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#55 心のバリアフリー教室でお話ししてきました

理事長の臼井です。人前で話すことに苦手意識を持ちながらも、毎年ご依頼いただいているところに出向いて講演しています。今年度は、初めてのご依頼で、国土交通省関連の企画として当法人に声がかかりました。

新潟空港でお話ししてみませんか」

令和4年10月27日、国土交通省北陸信越運輸局主催の「心のバリアフリー教室」にてお話ししてきました。

写真1:新潟空港

会場は新潟空港。
参加者は新潟空港の関係者で、航空会社だけでなく保安検査員や飲食店の店員、清掃員、警備員等。

事前打ち合わせの時に主催者からは「不特定多数の人々が利用する空港ならではのソフト面において、多様な人々を思いやる心のバリアフリーの実現をしたい。その第一段階として、まずは勉強会を開きたい」という想いをお聞きしました。

初めての取り組みであり、講師は当法人の他に、視覚障害者や盲導犬、車椅子ユーザーの方にも声がかかっていました。二日にわたって開催された企画で、当法人は2日目を担当させていただくことに。

新潟空港の職員からの質問に対して、盲導犬と一緒に過ごす視覚障害の方と、手話通訳と一緒にいる聴覚障害のある私が答えるというトークショーのような形での進行でした。

写真2:講演の様子

・自身の障害について
・障害のある立場として空港を利用するにあたって伝えたいこと

上記の2点は普遍的な質問でありながらも、個々の障害の程度や状況によって対応方法が異なるため、日常生活での経験を織り交ぜながらの話をさせていただきました。

盲導犬ユーザーとしては、
・早めに空港に行かないといけない(搭乗の手続き関係で)
・自宅から空港に行くまでのアクセスで、不便がある
・盲導犬を珍しがって周囲が手を出してしまうので正しい理解が必要

といった、物理的な制約に関する事例が中心。

一方で、聴覚障害のある立場としては、
・コミュニケーション方法が多様であること
・マスク越しでの会話は困難であること
・電光掲示板には書かれていない、アナウンスでの情報がわからない
こと

成田空港や羽田空港で実際に使われているコミュニケーションボードも紹介しながらコミュニケーションに関する事例を取り上げました。

その上で、地方の空港ならではの良さもお話ししてみました。
新潟空港は保安検査を通った後も見送りの方と顔を合わせることができます。

ガラス越しでコミュニケーションをとるために「おなごり電話」がありますが、電話を使わなくても手話で話ができる。ここが地方の空港の魅力でもある、と。

写真3:会場の様子

「障害がある」と「物理的な制約」は見過ごしてはいけないことですし、バリアフリーを考えていく上で重要なことなのですが、マイナス面だけでなく、今ここにある開放された空間としてのプラス面を活かしていくことも、心のバリアフリーにつながると思います。

限られた時間内に全てをお伝えすることはできませんでしたが、企画終了後に「コミュニケーションボードを参考にしたい。職場に持ち帰って提案してみたい」と参加者から相談がありました。

参加者一人ひとりの心に訴えかけるものが少しでも伝わった瞬間、そこには心のバリアフリー実現への小さな一歩になったと思います。

企画してくださった国土交通省北陸信越運輸局と新潟空港ビルディング株式会社および社会福祉協議会の方々にお礼申し上げます。
また、一緒に登壇してくださった盲導犬ユーザーの方や参加者、手話通訳者の皆さんにもお礼申し上げます。

一人ひとりが快適な空の旅になりますように。

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(余談)
「目が見えない世界」を体験する一場面。
私がアイマスクしてしまうと「盲ろう者」になるので、手話通訳者の一人にアイマスクしてもらいました。
私が折り紙の折り方を説明するために、もう一人の手話通訳者が読取通訳。
手話の場合は、視覚的な言葉なので「これとこれを折れば良い」と伝えられるのですが、改めて音声言語に訳すとなると、読み取り通訳者が一苦労。斬新な体験でした。

写真4:折り紙の折り方を説明する様子

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文:臼井千恵
Twitter:@chie_fukurou

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