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水鏡を眺める男 ウラヌス 〜天王星〜

水面を見つめているその背中は、気配が全く感じられない。スンファは、ウラヌスが水鏡を眺め戻ってくるのを、じっと待つ。ウラヌスの髪の毛に生気が戻り、肩に彼自身が入ると、スンファはすっと内廊に出て待つ。昨晩の夢見で気になることがあったのだ。

「西の方から境界を破る存在がありました。それは境界の際にへばりついた染みのような雷気を帯びたものから始まりました。数日様子をみていいましたが、とうとう昨晩、温い泉のあたりから、苔色の流れとなり、赤胴になりました。」ウラヌスは、夢見巫女スンファの言葉に耳を傾けながら、目を閉じると、彼女の第三の目に合わせ、彼女に見た光景を共に見た。そして言葉を聞いた。染みは何者であるのか、何が起ころうとしているのか、光景の向こう側にいるものの声を聞いた。

「我が君の帰りたもう道」

ウラヌスの聞いた声は、先ほど水鏡で見たものと同じものだ。来るべき時が来たか。。。ウラヌスは、かつての盟友を思い出していた。

スンファに部屋に戻るように告げて、彼女が内廊を下っていく衣擦れの音が遠ざかるのを確認すると、机から手漉紙を取り出して、文をしたためた。
それから二間続きの奥の間の宝箱の中から、鋭い短剣を取り出した。久しぶりに表に出したが、昔と変わらぬ輝きだ。鞘から出して、地面を打つとどこからともなく蛇たちが湧き、ウラヌスの足元に集まった。それらは重なり合って1人の女になった。

「スワロフの元にこれを届けてくれ。」
蛇女は封蝋した手紙を手に取ると、再び蛇の群れに戻り、そしていつの間にか消えて行った。

天王星 天秤座29度 互いの知識の範囲に橋をかける方法を模索する人類 9ハウス

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