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[ 悪だくみの正体は ]:シロクマ文芸部(珈琲と)

↑↑コチラのお題に参加しました。
文字数が多いですが、のんびり読んで、のんびりした気分になっていただけたら幸せです😊♪


画像:Bing Image Creator


 [ 悪だくみの正体は ]

 珈琲とハッシュドポテト、この組み合わせはいつもおいしい〜。休日に街に出て、陽だまりのベンチでのんびりするのも、たまにはいいねぇ〜。
 今日は友だち、みんな予定が入っているから私ひとり。でも、なんか、それはそれで、のんびりできてる。

「はぁーっ、」

 これで先輩が隣に座ってくれてたら、イイんだけどなぁ〜

「あれ? みゆうじゃん」
「もーぅ、佐藤先輩は呼んでませんよー」

 ん? 私、今、何か失礼なことつぶやいた?
 目線の先には先輩は先輩でも、佐藤先輩。

「やっぱり、みゆうだ。陽だまりでのんびりしてる人がいるから、もしかして、と思ったけど、本当にみゆうなのな」

 ハハハ、と楽しそうに笑う佐藤先輩。

「エヘヘヘヘ」

 と、私も笑ってみる。
    気づいてない、かな〜?

「ほんと、猫みたいだな、おまえは」

 と、スマホを片手に、何か打ち込みながら近づいてくる。

 佐藤先輩は部活の先輩。
 私が妄想していたのは、部活は同じだけど、別の先輩。
 キラキラ美しい先輩。
 
 いつも先輩と佐藤先輩はセットのようにいるのに、今日は先輩の姿も形も見えやしない。

 残念。

「佐藤先輩は、お散歩かなにかですか?」
「男子高校生で、のんきにお散歩してるやつなんていないだろ」

 なるほど、確かにそうかも。
 佐藤先輩は、スマホをポケットにしまいながら、ベンチの空いてる場所に座る。

「っていうか、散歩かなにか、の、”なにか”って、例えばなんだ?」
「えーとー、そーだなー、佐藤先輩なら………ナンパとか?」
「おまえなぁ〜」
「あ、でも、佐藤先輩なら、向こうから女子が寄って来ますね」

 そう、そこそこのイケメン。
 因みに、私の好きな先輩の顔は、気高くお美しい。

「はぁ〜、来る訳ないだろ」

 と、ため息をつく、そこそこのイケメン佐藤先輩は、
「ところでさぁ」って、言ってから真顔で話す。

「なぁ、みゆう」
「なんですか?」
「俺と付き合ってくれない…」
「ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリム」

 私は頭と手をブンブンブンブン振った。
 いくらそこそこのイケメン佐藤先輩でもそれはムリ。

「クイ気味に、勘違いすんな、そういう意味じゃないよ」
「じゃぁ、どう言う意味ですか、あっ、さては、また何かよからぬことを企んでいるんですね。悪だくみですか、悪だくみですね」

 そうだ、絶対にそうだ。策士佐藤先輩は何かを企んでいるハズだ。
 なんだ、なにを企んでいる、このそこそこのイケメン。

「違うよ、付き合うって、その──、」

 ん?
 なんだか佐藤先輩にしては珍しく、言葉に詰まって話しにくそうにしてる。
 いつもは楽しいお話が途切れないのに、なにか悪いものでも食べました?
 それとも、なにか悪だくみとは違う、訳でもあるのかな?

「なんでも言ってください。いつもお世話になっている佐藤先輩ですから、私にできることなら、あ、彼女にはなれませんゴメンナサイ。それ以外なら、どんな悪だくみでも、コツコツとやらせていただきます!」

 ふんすっ。

「えーとー、ま……ありがとう、というか、悪だくみはしなくていいから」
「いえいえ、なんでも言ってくんなまし!」
「ん………、まっ、いいかっ」

 そう言ってから、佐藤先輩は立ち上がり少し歩いてから、おいでおいでと手招きをするので近づいてみる。

 街路樹のところまで来ると、木陰から、向こう側の通りを伺うように眺める。
 この辺は、歩行者優先の街づくりをしているから、車通りが少なく、道路の向こう側もよく見える。
 いろんなお店が並んでいて、佐藤先輩はそのひとつを指さしながら言う。

「あそこの店に、一緒に行って欲しいんだ」

 ん?
 佐藤先輩が指差した方に目を向けると、そこにあった店の名前は………

「セクシー……キューティバニーちゃんズーーー!!!! 」

 えっ、なになに、悪だくみとはこれ!!!

「佐藤先輩、そういう趣味があったのですか!!! きゃ〜きゃ〜」
「え、いやまて、誤解だ誤解」
「店があるのは2階ですよー、きゃ〜、きゃ〜、私を売る気ですか?売る気ですね!」
「待て待て待て」

 と、慌てる佐藤先輩を見て、

「もう、冗談ですよ〜佐藤先輩」

 と、珍しくイジリが成功して、ニンマリ。
 あ、それよりも、

「大丈夫です!」
「なにが大丈夫なんだよ」
「佐藤先輩にどんな趣味があろうとも、私の佐藤先輩に対する態度は、1ミリだって変わりませんので」
「はぁ〜」
「安心してください!!」

 ふんす!

「落ち着け、とりあえず、落ち着け、2階の方じゃない」
「ほへ?」
「ほら、よく見て、1階、1階の方だよ」
「え、1階?」

 えーとー、あれは〜

「あー、最近オープンした可愛らしいパンケーキ屋さんじゃないですかぁ、もー、早く言ってくださいよー、私はてっきりー」
「早くもなにも、おまえが勘違いして暴走しただけだろ!」
「エヘヘヘヘ」

 とりあえず、笑っとこー。
 行ってみたかったお店。
 はぁ〜、もう、パンケーキのあま〜い香りが、鼻の周りにまとわりつく〜。
 っていうか、佐藤先輩、パンケーキ屋さんにひとりで入るのが恥ずかしかったんだね。
 なんか、可愛いです。
 そうと分かれば、

「早く行きましょー、パンケーキのお店! 珈琲とパンケーキ、最高の組み合わせじゃないですかー、もちろん佐藤先輩のおごりですよねー、ごちになりやーす」
「おまえなぁ……」
「なんだ、ふたりで楽しそうだな〜」
「そうなんですよ先輩も一緒にどうですか、佐藤先輩がおごっ、、、」

 ん?

 えー、と──この声は……、

 声のした方に目を向けてみる?

「せせせせせせ、先輩!」
「よっ、」

 って、なんですかその顎の高さくらいに上げた右手と爽やかに澄み渡る笑顔は〜。
 先輩、今日もステキです美しすぎます、というか私服じゃないですか、輝いていますがどこで買ったんですか、それよりそこのベンチで一緒にお茶でもどうですか、陽だまりがとっても気持ちいいですよ、なんなら私が珈琲とハッシュドポテトをご馳走します、コンビニメニューですがスミマセン。

「なんだなんだ、木陰に隠れて、ふたりでどこかに潜入でもするのか?」
「そーなんですよ、先輩。何やら佐藤先輩には大事なミッションがあるようなんです」
「ふむふむ、それは興味深い」

 うわっ、「ふむふむ、それは興味深い」うわー、
 「ふむふむ、それは興味深い」うわっ、うわー、

「あ、それじゃー」

 と言う佐藤先輩。

「俺は先に帰るわ」

 ほへ?

「じゃ、また部室で」

 と、佐藤先輩は軽やかに小走りで行っちゃった。
 パンケーキのお店から出てきた人を追いかけたようにも見えたけど……。
 怪しい、実に、いや、ふむふむ、それは興味深い〜。

「なんだ、佐藤帰っちゃったか、3人で遊びたかったのにな」

 確かに、3人で休日に遊んだことはない。

「そうですねぇ、なんか慌ててたようでしたねぇ」
「なんだろうなー」

 と、遠くを見つめるその眼差しもステキです。
 顎のあたりのお髭の剃り残しも気にならないくらいの輝きです。

「ところで、みゆう」
「お髭も似合いそう〜」
「えっ? あ、そうか?」ポリポリ
「ほへ?」

 ──若干の間。
 その後で、

「えーと、せっかくだから、みゆう、なんか食べてかない?」
「えっ、先輩のおごりですか〜」

 って、私、何言ってるの!
 相手は佐藤先輩じゃないのに!

「うん、任せて!」
「割り勘で、割り勘でお願いします!」

 っていうか、これなに、えっ、なに、今、先輩とふたりっきりじゃないの。
 休日のシャレた街で、ふたりっきり、って、なに、これって、で、で、で、デー

「あそこの、パンケーキなんてどう?」
「あ、いいですねぇ、ちょうど食べたかったんですよ〜」

 さっきから、漂ってもいないパンケーキの香りに鼻のまわりが包囲されています。
 ふふーん、先輩とふたりで、パンケーキ♪

「紅茶も美味しいらしいよ」
「紅茶とパンケーキ! それは楽しみです〜」
「じゃぁ、行こっか、おごってあげるよ」
「いえいえ、割り勘で大丈夫であります」

 って、なんで私は敬礼なんてしてるんだ!

「そっか、ではそうしよう!」

 って、先輩も敬礼って、
 これってなんだか、

「焼きそば屋台の時みたいですね」
「ほんとだね」

 と、言ってからふたりで笑った。
 なにこれ、サイコーじゃないの。

「さぁ、いこ」、と歩き出そうとしてる先輩に聞いてみた。

「ところで、先輩はなんでここへ来たんですか? お散歩かなにかですか?」
「あぁ、佐藤がさぁ、ベンチでまどろんでる私服の猫を発見したから見に来い、ってLINEして来たんだよ」

 えっ、猫、えっ、私?

 佐藤先輩ー! 
 あー、あなたは何てステキな佐藤先輩なのでしょう、悪だくみだなんて誤解してごめんなさい。これからも変わらぬ態度で接していきますよ、ありがとうございます。佐藤先輩。

 いや〜、も〜ぅ、テンションあがって、ニヤケの蛇口が崩壊です〜

「さぁ、さぁ、行きましょ行きましょ、先輩、パンケーキが私たちを待ってます」

 先輩の背中を押す。

「おーっ」

 先輩と一緒に、歩き出す。
 そうだ、パンケーキ食べながら、LINEが届く前、何してたか聴いてみよ。
 まさかお散歩してたりして。

 あー、先輩とのお茶なんて、楽しみ〜、
 ニヤニヤ、フフフフ〜ん

 とっても、幸せな休日になりそうだ〜。


おしまい。

#シロクマ文芸部


↓↓このお話に出てくる「焼きそば屋台」のお話はコチラからどうぞ

↓↓このお話に出てくる「キューティーバニー」の元ネタはコチラからどうぞ

福島太郎さん、紹介いただきありがとうございます♪

↓太郎さん関連では、コチラのつぶやきもどうぞ↓

https://note.com/kiraku108/n/n4c2bca15d990?sub_rt=share_pw

↓↓先週のお題はコチラから、ぜひ読んでみて↓↓


【感謝】紹介されましたーヽ(´▽`)/

わーい、わーい🎉 共同マガジン『Transmissionトランスミッション』の管理者、とらねこ🐣さんの記事で紹介されました〜🎊

どうしたどうした〜🎉 いつもスキとコメントをくださるkojuroさんの記事でも紹介されました〜🎊

嬉しいです〜、光栄です、ありがとうございます😭

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