創作Q&A「作家になるために一番重要なことは?」
大学の授業や、小説の勉強会で出た質問に改めて答えてみるシリーズ。
今回の質問は「作家になるために一番重要なことは?」です。
前回はこちら。↓
今回の質問
これは作家志望者さんからの質問だったと思います。
「作家になるために一番重要なことは?」
作家になるために必要なことはいろいろありますが、その中でも一番重要なのは何かという問いですね。
これはプロ作家でも、ジャンルや経験、その方の環境、性格などにより、かなり違った答えが返ってくると思います。
私なりの回答はこうです。
質問への回答
拍子抜けするかもしれませんが、一番重要なことは、
「自分は作家になれる」と勘違いすること
だと考えています。
何かを成し遂げるには、物理面と精神面の両面が必要です。
フィジカルとメンタルと言ってもいいですね。
物理面というのは小説で言うと、文章技術やストーリー展開の知識、キャラの構築力などのことです。
一方、精神面というのは、作家になろうという思いや、自分なら出来るという確信、書き続ける気力などのことですね。
両方重要なのは間違いないのですが、最終的に作家になれるかどうかを決めるのはメンタルだ、というのが私の考えです。
ちょっとわかりにくいと思うので、以下から説明していきましょう。
技術は時間さえ掛ければ向上する
小説を書くにはさまざまな技術が必要です。
おおまかに言って、以下の4つの技術が必要になるでしょう。
文章で表現する技術
ストーリーを展開させる技術
キャラクターを構築する技術
アイデアを出す技術
これらの技術がある程度のレベルで備わっていない限り、新人賞で戦うことはできません。
では、技術力を上げるにはどうすればいいでしょうか?
簡単です。
書き続ければいいだけです。
技術力は、書いていれば勝手に上がります。
おおざっぱに言って、長編を10作も書けば、新人賞で戦うには十分な技術が身につくでしょう。
ですが、ほとんどの人はそこまでたどり着けません。
なぜかというと、途中で諦めるからですね。
戦える力を手にする前に、多くの人は挫折します。
ですから、ごく単純に言うと、作家になれるかどうかは「長く書き続けることができるかどうか」で決まってしまうのです。
書き続けるにはメンタルが重要
書き続けるには何が重要かと言えば、それはフィジカルではなく、メンタルです。
つまり、諦めずに書き続ける精神力ですね。
その精神力を端的に表現したのが、
「自分は作家になれる」と勘違いすること
なのです。
実際のところ、作家になれるかどうかなど、誰にもわかりません。
ものすごく高い技術を持っていても、なれない人はなれません。
ですから、勘違いでもいいので「作家になれる」と思い込んで進むしかないのです。
周りの作家志望者が諦める中、私は、自分の勘違いを強固にするためにいろいろなことを試してきました。
その試みの一つをご紹介します。
あなたが作家志望者だとすると、おそらく、
「作家になりたい!」
と思っていることでしょう。
これは良くない考え方です。
言ってみれば、下手に出すぎています。
夢を追いかけるにしても、心まで追いかける姿勢ではいけません。
作家になりたいなら、ぜひ、こう考えてください。
「作家になってやってもいい」
「そこまで言うなら、作家になってやってもいいけど?」と上から行くのです。
心の有り様は自由です。
ですから、心は超上から目線で構いません。
心まで下手に出て、「どうか作家にしてくだせえ〜、おねげえしますだ〜」などとみじめったらしく懇願してはいけないのです。
創作態度は挑戦者らしく謙虚に。
でも心の中は上から目線で傲慢に。
これが、長く書き続けるコツの一つです。
「作家になりたい」などと気弱なことを考えたら、すぐにこのことを思い出してください。
実際に口に出してみると効果的です。
言ってみると、なんだか笑えてくると思います。
では、さっそく一緒に言ってみましょう。
「作家になってやってもいいけど?」
これを口癖にしておけば、少なくとも、辛いときでも、ふっと力を抜くことができるでしょう。
今回のまとめ
今回の質問:「作家になるために一番重要なことは?」
回答は「自分は作家になれると勘違いすること」でした。
何かを成すには物理面と精神面の両方が必要
技術は時間を掛ければ誰でも身につくが、ほとんどの人は途中で諦める
長く書き続けられるかどうかが、作家になれるかどうかを決める
書き続けるにはメンタルが重要
自分は作家になれると勘違いし続ける
「作家になりたい」ではなく「作家になってやってもいい」
創作態度は謙虚に。心の中は傲慢に。
もちろん長編を10作書かなくても、受賞する人は受賞します。
ですが、私のように才能のない人間は、そのくらいの分量を書くのは当たり前だと思った方がいいですね。
それではまたくまー。
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