってこない事は多々あれど、1日経って既読がつかないのはなかなか珍しい事なのだ。
しかも冠城関連である。
「よっぽど忙しいんかな?」と思いながら、体がしんどかった僕はすぐに眠りについた。
そして眠りながら思った。
冠城関連って何やねん!!!
月曜日。
この日はバイトは休み。
用事だけ済ませ(この日も歯医者でゴタゴタあったが長くなるのでこれまた割愛)、やっぱり体がダルかっだ僕は部屋でゴロゴロしていた。
そして時折、変人のラインを見てみたのだが
やっぱり既読はつかないままである。
もうかれこれ2日経過している。
僕は次第に胸騒ぎがしてきた。
これ何かおかしくないか?
しょおもない内容とは言え、変人が2日既読をつけない事なんて今まであったか?
いや、ない。
変人は何はともあれ既読だけはつける。
そういう人である。
どれだけ変な事をしても既読だけはつける。
そういう人なのだ。
酷い咳が出るからって夜中通常の3倍の量の薬を飲み、気が付いたら家の外の道路を裸足で激走していた事もあるが、既読だけはつける。
そういう人、、、
いや、どんな人やねん!!!
用法用量ちゃんと守れや!!!
とにかくこれは何かおかしい。
そう思った僕は電話をかけてみた。
出ない。
なので僕はラインに
「そんねん!!!」
と送っておいた。
さすがに2通溜まり電話もかかってきていたら何かしらのリアクションはあるだろう。
僕はそう考えた。
ちなみにこの"そんねん"
説明すると長くなるのでこれまた割愛したいのだが、さすがに意味わからんすぎるので説明すると
昔ラグビー部のグループラインで何かの集まりについて話し合っていた時、変人のラインだけ謎にみんなに無視され
「何で無視そんねん!」と"す"と"そ"を変人が間違えて打ち、その結果返事が返ってこなかったり無視された時は「何で無視そんねん!」と送るのが恒例となり、変人と僕の間ではいつしか"無視"すら消え「そんねん!」と送るのがお決まりになったのだ。
そろそろお気付きの方もいるかもしれないが
40歳直前、24年間つるんでる独身のおっさん2人ともなると変な2人だけのノリが止まらないのである。
変なノリがミスチル状態なのだ。
客観的に見て、かなり奇妙なおっさん2人組が出来上がってしまっているのである。
分かってはいるのだが、もう今更どうする事も出来ないのである。
受け入れるしかないのだ。
※ミスチル状態=とどまる事を知らない
そんな変なおっさん2人の変なノリの極みである「そんねん!」
送ってみたのだが、その日も既読はつく事はなかった。
これはいよいよおかしい。
僕は本格的に胸騒ぎを覚え、体の異様なダルさを感じながら眠りについた。
火曜日。
起きてすぐ喉の異常な痛みを感じた僕は「あ、これは!?」と思い、病院に行った。
結果はコロナ。
最悪である。
日曜からの流れがめちゃくちゃ悪い。
そして変人の既読もつかない。
一体どうしたのか。
いよいよ本格的に心配になってきた。
何かあったんではないだろうか。
ここ3日間が最悪過ぎて、どうしてもよくない想像をしてしまう。
部屋でピヤーン(変人が飼ってる猫。本名はココちゃんだが変人はピヤーンと呼ぶ)と一緒に倒れているんじゃないだろうか。
もしそうならどうすればいいのだろうか。
何せ変人が住んでる場所は広島である。
今すぐどうこう出来ないのだ。
しかも僕は現在コロナである。
身動き取れないとはまさにこの事である。
まあ普通に考えれば2日以上出勤してなければ会社も気付くと思うが、何せそこは変人である。
新人時代、成績ランキングで栄光の逆V9を達成した男である。
「変人さん今日も来てませんねえ」「変人?ああ、いつもの事だろ」
こんな同僚のやりとりが容易に想像がつくのだ。
僕はコロナの熱の苦しさも相まって、どんどん最悪の想像をしてしまった。
ピヤーン(本名ココちゃん)と一緒に倒れているパターンもあるが、夜中走り出して事故に遭ってるパターンも考えられる。
また何かしらの犯罪をして捕まってる事もあるかもしれない。
僕は熱にうなされながら、よくない想像が再びミスチル状態になった。
これで本当に変人の身に最悪の事態が起きていた場合、僕はこれからどうすればいいのだろうか。
とりあえず人生が面白くなくなるのは間違いないだろう。
そしてピヤーン(本名ココちゃん)はどうすれば。
ちなみに飼ってる事を知っているのは何故だか未だに僕だけである。
という事はやはり僕が何とかせねばなるまい。
ワンルームのアパートなのでゴリゴリのペット禁止だが、もういってしまうしかないだろう。
下の住人には迷惑かけるが、下の人も1ヶ月に1回ぐらい夜中に謎の焼き物をしてこっちの部屋の中変な匂いにする事あるしお互い様である。
てか、あいついつも何焼いとんねん!!!
と、いつの間にかピヤーン(本名ココちゃん)を引き取る事を考えていたが、やっぱりまずは変人の安否を確認せねばと思い直した。
そして3通目のラインを送ってみた。
「やだあ〜!!!既読がつかないじゃない!!!」
もちろんこちらも説明すると、これは僕と変人が敬愛する稲川淳二の怪談の一節「やだあ〜!あそこに女の子いるじゃない!」が元ネタで、それがいつしか日常会話に使われる様になったのだ。
基本的に何か報告する際はこのスタイルである。
送ってからしばらくし、やはり既読がつかないので僕はさらに畳み掛けた。
「え?」
「え?」
「え?」
え?3連発。
これは何かというと、これまた稲川淳二の怪談によく出てくるくだりで
聴いてる側はみんな明らかに幽霊だって気付いてるのに、怪談の中の主人公だけ中々相手が幽霊だと気付かず、やたら「え?」と混乱する場面である。
こっちは「いや、それ幽霊やろ」と思ってるのにひたすら「え?」が続いて怪談が進まないのだ。
これがたまに稲川怪談では起こるのである。
というわけで合計4発ラインを送ってみた。
もうお気付きの方もいるかもしれないが
40歳直前、24年間つるんでる独身のおっさん2人ともなると
もはや普通の文体でラインを送る事がなくなってしまったのである。
何故こんな事になってしまったのか。
せめてこういう状態には彼女となりたかった。
てか、これがもし本当に変人の身に最悪の事態が起きていて、しかもそれが事件性ありとなったらどうなるんだろうか。
もちろん警察はラインも確認するだろう。
すると西村啓佑から
「今観ている再放送の冠城くん、凄まじいチョケっぷりでござる」
「そんねん!!!」
「やだあ〜!!!既読がつかないじゃない!!!」
「え?」
「え?」
「え?」
怪しい。
怪しすぎる。
もはやほとんど何を言ってるのか分からない暗号めいた文章。
確実に何か関係はしている。
間違いなく第一容疑者となるだろう。
もし右京さんがいれば目をつけられ凄い付きまとわれる事になりそうだ。
ていうか、改めて見てもござるキツイな。
由来は割愛するけども。
僕は第一容疑者にならないためにも安否確認を急いだ。
ラインがダメなら再び電話である。
しかし、やっぱり出ない。
時間が昼前だったのでもし無事でも仕事中なら出ないだろう。
じゃあどうすれば、、、
仕事中、、、
仕事中、、、
!!!
そうや!!!
僕は何故だか知っている変人の会社用携帯に電話をかける事にした。
こうする事によりもし無事なら緊急性を伝える事が出来るし、これで何の反応もないといよいよヤバいという事も分かる。
僕はすぐさま電話をかけた。
ワンコール。
ツーコル。
電話に出ない。
しばらくすると留守電に切り替わった。
僕は一旦電話を切ると、スマホを布団に放り投げ、はあ〜とため息をつき、最悪の事態を覚悟した。
と、その時である。
布団の上のスマホがヴヴっとバイブした。
パッと取ると
「変人」と出ている。
変人からラインが送られてきたのだ!!
僕は急いで内容を確認する。
するとラインにはこう書かれてあった。
「ラインアップデートされてなかった!」
僕は思った。
ラインアップデートされてないて何や!!!
お前iPhone1使ってんのか!!!
最近の自動でアップデートされるやろ!!!
ていうか、電話出ろや!!!
というわけで謎のライン未アップデートによりラインを見れてなかっただけという事が判明し、変人の無事が確認された。
ホッと一安心ではあったが
同時にこうも思った。
「変人、どんだけ他の人とラインしてないねん、、、」
後日、電話していると、変人がこんな話をしてきた。
僕から会社用携帯に電話がかかってきた際、何やと思い自分のスマホのラインを確認すると、アップデートされてない事に気付き、すぐアップデートすると僕からのラインが大量に来た。
それと同時に母からのラインも大量に来たそうだ。
「あんたどうしたんや!」「何で既読もつかんのや!」「無事なんか!」
どうやら
変人の母も僕と同じ心配をしていた様である。
これを踏まえ、変人はこう言っていた。
「NISSHANとおかんおったら、倒れても大丈夫やって分かったわ!」
僕はそれを聞き
「何言うてんねん、、、」と思いつつ
今回の事で新たに1つ発見した。
それは、、、
独身のおっさん2人、24年間つるみ続けると
いよいよ親族の域に突入するという事である。
遂にわけわからんとこまで来てしまった。
まさか相手のおかんと同じ行動してしまうとは。
もうここからはどうなっていくのか誰にも分からない。
未知の領域である。
おっさん2人の未来やいかに。
まあとにかく。
何事もなくて良かったでござる。
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