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村はずれの呪術師ミサイア 〜海王星〜

ドーム状の部屋に入ると真ん中には吹き抜けとなっており、真上から光が差し込むようになっている。ちょうど光が差し込むところには、聖なる水瓶があり、火を灯す場所が二箇所供えられている。その前にミサイアは座り、祈りを捧げている。

ここは、村の森の奥深く、水がこんこんと湧き出でる水源のそばにある。人よりも鹿や熊、そしてキツネなどの森の動物たちの方が多く訪れる場所である。ミサイアは、一年の大半を、ここに篭って瞑想と祈りを捧げている。宇宙なる父と母なる大地が、その胸で手を繋ぎ、ミサイアの体が大きくなり、世界とつながっていくことを、体感している。
母なる大地に属するものが孤立しないように、宇宙なる父の意図が降りてくる場所が地上にあるように、ミサイアの祈りの時間は、そのためだけに使われる。
ミサイアの体は大きく骨盤が膨らみ、ありとあらゆるものを受け入れている。それにより、母なる大地と宇宙なる父の融合はよりスムーズになることを知っているのだ。地上の人間は、狭い範囲しか見ることができずに、より小さな世界に閉じ込められてしまうからだ。大きな体というのは、ミサイアの膨らんだエーテル体の証でもある。

時々街からやってくるトリアは、ミサイアの弟子である。彼女は、地上における狭い世界を懸命に生きつつ、森の奥の寺院に滞在し、ミサイアと共に座る時間が何よりの心の拠り所である。ミサイアは何も言わない。ただ共に座るだけである。街での広め屋のとしてのトリアを知る人が、その姿を見たら、同一人物だとは思わないだろう。時々質問をしたりするが、ほぼ黙って座っている。教えは、共にエネルギーを感じることで伝えられるのだ。

その日は、ミサイアは、かつて月の世界のペガサスと遊んで地上から居なくなってしまった幼少期のサイードが、辺境の地へ旅立ったことに気づいた。寺院で座っているだけだが、それは同時にあらゆることを知ることにもなるのだ。このサイードの旅立ちが、ただ異国の地へと向かっただけではないことを知っていた。
サイードは、異国へ行っていると思い込んでいるが、それは、現実にある場所ではない。いわば夢の場所のようなところであるが、サイードは、スワロフの導きで、そのような旅をしているのだ。
しかし今回の旅は、少々複雑なことになるぞとミサイアには見えていた。スワロフ自身の問題となるからである。。。

海王星 射手座11度 寺院の左側にある物質的悟りをもたらすランプ 11ハウス

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