心理学との出会い(16)
私が心理学と初めて出会ったのは17才の頃でした。荒んだ生活はしていたものの小学校時代のネグレクト時代の習慣で本屋さんにはよく通っていました。
ふと立ち寄った本屋さんで絵画のような表表紙の本を見つけました。絵画は絵画でも少し怖いと感じるタイプの絵画です。漫画ベルセルクの敵で出て来そうな絵がそこには書かれていました。その本がトリイ•ヘイデンの「シーラという子」です。私は絵に惹かれて購入して読んだのですが、内容はアメリカでのアダルトチルドレンや虐待などの話が出て来る実話でした。この筆者の方が子どもたちと寄り添いケアしていくような話しだったのですが、初めて読んだ時衝撃を受けました。
何に衝撃を受けたかと言うと、こんな仕事が存在することに驚きました。当時私が17才の頃は心理学や虐待をケアする人が居るなど日本では考えられなかったんです。聞いたこともありませんでした。居るには居たと思いますが、小規模かつ知られていないような状況でした。そもそも心理学もこの時ぐらいからチラホラ聞くようになったぐらいで、全然普及していませんでした。大学の時教授に言われたのですが、日本はアメリカに比べて心理学が10年遅れているそうです。それを聞いた時、私が心理学を知らなかったことと教授の話しが繋がりました。
この本と出会った同時期ぐらいに目白大学の心理学の教授が書かれた「R-17」という本が発売されます。ドラマ化もされ爆発的に売れました。中谷美紀さん演じるスクールカウンセラーが高校を舞台とし色々な子どもたちの問題に向き合っていくという内容でした。この本も買って読みました。
私が知る限りではこの本が心理学やスクールカウンセラーが周知される初めだったように思います。私の時もそうですが、この後数年間は大学の心理学部の倍率はどこも跳ね上がりました。不人気校でも10倍近い倍率でした。今じゃ考えられない状況です。心理学部も少なかったというのが一つの要因でもあります。
インターネットもぎりぎりあるかないかの時代で、この頃はWindows95が全盛期の時代でした。インターネットはあるにはありましたが、周りにパソコンを持ってやっているような人は10人に1人居るか居ないかの時代です。今と比べると情報が明らかに少なかったです。携帯電話やiモードがありましたが、私と同じ世代の方ならご存知かと思いますが今のスマホのようにインターネットはほとんど使い物になりませんでした。パソコン用のHPなどを見ることも出来ないですし、出来ることがかなり限られていました。この頃の私の携帯は関西セルラーという今で言うauの携帯でした。白黒の画面で電源を入れると謎の外国人が出て来てHelloっと言いながら手を振ってくれます。
外国人の人がHelloっと言ってくれるこの携帯はiモードすらありませんでした。こんなふざけた携帯でも当時は最先端だったのを懐かしく思います。なんなら画面で外国人が手を振っている技術に驚いたぐらいです。その1年後ぐらいにiモードが出て来て、多少ネットというものが普及した流れです。そもそも心理学のことを知る機会などなかったのです。そう考えると心理学だけではなく、知る機会がなく当時は埋もれていたものが色々とあったかもしれません。スクールカウンセラーのドラマが爆発的な人気になる機会がなければ、もっと心理学の発展は遅かったかもしれません。ドラマがきっかけで心理学が普及されたとは今思えば不思議な巡り合わせのように思います。
ただ、「R-17」はとても時代にうまくマッチングしたドラマでした。いじめ、自傷行為、薬物、援助交際などこの時代に問題になっていることが沢山テーマとして取り上げられました。それらを解決出来る人が居る、それが心理学を使うカウンセラーだ、この時代の救世主のような入り方です。
これが私の心理学との出会いでした。そして、ここから私は心理の仕事を目指すことになります。
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