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好きな自分で在り続ける~「選択教育」がうまくいく5つの理由~ 解説版

子どもが自分で選ぶ教育。選択教育。
選択教育は,なぜうまくいくと言えるのか。
それは,好きな自分で在り続けるからだ。

何かを「教える」立場の人も,そうでない人も,ぜひ読んでほしい。

はじめに

 「正しさに縛られた教師たちへ ~もう叱らなくていいんだよ~」
前回の記事では,ニキチャコが一番大切だと感じている選択教育の考え方を約20000字でまとめた。
(多すぎ。まとめきれてない。笑)

スキしてくれた皆様,本当に本当にありがとうございます。
あんなに長い文章に目を通してくださったこと,心から感謝いたします。

最後まで読んでもらえたなら,どのようにして
「子どもが選ぶ教育=選択教育」に至ったかが
理解してもらえたのではないかと思います。
まだ読まれていない方は,ぜひお読みいただきたいです。
考え方が変わってくると思います。
https://note.com/nikichaco/n/n255a494f1e17

そして「選択教育~子供が選択するだけでうまくいく~ライト版」
を読んでくださった方、スキしてくださった方、本当にありがとうございます。
まだ読まれていない方は、そちらの記事を読むと、選択教育がどんな教育法か、簡単に理解していただけると思います。https://note.com/nikichaco/n/nfa82bf72d995



ここでは、選択教育がうまくいく理由を脳科学の観点から、さらに詳しく説明していきます。


なぜ,子どもが選択するだけでうまくいくのか。

ここからはさっそく今回のメインテーマ
なぜ「選択教育」でうまくいくのか。


その理由は,

  1. どんな選択も認められる安心感があるから

  2. 他人基準ではなく,自分基準だから

  3. 自己決定感があれば,脳がポジティブになるから

  4. 義務ではなく,欲求だから

  5. 自己肯定感につながるから

です。
これらを順を追って説明していきます。



1,どんな選択も認められる安心感があるから


学校は社会の縮図と言われる。
教師、その中でも担任は、クラスという家族の「親」的存在だ。
親から認めてもらえるというのは、子どもにとって何よりも重要なことだ。
それは本能的に、死ぬことを恐れているからでもある。
他人に認められたいという承認欲求も、生存本能から派生したものだ。


あなたはいてくれるだけで素晴らしい。
あなたがどんな選択をしたとしても、私は受け入れるよ。
好きなようにやったらいい。
ダメだったら変えればいい。
迷惑かけたっていい。
「失敗という経験をしたあなた」が,素晴らしい。
どんどん選択し,どんどん経験していこうよ。

このような考え方の教師であれば、
子どもはきっと、何をやっても大丈夫。
きっと先生が良いように解釈してくれる。
挑戦することに意味がある。
失敗したって大丈夫。
と、失敗を恐れなくなるだろう。

承認欲求は満たされ、安心して生活ができるようになる。

クラス全体も、教師のすべてを認める考え方の影響を受ける。
失敗も成功も、受け入れられるようになる。
「大丈夫!失敗したってことは、成功し始めたってことやで!」
などど、子どもが自分たちで声をかけ始める。

なぜなら、そうありたいからだ。
前向きでいることに、気持ちよさを感じているからだ。

お互いに失敗と思われることを、成功で上書きしていく。
お互いに挑戦をたたえ合えるようなクラスになる。

誰かの正しさに触れることを恐れる子どもたちは
挑戦をしなくなる。
周りの目が気になるのだ。
教室で意見を言えなくなる。
発表できなくなる。
自分を押し殺すようになる。
自分で自分を縛っていく。
自分で自分を傷つけていく。
窮屈で苦しい世界を作っていく。

例えば、「間違うことは良くないこと」「失敗は恥ずかしいこと」という正しさがあれば、それに反する行為には全て、無意識が危険信号を出すだろう。
「それ、間違いかもしれないよね?」
「間違えそうだから、やめときな?」
「失敗したらどうするの⁉ 危ないよ! 恥かくよ! クラスの笑いもんになるよ⁉」のように、
無意識に住む小人たちが、危険回避のために騒ぎ出す。

全ての可能性を認める選択教育は、正しさなど存在せず、
何が自分にとって大切なのか選び取り、コレクションする。

人と違っていい。合わせる必要なんかない。
合わせたければ、合わせてよい。
自分の大切な考え方を見つけていく。
こうすることで、なりたい自分に成っていくのだ。

「私はこうありたい。」そう思える瞬間をどれだけたくさん持てるか。
この選択する経験が、一番大事なその人の軸となる。
つまり、自分の軸がある自立した大人になるのである。

しかし、このように思う人もいるのではないだろうか。
全ての選択を認める=無限の可能性があるということは、裏を返せば、ふらふらと軸が定まらず、落ち着いていない、ということではないか?と。

落ち着かない・不安定だからこそ、バランスをとろうとするのだ。
支えが何もないからこそ、自分で立とうとするのだ。
そこで自分が大切にしたい軸を見つけていく。
そこで、自分が本当に大切にしたいものが見えてくる。

その手伝いを教師がする。
可能性を提示することが、立ち方(生き方)を教えることになる。
それだけで、子どもは自分で立つ。
教師はただ、子どもの可能性を心から信じればいい。
信じてもらえることこそが、安心感なのだ。


クラス全体が、足を引っ張り合うのではなく、
安心して挑戦できるようになる。
その発言、行動、むだなことは何もない。と。
「あなたのおかげで、私のためになった。」
子どもたちは本当にこう発言するようになるのだ。

そのクラスはきっと、誰もが安心してチャレンジでき、誰もが安心して存在できるクラスだ。


2,他者基準ではなく、自分基準だから。

何かをするときのモチベーションが、他人の称賛や承認を必要とする基準を他者基準という。この場合、他人が認めてくれたら「うまくいった」となる。
他人の評価はどうでもいい、私がやりたいからやる、うまくいったかどうかは自分で判断するという場合を自分基準という。

梯谷幸司「無意識のすごい見える化」KADOKAWA,2021年,p25

簡単に言うと、
他者基準は、他人の評価を気にする。
自分基準は、自分がどう思うかを気にする。ということだ。

どちらが自立して前進できるか。
お分かりだと思うが、自分基準だ。

教師の意見も踏まえた結果、
この選択を「自分」が選んだのだ。
この結果も、自分が選択したから起きたのだ。

自分基準であれば、批判されても、失敗を馬鹿にされても、このように考えられる。
「あなたは失敗だと思うんですね。別に構わないですよ。 私はそうは思わないから。」
と、他人の意見が必要なくなる。
自分がどう思うかが大事になる。
他人の意見に左右されなくなる。

これが、いわゆる「自分の軸をもっている人」と言われるだろう。

そして、起こる結果には、納得できる。
なぜならそれは、自分が選んだからだ。

自らの選択に、自己決定感があるかどうかがとても大切である。
自己決定感がなければ、それは他者基準であり、義務だ。



3,自己決定感があれば、脳がポジティブになるから。

自己決定感が大切ということについて、脳科学の分野から根拠を挙げる。

脳には前頭前野という部位があり、人間の活動の目的を管理し、体に指示を出している。
前頭前野がポジティブな状態、つまり脳の報酬系が働くと、心身の良い影響を与えるホルモンが出る。
逆にネガティブな状態であれば、ストレスがかかってしまう。


脳科学でこのような実験がある。

〇ストップウォッチの文字盤を見ずに5秒でぴったり止める実験。
僅差であれば報酬がもらえるようになっている。
ストップウォッチはAとBがある。
ただし、AとBどちらを使うかは、コンピュータが選ぶか、自分で選ぶ。

【コンピュータが選んだ場合】
成功⇒前頭前野がポジティブに=脳が喜んでいる
失敗⇒前頭前野がかなりネガティブに=脳が落ち込んでいる

【自分で選んだ場合】
成功⇒さほど反応しない。少しプラスぐらい。=脳はそこまで喜ばない
失敗⇒成功と同じくらいのプラス=脳はそこまで喜ばないし、落ち込まない

ここからわかるのは、
自己決定感がない場合は、結果に一喜一憂し、
自己決定感がある場合は、成功するのは当たり前で、失敗してもマイナスにならず、「どうすればうまくいく?」と考え始める。

実際に、AとBのストップウォッチどちらを使っても、自分で決めた方が5秒ぴったりで止める確率が格段に高かった。

このように、自己決定が前頭前野を動かすことが分かった。


梯谷幸司「無意識を鍛える」フォレスト出版,2020年,p88~94



つまり、自分で決定した選択は、成功するのは当たり前で、失敗しても、落ち込まないのだ。
感情に一喜一憂することはない。

失敗を嫌な気分ではなく、いい気分で終えられる。
そして、次につながる。
つまり、子ども自身が「私はこうありたい」と選ぶことで、
その結果がどんなものでも、「どうすればいい?」と前向きに考え、次につながっていくということだ。

これは近年、学習内容に追加された「プログラミング教育」が狙っている、問題解決能力と同じだ。

ゲーム感覚でトライ&エラーに抵抗がなくなるのだ。
そして成功率も上がる。
いいことづくめではないか!




4,義務ではなく、欲求だから

何かするときに、「やらなきゃ」「やるべきだ」と思うのを義務という。
それに対して、「やろう」「やりたい」と思うのを欲求という。
「しなければならない」は義務だ。
義務は、脳の苦痛系が働く。すると無意識は、その苦痛を避けようと、
間違った行動をして、ブレーキをかけようとする。
「~したい」は欲求だ。
欲求は脳の報酬系が働く。行動も変わってくる。

梯谷幸司「無意識のすごい見える化」KADOKAWA,2021年,p45

「~しなければならない」は正しさだ。
正しさの押し付けは義務である。
義務を果たすのは苦痛なのだ。
無意識でブレーキをかけてしまう。
そして,どんどん抑圧されていく。

選択教育は「あなたはどうありたい?」と問う。
それは、あなたのしたいようにしていい。という意味だ。
これは、子どもの欲求に目を向けさせている

やりたいのだからやる。
自己決定をしているので、成功する確率が高くなる。
そんな自分の在り方に脳の報酬系は反応し、いい気持ちになるのだ。



5,自己肯定感につながるから。


選択教育は、子どもに選択する機会をたくさん設ける。
そして子どもたちは自分の在り方を選択し、実行する。
その自己決定を行う回数が多ければ多いほど、
自分の軸が増えていく。
つまり、好きな自分でいられることが増えるのだ。
好きな自分とは、「私はこうありたい」という理想の自分でもある。

「自分には良いところがある。」という問いに対して、
「ある」と答えられる子どもは残念ながら少ない。
地域の偏りもあるかもしれないが。

ニキチャコは、どのような取り組みをすれば自己肯定感が高まるのかをずっと考え続けてきた。
自己肯定感があり、自分を愛することができれば,
どんなに幸せに生らきれるか。どれだけ楽しく生きられるか。

この選択教育は、我慢するでもない、正しさに無理に合わせることもない。
好きな自分を選んでいい。そんな好きな自分をコレクションしていくのだから、自分を少しずつ好きになっていくのは自明の理だ。

自分で選択し、実行し、経験し、成功する。
好きな自分が増える。好きな自分で自信をもって生きることが、少しずつできるようになる。そうすることで、子どもは「自分が好き」と、堂々と言えるようになるのではないだろうか。

このサイクルを続けていくことで、子ども達の自己肯定感が育まれていくとニキチャコは考えている。




まとめ


①どんな選択も認められる選択教育は、子どもに安心感をもたらす。
②自分で選んだ結果は、自分基準でとらえるために納得できる。
③自己決定感があれば、失敗もストレスにならない。
④好きな自分でいられる。
⑤自己肯定感を高められる。

このような理由から、選択教育を行えば,
自分の軸をもった、自分の生き方を肯定する、自分らしく生きることのできる子ども達が育つ
と私は考えている。

選択教育の本来の目的は、自己決定の機会を増やし、トライ&エラーを繰り返す中で、好きな自分を見つけること。またその自分であろうとすることを通して、自分を愛せるようになることだ。
好きな自分を選び続けることによって、当たり前のように自分のことを好きになっていくのである。

「好きな自分で在り続ける」のだ。
嫌がる理由があるだろうか。


『愛出ずる者は愛返り、福往く者は福来たる。』
これは賈誼(かぎ:中国・前漢時代の政治思想家・文章家)の言葉である。自分を愛しているからこそ、その愛はあふれ出し、他人に注がれるようになる。そうすると他人からまた愛が返ってくる。幸せな世界になる。
選択教育の未来には、自分を愛し、周りを愛し、周りからも愛される。それぞれ皆がお互いのあり方を認め合う世界があるはずだ。
みんながこうあれたらいいのに。と心から思う。

ここまでくれば、現在の「義務教育」という言葉に違和感を感じる人も出てくるのではないだろうか。
「義務」なのだから、モチベーションが下がって当然なのだ。
「勉強なんて大嫌い」な子どもが現れて当然だろう。
だって「させられている」のだもの。
そんな子どもたちが「落ちこぼれ」なんてレッテルを貼られ、可能性をどんどん狭めていく。
悲しいとは思わないか。
可能性は無限大なのに。信じたものが現実になるのに。
大人が言う正しさなど、この先の世界では通用しないかもしれないのに。


だからこそ、私はこの義務教育の中で、選択教育を実践していく。
好きな自分で在り続けること。それを自分で選択すること。
これが人生をよりよく生きていくコツではないだろうか。
そのコツをより早い段階で子ども達が知ることで、子ども達が自分の可能性を信じて、幸せに生きていける教育をしていこうと思う。



終わりに

ここまで読んでいただけたら選択教育がなぜうまくいくと考えられるのか、
お分かりいただけたのではないでしょうか。
「いや、こんな弊害があるよ!」と気づかれた方はぜひコメントをしていただきたいです。
納得していただけた場合は、ぜひ実践していただきたいです。

「あなたはどうありたいの?」
「AとB、どっちの自分が好き?」
と、問いかけてみてください。
これは子どもだけではないです。
大人も同じです。自分も同じです。


あなたは、新しいことにチャレンジする自分がいいですか?
それとも、今までにやってきたことを信じ、新しいものは受け入れずに頑張る自分がいいですか?
どちらを選んでも大丈夫です。素晴らしい未来が待っています。
これから先に起こる嬉しいことや楽しいことは、今のこの選択の積み重ねの上に成り立ちます。
好きな自分で在り続けるのは、とてもすがすがしい気持ちです。
私自身がそうでした。
今ここで発信をしているのは、「好きな自分」です。
だから、仕事で疲れていても、眠気が吹っ飛び、パソコンに向かえます。

あなたがあなたらしく、好きな自分で在り続けられることを願っています!


次は「未来から現在を変え、学校行事を大成功させる方法」について
記事を書こうかなと思います。

今回の記事について、ご意見ご感想もらえたら嬉しいです。
おもしろいな。いいんじゃない?と思われた方は♡(スキ)してくださるとやる気出ます!

今回も、最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
皆さんが、好きな自分であり続けられますように!


参考文献

今回は梯谷幸司さんの著書を参考にしている。

・「無意識のすごい見える化 脳内の親から解放されれば未来は思い通り!」KADOKAWA,2021年
・「無意識を鍛える」フォレスト出版,2020年

その他にも、無意識をコントロールする非常に興味深い内容の
著書がたくさんあるため、気になった方がぜひ読んでください!!


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