神殿の巫女スンファ 〜月〜
村の神殿は海を見下ろす丘陵の上に築かれていた。私はこの神殿で生まれ、死んでいく。
ここでは、人々の夢の中に私は潜り込むのが私の仕事だ。これは私自身の夢の中と同じで、実は一つにつながっている。人々が健康問題で神殿を訪ねてきた時には、私は自分の夢の中に潜り込み、それが、依頼者の夢の中とつながるところまで深く潜っていく。そこには、無尽蔵のイメージがあらゆる限りの色使いで漂う。時に、真っ暗なねっとりとしたものがぷよぷよと浮かんでいるところや、灰色の底のなし沼のような所も通過するが、深く深く潜ることで、それは回避できる。これにはかなりの訓練が必要だったが、私には潜り続ける素質があり、灰沼や真っ暗な無縁帯も潜り抜けることができる。そこで私は、依頼者が今必要としているイメージを見つけ出し、持ち帰る。地上に上がると、持ち帰ったイメージを使い、植物の軟膏を作り、依頼者の体に塗り込み、神殿で一晩夢を見させる。
時に、狩猟の季節には、やはり人々の心の奥深くにある、豊かな実りのイメージを持ち帰り、祭の中で壁画に絵を描き、それを人々の中に思い出させる巫女を担うこともある。人々は、絵を見ることで、自分の中にある狩りが成功して豊かになるイメージを思い出し、村は潤うのだ。
人々が潤うことで、私自身の家である神殿はより強固に守られて、豊かになっていく。
私は、私であるが、村の一部である。
月 sabian symbol「渓谷にかけられる建設中の橋」（4ハウス牡牛座）
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