スクワットはお尻下げないと!危ない指導

パーソナルトレーニングでよくスクワットを深く沈み込む(お尻を下げる)ことができないと、トレーニング効果が低いと言われますが、

結構危険です。

スクワットとは、ざっくりいうとしゃがみ込む動作で、立ち上がりを何回も繰り返したり、おもりを持って行うことで下肢の筋肉のトレーニングになると言われています。

やってみるとわかりますが、お尻を深く沈み込むと、筋トレとしてはキツくなります。
なぜか、パーソナルトレーニングでは、お尻を深く沈み込むようにと指導するケースが多いようです。


https://retio-bodydesign.jp/columns/article/sukuwatto-dekinai

知り合いの30代の男性では、パーソナルトレーナーについて、このトレーニングをしていますが、股関節の前面の深いところが痛みが生じるようになってきたそうです。

また、時折、コリっという音(クリック音と呼ばれる)がするそうです。

トレーナーは、下肢の後面の筋肉が硬いから沈み込めないと考えているらしいです。

先に紹介したサイトでもそのようなことが書かれていますね。

話はそれますが、よく取り沙汰される下肢の後面の筋肉は、ハムストリングスです。
これは三つの筋肉の総称で、骨盤骨から下腿骨までついている長い筋肉です。
細かいことをいうと、スクワット時に、遠位(下腿骨付近)では短縮、近位(骨盤骨付近)では伸長するので、筋の長さは最大ではありません。
なので、「硬い」とは何を意味するかわかりませんが、制限因子ではありません。よく間違えています。

話を戻しますが、
股関節は、大腿骨と呼ばれる先の丸い骨を丼みたいに受けるようにして丸いくぼみが関節を形成しています。

ただし、その丸いくぼみは、大腿骨の先端の丸い部分(大腿骨頭と言います)を適度に包むようになっており、遊びがあります。

この遊びによって股関節を動かすことができるのです。
ただ、これでは関節が外れてしまうので、靭帯と呼ばれる線維で繋ぎ止めていたり、丼の縁の部分が関節唇と呼ばれ、骨ではない成分で延長されています。
これらの構造により関節が外れずに可動できるのです

ただし、自由に動かせるわけではなく、決まった範囲の角度しか取れませんよね。

これを可動域と言い、これ以上の角度で関節を曲げると、おかしなことが起こります。

この図のように、股関節を曲げる動作(太ももを上げる動作=屈曲)では、どんぶりの前方、上方の関節の縁が大腿骨に当たってしまいます。


股関節 協調と分散から考える

先の例では、スクワットをさせるために、無理にしゃがませた結果、関節唇損傷をきたしたと考えられます。

ここで最も注意しなくてはならないのは、関節の可動域は、人によってばらつきが多いのです。

一般的に女性>男性です。女性が体が柔らかいと言われる所以はこれかもしれません。ただし、臼蓋形成不全と言って、大腿骨頭とどんぶり(臼蓋と言います)の接触面が逆に小さすぎて障害が起こる場合もあります。この場合、接触面が小さいため、関節の可動域は大きくなると考えられます。

小児のデータです。

標準偏差結構あります。男女差もありますよね。

筋骨格系のキネシオロジー

また、複数の研究を比較した際の平均の股関節の屈曲の可動域は数十度もばらつきがあります


https://jssf.jp/medical/download/parlance1_2.pdf

つまり、人によってバラバラなのにその知識を持たないで、可動域が平均でないからそれを是正しようとする指導が行われていると思われます。

今流行りのパーソナルトレーナーの指導で、関節の可動域を確認しないまま、指導されるような場合は、その辺の基本的な知識がない可能性が高いです。

やめた方がいいかもしれません。