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ミッドナイト・イン・パリ

ミッドナイト・イン・パリ

冒頭のパリの風景が素晴らしい。特に雨のパリの景色などは、水しぶきや雨の匂いや、肌寒さが体感できそうなほどのリアルさを感じました。
雨のパリをいかに素晴らしく見せるかが、実はかなり重要なのですが、この映像の流れはさすが。

婚約者の家族と一緒にパリに旅行に来ていた脚本家のギルは、真夜中の鐘の音とともに、憧れの1920年代の世界にタイムスリップします。

そこで彼を待ち受けていたのは、フィッツジェラル

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ラストディール 美術商と名前を失くした肖像

ラストディール 美術商と名前を失くした肖像

老いぼれ爺さんにドップリ感情移入して、オークションからラストまでずっと刺さりまくりました。

美術商の老いぼれ爺さんオラヴィの元に、生意気なクソガキが、学校の課題である「職業体験」をクリアするために押しかけてきます。娘の子供です。

娘に押し切られた形で仕方なく引き受けたものの、オラヴィはウェルカム度ゼロで、ガキのオットーもやる気ナッシングです。

ある日オークションの下見に行ったところ、オラヴィ

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おとなの事情

おとなの事情

3組の夫婦と1人の独身男の7人が集まり、身の毛もよだつ恐ろしいゲームを始めます。

全員がテーブルに携帯電話を置き、届いたメッセージをみんなに晒し、電話がかかってきたら相手に知らせずにスピーカーで話さなければならないという地獄のようなゲームです。

これをドヤ顔で提案した女性はまさに悪魔ですが、彼女がこれを提案した理由も後半明らかになります。

ただでさえ危険極まりないのに、節操のないイタリア人(

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ザ・プレイス 運命の交差点

ザ・プレイス 運命の交差点

星新一のショートショートのような設定です。どんな望みでも叶えてくれる男が、ザ・プレイスというカフェの奥に陣取ってます。そこに多くの人が訪ねてきます。視力を取り戻したい盲目の男、息子を癌から救いたいと願う男、アルツハイマーの夫を抱えるお婆さん等々。。

望みを叶えるためには男の提示する条件をクリアしなければなりません。その条件というのが、女性を犯すとか、他人の子供を殺すとか、爆弾を商業施設に仕掛ける

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霧の中の少女

霧の中の少女

イタリアのサスペンス映画。
閉塞的な小さな町で、女子生徒が行方不明になります。立ち込める重い雰囲気はツインピークスやキリングを彷彿とさせます。

刑事が精神科医に尋問され、その回想としてストーリーが語られます。刑事のワイシャツには血がついています。

この刑事ヴォーゲルが、とんでもない男で、言ってみれば冤罪メーカーのような刑事です。物的証拠が見つからない場合は、マスコミを使った大々的なキャンペーン

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世界侵略ロサンゼルス決戦

世界侵略ロサンゼルス決戦

全く期待せずに深夜に観た映画特有の謎の面白さ。

いきなり全世界が宇宙人に侵攻されるパニックアクション映画なんていうと、秒でスルーしかねないですが、意外にも面白かった。

概ね評価点が低いのは、この手の映画に高得点をつけるのは躊躇われるという理由が大きいからだと思われます。5点満点だと、多分0.5点くらいは、なんとなく差し引かれている可能性が非常に高いのでは。

もちろん、大いに期待して観るとガッ

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「残された者」

「残された者」

北極で墜落事故に遭い、1人でサバイバルする超辛い話。

無人島でサバイバルみたいな話は結構あるような気もするし、無人島で何か1つだけ持っていけるとしたら何ですか?なんて設問はごくごく当たり前のように使われるし、なんならそんな状況も結構楽しそうです。
しかし、そこで想定するのは南の島です。海があって気候も快適なら、なんとなく何とかなりそうな気がしないでもない。しかし、それがクソ寒い北極だとしたら、こ

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「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」

これは構成が絶妙でした。ある程度早い段階で犯人が明かされ、Who,How, Whyの順で真相が解き明かされていきます。
時系列の配置によって、予期せぬ未来が提示され、見る側の興味をその方向に誘導する演出もうまい。

で、肝心のトリックですが、素晴らしいと思いますが、はっきりってToo Muchでした。
ジェフリーディーヴァー的などんでん返しに次ぐどんでん返しって感じですが、大きなトリックが、どんで

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「アラン・デュカス 宮廷のレストラン」

「アラン・デュカス 宮廷のレストラン」

キャッチコピーが、

「今宵、ヴェルサイユ宮殿に、あなたの席をご用意しました。」

今宵。。。

いきなりナンですが、フランス料理にはあまり興味はありません。
気取った人達が、たいして味もわからないくせに、したり顔で「うーん、美味しい」とか言いながら偉そうに食べるものという印象が強いし、大体、なんだかよくわからない野菜が芸術的に盛り付けられていたところで、たいして食欲もわきません。

それに、それ

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存在のない子供たち

存在のない子供たち

12歳の子供が、自分を産んだ罪で両親を訴えるというかなり衝撃的な話です。

面倒を見れないのがわかっているのになんで産むんだと。

確かにその通りで、フィリピンなどでも、貧困なのに子供だけはやたらに多い。他にやることがないのかもしれないけど、それにしても計画性に欠けること。

レバノンのスラム暮らしが延々と描かれるのですが、まぁこんなところに生まれたらとてつもないハンデです。
この環境から抜け出す

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「イングランド・イズ・マイン」

「イングランド・イズ・マイン」

スミス結成前のモリッシーの自伝映画。

 主演がイケメンなので、モリッシーの屈折があまり表現されなかったような印象を受けましたが、本物のモリッシーみたいな奴がウジウジしてたり、社会不適合者のような態度を取っていたら、観る人の共感が全く得られないので、映画的には致し方ないのかもしれません。

 モリッシーがボーカルをしていたバンドが初めてギグを行うと、早速エージェントから声がかかります。大喜びのモリ

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