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初めての長編でやらなくていいこと3つ

初めて長編に挑戦するときは、かなり苦労すると思います。

苦労を減らすためにも、やらなくていいことはやらない方がいいでしょう。

今回は初めての長編でやらなくていいことを3つほどご紹介します。



やらなくていいこと

初めて長編を書くときは、できるだけシンプルに考えましょう。

いろいろと挑戦したいことがあると思いますが、最初からあれもこれもと手を出さずに、まずは完成させることを目指すといいです。


そのためには「やらなくていいこと」はやらないようにするのが肝心です。

欲張りをせず、やれることだけをやれば、必ず完成させられます。


最初の長編でやらなくていいことには以下のようなものがあるでしょう。

  1. 多視点

  2. どんでん返し(物語をひねる)

  3. 回想(時間軸を触る)

それぞれ簡単に見ていきます。


1.多視点

1つ目は「多視点」です。

視点人物を入れ替えて、物語を多角的に描くことに憧れる人は多いと思います。

ですが最初は、主人公1視点だけで書けるシンプルな物語を考えた方がいいでしょう。


初心者のころは技術がないので、視点人物を増やせば増やすほど、物語の収拾がつかなくなります。

それぞれの人物について詳細に設定しなければなりませんし、展開の時間管理もしなければならないからです。

長編は考えなければならないことが多いので、初心者ではそこまで手が回りません。

すると途中で「もう駄目だ……」と挫折して、完成させられなくなってしまうのです。


初めての長編は、完成させることが目的です。

視点を増やすことで、むやみに自分の負担を増やさないようにしましょう。


1視点にした場合と多視点にした場合のメリット、デメリットをまとめるとこんな感じです。

  • 1視点

    • メリット

      • 物語がシンプルになる

      • 求心力が上がる

    • デメリット

      • 物語が単純になりすぎる

      • 主人公以外の人物の内面を描けない

  • 多視点

    • メリット

      • 物語が重層的になる

      • 1視点では描き得ない物語が書ける

    • デメリット

      • 技術が必要

      • 主人公の印象がぼやける

      • 読者に負担が掛かる


この辺りのことも考慮し、最初は多視点を避け、主人公1視点の物語を考えることをおすすめします。


2.どんでん返し

2つ目は「どんでん返し(ひねり)」です。

ジャンルがミステリなら必要かもしれませんが、ミステリでないなら、最初はごくごくストレートな話を考えましょう。

むやみにひねる必要はありません。

それに、読者はそれほどどんでん返しなど望んでいないものです。


どんでん返しや衝撃の結末を望んでいるのは、むしろ作者の方でしょう。

才気走った初心者さん(昔の私のことです笑)ほど、読者を驚かせようと思って、無意味に物語をひねろうとします。


読者を驚かせたいという気持ちはわかりますが、それが読者を楽しませたいからではなく、自分が満足したいだけならやめた方がいいですね。

「この結末はどうだ!」
「驚いたか?」
「予想もしなかっただろう!」

自分の優秀さを示すためや、自分が満足するためだけに読者を利用するのはやめましょう。


驚かせたいなら、物語はストレートなものにして、最後に伏線を回収するくらいで充分です。

伏線回収とは、

  • クライマックスの問題を解決するヒントを序盤に出しておき

  • 最後にそれに気づいて解決する

という一連の展開です。


これだけで充分驚きを与えることができるので、むやみに物語をひねらないことを意識するといいです。


3.回想

3つ目は「回想(時間軸の操作)」です。

回想というのは過去のいきさつを挟むことですが、本当に回想まで必要なのか、ちょっと考えた方がいいです。


当たり前ですが、回想というのは過去を描くことです。

ここで基本的なことをわかっておきましょう。

読者は過去に興味がありません。

物語が進んでいく現在に興味があるのです。


最初の作品は、できるだけ時間がそのまま進んでいく話を考えましょう。

主人公の現在を描くことに注力するといいです。


回想の他にも、プロローグで昔あった壮大なエピソードを描いたり、未来に起こる出来事を描いたりすることがありますが、読者はプロローグをほとんど覚えていません。

作者はしたり顔で書いているのですが、読者にとっては意味がわからないエピソードを読まされる苦痛の時間でしかないのです。


過去にしろ、未来にしろ、むやみに時間軸を触らないことが重要です。

現在がそのまま進んでいく話を考えてください。

過去を書いたり、未来を書いたりしても、技術がなければ、ただ複雑になるだけです。

それは、読者の楽しみに貢献するどころか、読者の読む気を失わせるでしょう。


読者はそこまで複雑な話を読みたいわけではありません。

とにかく、時間を戻したり、進めたりせず、現在にフォーカスしましょう。

何度も同じことを書きますが、読者の興味は主人公の現在にあります。

ですから、時間軸を操作しなくても、主人公の現在をそのまま書くだけで、読者を引きつけることができるのです。


今回のまとめ

「初めての長編でやらなくていいこと」でした。

  1. やらなくていいこと3つ

    1. 多視点

    2. どんでん返し(ひねり)

    3. 回想(時間軸を触る)

  2. 主人公1視点の話にする
    多視点にすると……

    1. 主人公の存在感が薄れる

    2. 読者に負担が掛かる

  3. ストレートな話にする
    話をひねっても……

    1. 誰も望んでいない話になる

    2. 読者を裏切ることになる

  4. 主人公の現在を進める
    時間軸を触っても……

    1. 読者は過去や未来に興味がない

    2. ややこしくなるだけ

もちろん挑戦することは良いことなので、書き慣れてきたら、むしろこういった工夫をしてみるといいでしょう。

とはいえ、ジャンルにもよりますが、最終的には、シンプルでストレートな話に戻ってくるのではないかと思います。

そういった話の方が、結局、物語として強いからです。

それではまたくまー。


(2023.10.9追記)

おお!


ホワイトテイルさんに記事を取り上げていただきました。
ありがとうございます!

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