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バケモノおじいちゃん


毎日note更新72日目。

先日、NSCの同期であるコマンダンテの安田君(以下やっさん)と二郎系ラーメンを食べに行った。

これは僕が東京に来る前からやっさんと約束していて凄く楽しみにしていたイベントである。

僕は見た目通り二郎系ラーメンが大好きである。

そしてやっさんは東京に来てから二郎系ラーメンに目覚めたらしい。

やっさんが初めて二郎系ラーメンを食べたのはまだ彼が大阪にいた頃である。

やっさんの家のすぐ前に二郎系ラーメンの店ができ、その店は僕がよく行っている店の系列店だったのだ。

2人でその店に行く事になり僕はやっさんに二郎系ラーメンというものを案内した。

初めて体験する二郎系ラーメンというものにやっさんが困惑していたのをよく覚えている。

そんな彼が東京で二郎系ラーメンに開眼し今度は僕を案内してくれるのである。

成長して一人前になった弟子を見るかのようで僕は誇らしい気分になった。


駅に集合し少し歩き店に着いた。

なかなかの行列が出来ている。

しかしこれでも普段に比べればかなり少ない方らしい。

めちゃくちゃ期待が高まる。

先に食券を購入する。

マシのシステムは店によって色々あるが、この店は食券で購入するマシ、注文の時にコールするちょいマシ、という二段階のシステムだった。

2つとも頼めば結構なマシになる。

僕とやっさんは野菜とアブラのマシを食券で購入した。

しばらくして店員さんが麺の量を聞いてきた。

「普通で350gあってかなりの量になりますが大丈夫ですか?」

大丈夫に決まってるでしょ。

どんだけ二郎系に行ったと思っているんだい。

伊達に太っちゃいないよ?

僕は力強く「大丈夫です!」と答えた。

やっさんも「はい」と答えていた。

僕は心配になった。

やっさん大丈夫か?

この人食いきれるか?

やっさんは長身の細身である。

言うなればヒョロヒョロだ。

醸し出す雰囲気が「おじいちゃん」だとみんなに言われている。

そんなおじいちゃんがいくら好きになったとは言え、二郎系の基本量を食えるのか?

100gとかにしといた方がいいんじゃないか?

僕は二郎にハンデなしで挑もうとしているおじいちゃんに不安を覚えた。


席が空き僕達の順番が回ってきた。

一緒に高校野球部らしき3人と入店する。

いかにも食いそうな3人である。

席に座り結構すぐにラーメンが出来上がる。

僕達は食券のマシにプラスしてちょいマシも頼んだ。

ラーメンがやってくる。

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いい面構えだ。

それにしても結構な量である。

なによりアブラが茶碗に入ってやってきた。

左上に写っている茶碗である。

物凄いアブラ量である。

僕はちょっと自信がなくなってきた。

横のおじいちゃんを見ると満面の笑みを浮かべている。

こんな量大丈夫かなおじいちゃん、、、


まずはスープを飲んでみる。

うまい。

美味しいスープである。

野菜を食べてみる。

これまたうまい。

味が染みたクタクタになってる系の野菜だ。

いい感じである。

しかし。

しかしである。

どう考えてもアブラを頼みすぎた。

茶碗のアブラをぶっかけた結果、スープの上の方がほぼアブラになった。

凄い重い。

僕も太ってるとはいえおじさんである。

このアブラの量はかなりきつい。

そして僕は先月腸炎になって以来、あまり油っこい物を食べていなかった。

復帰戦がいきなり超ヘビー級の相手である。

僕は食べ始めてわりとすぐにペースが落ちてきた。

そういやおじいちゃん大丈夫かな?とチラッと横を見た。


!?


やっさんはすでに3分の2以上を食べていた。


何が起こっているのか分からなかった。

やっさんの場所だけ時空が歪んだかのようだった。

僕がまだ少ししか食べてないうちにやっさんは終盤戦に突入していたのである。

早すぎる。


ちなみに一緒に入店した野球部達もまだ半分以上余裕で残っている。

おじいちゃんが食べ盛りの高校野球部やデブをぶっちぎって食っているのだ。

奇跡の光景である。

僕は思った。


このおじいちゃんバケモノや、、、!!


僕が大苦戦しているアブラも

やっさんは茶碗のアブラに麺の方をつけてすすっている。

すき焼きの玉子のようにして食べているのだ。

あの重いアブラを玉子扱いしている。

僕は家の前に出来た二郎系に2人で初めて行った時の事を回想しながら思った。

「僕はとんでもない怪物を生み出してしまったのかもしれない、、、」


やっさんはすぐに食べ終わった。

僕はまだ半分ぐらい残っている。

爆速である。


もちろん野球部達もまだ全然食べ終わっていない。

ていうか先に入店していた他の客達もごぼう抜きしている。

圧倒的スピードスター。

細身なのに凄まじい吸引力。

まるでダイソンの掃除機である。

店員達も平静を装っているがラーメンを作る手が震えている。


「先出とくな!」

こう言い残しやっさんは店を出た。

残った僕は重いアブラに悪戦苦闘しながらさっきまで自分が考えていた事を反省していた。

俺は何を師匠ぶってたんや。

圧倒的に追い抜かされとるやないか。

一番ダサいタイプの師匠やで。

今となってはやっさんの麺の量心配してたのめっちゃ恥ずかしい。

俺こそ100gにしといた方がよかったんちゃうか。


僕は何とか食べきり、命からがら店を後にした。

店の外にはやっさんが涼しい顔で立っていた。

コマンダンテが東京に進出して3年。

やっさんはとんでもないバケモノへと変貌していた。


僕はあのスピードなら世界を狙えるんじゃないかとすら思っている。

それほどまでに彼は早い。

おそらく「彼氏に連れられてきたチャーシューを丼の側面に押しつけてチャーシューの油を切るタイプの女子」とかなら5周抜かしぐらい出来るんじゃないだろうか。

今まで二郎系で食べていてあんな早い人は見た事なかった。

"爆速バケモノおじいちゃん"

僕はこれから心の中で彼の事をこう呼ぶ。

あまり言い過ぎると彼のキャラの妨害になってしまうかもしれないからこれぐらいにしておこう。


数日後、僕達はまた別の二郎系ラーメンを食べに行く。

少しでもやっさんについていけるよう僕はコンディションを整えておかなければ。

まあ何にせよ次回の二郎系も楽しみである。









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