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「わき役だけど大きな仕事をする副詞」『イメージでわかる!日本語の副詞』発売記念 著者インタビュー!
12月18日、『イメージでわかる!日本語の副詞 初級・中級』(アスク出版)が刊行されました!
発売を記念し、著者の朴 秀娟(ばく すよん)先生にこの本のポイントについて伺いました。
★12月21日(月)ごろより、全国の書店でも購入可能です★
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副詞だけにフォーカスした学習書は少ない
聞き手:「副詞」を、イメージを通して学ぶ本というのはこれまでなかったと思うのですが、最初に企画案を聞いたとき、どのように感じられましたか。
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朴先生:斬新で面白い、そしてやりがいのある企画だと思いました。
私自身、日本語の授業で副詞を導入するときや学習者から質問があったときは、例文など、ことばを使って説明していたので、最初、企画案を伺ったときは、「イメージを通して副詞を学ぶってどういうこと…!?」と、はてなマークで囲まれたムンクの叫び(😱)のような絵文字が何個も頭の中に浮かんでいました。
ただ、お話を伺っているうちに、そういえば、英語では、確信の度合いを表す“probably, maybe, perhaps”のような副詞なんかはグラフを使って説明することもあるし、たしかに日本語の副詞の中にもイメージで表せるものは意外とありそうだと、だんだんわくわくしてきたのを覚えています。
副詞だけにフォーカスした学習書が少ない中で、イメージを通して学ぶ教材となると、これまでにはない画期的な教材になると思ったので、斬新で面白い、そして、やりがいのある企画だと思いました。
「気持ち」の副詞はイラスト化が難しい
聞き手:実際に原稿を執筆されるなかで、特にイラスト化するのが難しかった副詞は何でしたか。
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朴先生:「気持ち」に関わる副詞のイラスト化が難しかったです。人間の「複雑」で「抽象的」な感情や気持ちを「シンプル」で「具体的」なイメージで表すというのはなかなかハードルの高い作業でした。例えば、「強く思っていることを表します」と説明している「ぜひ・必ず・きっと」は、炎をバックにガッツポーズをしている人がイメージとなっていますが、そのイメージに落ち着くまで半年かかりました。
聞き手:半年も!
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朴先生:最初は、図形のみで表したくて、薄い縁の丸を太い縁の丸で囲う形で「強い」ことを表してみたりもしたのですが、図形だけではどうしても抽象度が高くなってしまい、かえって伝わらないイメージになっていることに悩んでいました。そんなとき、この教材の企画者でもある当時の編集者さんより、「崖の上で太陽に向かって意気込んでいる人の姿」が何かヒントにならないかというコメントをいただき、今のイメージが誕生しました。人の感情や気持ちというのは本当に一筋縄ではいかないものだなと、イラスト化の作業を通して思い知らされました(笑)。
ちょこっと添えるだけで、本心を伝えることができて、かつ好印象を与えることができる副詞
聞き手:副詞を使うとより気持ちが伝わる場面は色々ありそうです。先生の体験についてもぜひ教えてください。
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朴先生:最近、どんな時にどんな副詞を使っていたかなと思い返してみたら、次のような場面がありました。
①お返事をすぐにくださった方に:
「さっそくお返事いただき、ありがとうございます」
②日頃からいろいろお世話してくださっている方に:
「いつも大変お世話になっております」
③思いもよらぬ(でも、普段ほしいと思っていた)ものをもらったときに:
「実は、ずっとほしいと思っていました」
④誘いを断るときに:
「どうしてもその日は行けそうにありません…」
これらの文では、副詞を使わなくても言いたいことは伝わり、副詞を使わなかったとしても特段失礼に思われることはないと思うのですが、副詞がある文とない文とでは、相手に伝わる印象が異なるのではないでしょうか。副詞を添えた方が好印象を与えると思いませんか。
聞き手:たしかに、無いとちょっと味気ないというか…そっけない感じもします。
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朴先生:①と②はもはや決まり文句のようになっていて、副詞を使ったところで好印象を与えることはあまりないのかもしれませんが、やはりすぐにお返事をくださった方には「さっそく」を添えたくなりますし、毎日いろいろなことでお世話になっている職員の方には「いつも」「大変」を添えたくな
ります。
ちょこっと添えるだけで、本心を伝えることができて、かつ好印象を与えることができる副詞。ほんと有能だなと思います。あ、これを聞いて、「朴さん、そんなことまで計算して副詞を使っていたの?」と思わないでくださいね…!(いつも本心で使っていますよ!(笑))。
いつもにこやかで、素敵な朴先生。先生のコミュニケーション上手の秘訣は「副詞」なのかもしれません😊
わき役だけど大きな仕事をする「副詞」を使いこなしたい!という方や、日本語の授業で副詞の説明が大変…という方、ぜひぜひ『イメージでわかる!日本語の副詞 初級・中級』を、書店等で探してみてください!
【著者プロフィール】
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朴 秀娟(ばく すよん)
神戸女学院大学文学部准教授。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了(博士(文学))。神戸大学グローバル教育センター(旧留学生センター)を経て現職。
専門は、日本語学・日本語教育学。副詞の意味・用法の記述、日本語教育の視点を取り入れた副詞研究に取り組んでいる。
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